500キロ部材の下敷きに…母が「労災死の原因を明らかにして」 駒井ハルテックを提訴

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2019年02月21日 18:21  弁護士ドットコム

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東証1部上場で橋などを製造する「駒井ハルテック」(東京都台東区)の和歌山工場で2017年2月、倒れてきた大型部材の下敷きになり亡くなった男性社員の遺族が、会社や工場長らを相手取り1億915万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴した。


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提訴は2月20日付で、命日から2年の節目。母の山本美保さんは21日、東京・霞が関の厚生労働省で開いた会見で「裁判という場ですべての真実を明らかにするため、息子の命日に提訴することにした。命はひとつ。労働者の命を軽視しないで」と訴えた。



●手順書守っていれば発生しない事故

死亡したのは山本慎也さん(当時22)。訴状などによると、慎也さんは2017年2月6日朝、橋の組み立て作業中に倒れてきた部材(大型リブ、重さ約500キロ)の下敷きになった。頸椎と脳幹部を損傷し、病院に搬送されたが、15日後に亡くなった。



本来は手順書(社内規定)に定めているとおり、部材をクレーンでつり上げて固定した状態で組み立て作業をしなければいけなかったが、クレーンが外れた状態になっていた。クレーンは、慎也さんが出勤していなかった2月4日に外して移動させられていたという。



工場長ら従業員6人に手順書を守らなかったことなどによる不法行為責任が、会社には使用者責任と安全配慮義務違反が成立すると主張している。



代理人の明石順平弁護士は会見で、「工場では毎朝ミーティングをするので、作業を把握しているはず。クレーンでつり上げていれば発生しない事故だった。それを怠ったために発生した悲惨な事故だ」と指摘した。



●警察捜査、2年間進まず

会見では、母の美保さんが、慎也さんが死亡した原因をめぐり被告らに事情を聴いた際に録ったとする音声も流された。そのなかには、美保さんらが作業手順が間違っていたことを被告のひとりにただすと、「これは、もう、完璧に認めます」との返答も確認できた。



慎也さんの死亡については、御坊労働基準監督署が2018年10月に労災認定をしている。一方、明石弁護士によると、警察による捜査は2年間ほとんど進んでおらず、書類送検すらされていないという。



刑事処分を待ってから示談交渉を進めることを考えていたが、捜査の進展が見えないなか、うやむやになる可能性を懸念し、民事訴訟を起こすことを決めたとしている。



●駒井ハルテック「訴訟についてのコメントはできない」

駒井ハルテックの広報担当者は取材に対し、「訴状を確認していないので訴訟についてのコメントはできない。ただ、ご遺族に対しては今後も真摯に対応していきたい」と話した。



(弁護士ドットコムニュース)


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