「周囲を輝かせる人間のほうが、実は光ってる」浅川梨奈×福原充則 初対談

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2019年02月28日 22:10  ソーシャルトレンドニュース

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"「周囲を輝かせる人間のほうが、実は光ってる」浅川梨奈×福原充則 初対談"

“永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン・チェリー”で過去に二度ご登場いただいている女優の浅川梨奈さん。グラビアでも全国男子を虜にする浅川さんが三度目のご登場!


そんな彼女の最新主演作『血まみれスケバンチェンソーRED』の脚本を務めるのがチェリーでも連載『オチマンポコ論』を執筆する福原充則さん。

『俺節』(主演:安田章大)『あたらしいエクスプロージョン』(主演:川島海荷)など、演出家としても数々の俳優を輝かせてきた福原さんと浅川さんが、初対面。

対談では、今年1月に『SUPER☆GiRLS』を卒業し、ますます女優としての活動に注目が集まる浅川さんが「自分はスポットライトは似合わない」と意外な発言。
福原さんの連載『オチマンポコ論』と連動し、浅川さんの女優としてのお悩み相談に……!


当たり前だったお色気を復活


福原「さっき廊下で浅川さんのデカくて元気な声が聞こえて、物静かな方だと思ってたからびっくりしました(笑)」


浅川「よく言われます!!」


福原「浅川さんは、人と話すときにテンションを上で合わせる方なんだーと思って。人に気を遣える方って2タイプに分かれますよね。ハイテンションになって上で合わせる人と、ローテンションになって下で合わせる人」


――スイッチをONにしたときに上になるか、下になるか……(笑)。


浅川「たしかに私は上で合わせるタイプかもしれないです(笑)」


――浅川さんは福原さんと実際にお会いしてみて、どのような印象を抱きましたか?


浅川「脚本がお色気要素満載だったので、おじさまなんだろうなと思っていました。今、お会いしてイメージ通りです!(笑)
お色気シーンは、はじまったかと思いきや、ギーコがいきなりおっさんぽい豪快なキャラになるので、脚本を読ませていただいた時は笑ってしまいました」


福原「そのシーンは強さと色気を同時に持ったギーコのキャラクターを出しました。女性を女性らしく描く原作者の三家本先生へのリスペクトです。すいません、ちょっと真面目な理由で(笑)」


浅川「福原さんの脚本は原作漫画のお色気要素が、丁寧には言っているような気がして、原作を大切にされていることが伝わってきました。だからこそ、監督と相談させていただいて色気に寄りすぎず、いい塩梅のギーコを意識することができたと思います。ただ、あのイメージカットを撮られている最中はどんな見え方になるのか予想ができなくて、すごく不思議な気持ちでした」


――まるで一昔前のバラエティ番組のようなスローモーションとムーディなBGMでしたもんね。


福原「お色気シーンは今は映画でもテレビでもやらなくなってしまいましたからね。
僕が子どものころは当たり前に「お色気シーン」が存在していたので、その頃に普通だった要素をもう一度入れたいという思いもありました」


結果を出せば周囲から「経歴しか見ない人」が消える


浅川「お色気というか……下ネタになるかもしれないんですけど、福原さんはチェリーでもすごいタイトルの連載なさっていますよね?」



――ご覧になっていただいてありがとうございます! 福原さんの連載タイトルは……どストレートな下ネタですね。(マネージャーのほうを見ながら)すいません……!


浅川「福原さんの連載はお悩み相談のコーナーですよね?」


――はい、主に下ネタに関するお悩みですが……(笑)。浅川さんは女優活動をされる上で何か悩んでいらっしゃることはありますか?


浅川「今は『SUPER☆GiRLS』を卒業したばかりなので、『元アイドル』と周りから見られるのは仕方ないと思うのですが、これがもし1年後、2年後も続いてしまうとしたら、怖いなと最近思っています」


福原「俺も元々が小劇場で舞台をやっていた人間なので、映像の仕事を始めたときは『小劇場出身』って周りからバカにされているような気がしていましたね」


――新しい活動をはじめる際に、周りの人が前の肩書きに引っ張られて見てくることはありますよね。


浅川「ほとんど『元アイドル』と書かれない川栄李奈さんみたいに、私もアイドルとしてのイメージを脱却したいです。川栄さんは『女優の川栄李奈』の肩書のほうが印象として強くなっているじゃないですか」


福原「演出家としては、演者の経歴がアイドルでもバンドマンでも気にしないですけどね。メディアは必ず『元アイドル』って書くだろうし、気にしてしまうのは仕方ないと思いますが」


浅川「そうなんです。「あの子はアイドルだから」と……自分でも気にしすぎなのかなと思ってたんですけど……」


福原「演技で他を圧倒する実力をつければ、バカにする人は周りからいなくなると思います。『元アイドル』という理由だけで下に見てくる人なんて、本当にしょうもない人なので」



――自分のレベルが上がれば、周囲のレベルが低い人は置いていかれると……!


福原「阿部寛さんの昔のキャリアを知るとみんなが『実は元モデルらしい』といい意味で驚きますよね。浅川さんも今後お芝居を頑張っていけば『実は元アイドルらしいよ』といい驚きをされるようになると思います」


――たしかに、いま活躍している俳優さんも様々なバックボーンをお持ちですよね。


福原「とにかく演技の力をつけておけば、歌や踊りが必要な役に、「アイドル活動していたし、安心かも」とオファーがくる可能性もありますよね。元アイドルの肩書がメリットになりますよ。
それに僕は舞台の人間なので、個人的にはカメラの前にしか立ったことのない人より、板(ステージ)の上に立って、目の前のお客さんと勝負してきた人のほうが表現活動をする上で強いと思っています。そう言った意味でもアイドル経験はきっと武器になりますよ」


舞台では役者が観客の脳内を編集する



――ステージの上に立つ人の強さとは具体的にどのようなものなのでしょうか?


福原「自分の演技が観る人の心にどう響いているか、目の前のお客さんの生のリアクションで確認できるので、成長につながりやすいと思います。演技をしながら、その瞬間、瞬間で、お客さんに届いているか届いていないか、ジャッジされ続けるわけですから」


浅川「たしかに……!ただ、私は今までアイドルとしてステージには立ってきましたが、女優として舞台であまり演技をしたことがないんです。映像と舞台の演技の違いを上手く掴めていないんですが、映像と違って、舞台だと表情だけじゃ伝わらないことが多くて……」


福原「舞台役者に必要なのは、映像でいう“編集の力”だと思います。映像だと、実際に完成した作品は、現場でやった演技とリズムが違いますよね?顔のアップの次に、相手役と2人で会話するシーンなど、異なる種類のカットが編集によってテンポ良く整えられて完成品となるわけですが、舞台の場合は役者が、この編集にあたる役割もこなさなきゃいけないと、僕は思っています」


――演劇は映像より、演者に主導権があるんですね。


福原「演技力がある人は、『観客の目というカメラ』が自分をどう撮影するのかを、操作できるんです。3000席ある劇場の一番後ろの席で見ているお客さんに、まるで顔のどアップを観ているような感覚にさせてから、次の瞬間、引きの画で舞台全体を見てもらったりすることも出来るし、その能力を悪用して『他の役者の見せ場だけど、私見て!』と観客の注意を自分に向けることもできるんです」



浅川「すごい……! 具体的にどんな方法をとればいいのか気になります」


福原「具体的には……ワークショップで2週間くらい教えないと難しいですね(笑)」


浅川「ワークショップ、参加させてください!」


福原「あとはたくさん演劇を見ることで演技の種類がわかってくると思います。
音楽がクラシック、パンク、民謡、フォークと色々なジャンルがあるように、演技のジャンルも様々です。もっと細かく言えば、トランペット吹く人とドラムを叩く人くらい技術が違うんですよ。なのに、“演劇”、”演技”というくくりで、ひとくくりにされてしまう。芝居を見ながら「これはギター」「これはトランペット」みたいに見分けるつもりで考えてみていると、自分でもできるようになってくると思います。
様々な“演技の楽器”を見るためにも大きい舞台だけでなく、ぜひ小劇場の舞台も観に行ってみてください


浅川「観に行かせていただきます!」


福原「今は大きい舞台で活躍している人も小劇場からキャリアがはじまっている人は多いですから、参考になると思います」

輝くか、輝かせるか


浅川「前に出演したスズカツ(鈴木勝秀)さん演出の『GANTZ:L』も共演者の方が2.5次元という演劇ジャンルで活躍されている人ばかりで、圧倒されました」


福原「スズカツさんは素晴らしい演出家だけど、怖いですよね」


浅川「めちゃめちゃ怖かったです(笑)。初日終わって褒められて、思わず泣きそうになりました」


福原「その時はなんて褒められたんですか?」


浅川「『稽古のときと比べられないくらいよくなったから、まだまだできるはず』と言われました。『今より上を目指せるよ』と言われているようで、愛のある厳しさを感じましたね」



――かなり期待のこもったお言葉ですね……! 稽古場ではどんなことを言われたのですか?


浅川「稽古場でのスズカツさんは、他の人にはきっちり指摘するのに、自分はあまり指摘されないことが多くて……。その時は『自分で考えろ』という意味だと思って、毎日、家帰って台本読んで、とにかく考え続けました。それでも掴めた気がしなかったんですが……。でも、そんな日々が初日に報われた気がしたんです。その状況がとても楽しかったです」


――浅川さんは自分には何を課せられているかを、常に察して行動されているように思えます。


浅川「自分のできる役割は常に考えるようにしています。
スパガ時代も自分の性格上、王道アイドルでいるのは無理だと思って、毒舌でみんなにツッコミを入れて、周りを輝かせられればと思っていました」


――今回の共演者の護あさなさんのインタビューでも「途中で“私はヒロインになれるタイプではない”と気づいてからうまくいき始めた」とおっしゃっていたのですが、浅川さんがアイドル時代にご自身の居場所を自覚した瞬間は覚えていらっしゃいますか?


浅川「アイドル時代にグループのセンターに立たせてもらったタイミングですね。本当は自分は真ん中に立つ人間ではないと思いながらも、みんながやりたいポジションに立たせてもらったからには、弱さを見せずに、堂々と振舞おうと自覚はしました」


――意外です! アイドルはセンターのポジションを与えられたら、嬉しいものだと思っていました。


浅川「たしかに光栄ですし、嬉しいんですけどね……。元から自分にはキラキラしたスポットライトが似合う人間ではないと思っているので……。周りの人を引き立てる立場でいるほうが合っている気もしますし。もちろん作品で主演をやらせていただいてるときは『自分にはここが似合う!』と自己暗示をかけるようにしています」



福原「浅川さんのお話に真剣にアドバイスすると、スポットライトかサーチライトか、という話があるんですよ」


――聞かせてください!


福原「スポットライトを浴びている人って、実は光を浴びているだけでその人自身が光を発しているわけではないんですよね。逆に浅川さんのように周りを生かそうとする人は、サーチライトみたいなもので、自分の中に光があって、その光でもって周囲を照らしてあげてると思うんです。ライトを持っているので、光源なんですよね。一見、スポットライトを浴びてる役者のほうが輝いて見えるかもしれませんが、本当に光っているのはライトを当てている役者のほうじゃないでしょうか」



浅川「うわあ……グサッときます」


福原「こんな恥ずかしいこと、言いたくなかったけどね!(笑)」


浅川「確かに、自分は一歩引いて誰かを立てているときがいちばん輝けているような気がするので、頑張ります!あとワークショップは本当に、絶対参加させてください!」


福原「最近あまり開催できていないのですが、実施する際はぜひ!」


――浅川さんが福原さんのワークショップに参加する際はぜひチェリーで密着企画をやらせてください!

(取材・文:小峰克彦 写真:中場敏博)


【『血まみれスケバンチェーンソーRED』関連記事】
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「大きな胸がコンプレックスだった」デビュー10年・護あさなの“ヒロインになれない”人の生きる道

『血まみれスケバンチェーンソーRED』 映画情報
2019年2月22日(金)公開

【STORY】
自前のチェーンソーを持ち歩く鋸村ギーコ(浅川梨奈)はうぐいす学園に通う女学生。ある日、同級生の碧井ネロ(あの)が創り出した改造死体たちに襲われ始める。迫り来る改造死体たちを撃退して行きながら首謀者のネロのアジトに乗り込み直接対決を試みる。なぜ、ギーコを執拗に襲うのか!? それには衝撃の理由があった! ネロとの苦闘、そして鎧をまとった新たな敵との遭遇。彼女はうぐいす学園新生徒会ガーディアンズの総長ネメシス(護あさな)。ギーコ絶体絶命のピンチに!!

監督:山口ヒロキ
脚本:福原充則
出演:浅川梨奈 あの 護あさな ほか
配給:プレシディオ

公式HP:http://www.vap.co.jp/chimamire/

©2019三家本礼・KADOKAWA刊/うぐいす学園3年A組


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