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「高くなった」いきなり!ステーキ、1年で店舗数倍増→“客の共食い”で深刻な客離れの懸念

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2019年03月02日 08:11  Business Journal

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写真いきなり!ステーキの店舗(撮影=編集部)
いきなり!ステーキの店舗(撮影=編集部)

「いきなり!ステーキ」が米国で試練に立たされている。運営会社のペッパーフードサービスは2月14日、ニューヨーク市内に展開する11店舗中7店舗を閉鎖すると発表した。残る4店のうち2店は同社が展開する別のステーキ店「ペッパーランチ」に業態転換する。収益力のある「いきなり!ステーキ」2店はそのまま営業を続ける。こうして9店の「いきなり!ステーキ」が一気に消えることになった。


 同社は2017年2月に海外初の「いきなり!ステーキ」をステーキの本場、米国のニューヨーク市内にオープン。2年足らずで急拡大させた。


 進出当初は反響が大きく、同社は1号店について「1日400人ものお客様が訪れる」と盛況ぶりをアピールしていた。現地のマスコミの注目も高く、「ABC」などテレビ各局のほか、新聞「ニューヨークタイムズ」や通信社「ロイター」などにも取り上げられたという。


 また、18年5月にオープンしたニューヨーク7号店となる「ブロードウェイ店」の開店初日には長蛇の列ができた。「半額セール」を実施したこともあり、客数が589人に上るほどの盛況ぶりだったという。開店前から閉店まで行列が続いたとしている。


 初期の頃は日本流を貫くなど強気の姿勢で挑んだ。日本では当たり前の「立ち食い」スタイルや、グラム単位で売る「量り売り」を持ち込んだのはもちろん、客に紙エプロンを配布したり、荷物を入れる箱をテーブルの下に用意したりもした。どれも日本の「いきなり!ステーキ」では当たり前に行われていることだが、ニューヨークでは珍しく、「日本流のおもてなし」として注目を浴びた。


 ステーキも日本流にこだわった。米国では「ミディアムレア」の焼き方の注文が多いなか、日本の店舗で勧めている「レア」をあえて米国でも積極的に提案するようにした。また、日本で馴染みの醤油ベースのソースを持ち込んだりもしている。こういった日本式のステーキに話題が集まり、物珍しさから最初の頃は人気を博したが、次第に飽きられ人気は低迷するようになった。


●「いきなり!ステーキ」が米国で失敗した理由


「いきなり!ステーキ」は最終的にはニューヨーカーに受け入れられず、不採算店の閉鎖を余儀なくされた格好だ。背景には、ステーキに対する日米の考え方の違いがある。


 まず、「立ち食い」が米国人に合わなかったことが挙げられる。日本では「立ち食いそば」や「立ち飲み屋」、「俺のフレンチ」などの「立ち食いレストラン」があり、「立ち食い」の文化がそれなりに根付いている。一方、米国にはそれが根付いてはいない。そのため、米国では早々に立ち食い席からテーブル席への切り替えを余儀なくされている。


 日本の店舗では馴染みのテーブルの仕切りを、米国では取り除いている。日本では1人での来店が多いということもあり、正面の人と顔を合わせずに食事ができるようテーブルに仕切りが設けられていることがある。一方、米国では2人での来店が少なくなく、正面に向き合って食事をする場合、仕切りは邪魔になってしまう。そのため、米国では仕切りの撤去を余儀なくされた。


 ステーキに対する日米における位置づけの違いもある。米国はステーキの本場だが、外食では高級なステーキが好まれるため、低価格のステーキは外食ではなく自宅で消費されるのが一般的だ。そういった状況で米国にあえて高級ではないリーズナブルなステーキを提供する「いきなり!ステーキ」を投入したわけだが、残念ながら、米国人のステーキの消費習慣を変えるには至らなかった。


 日本流の「レア」が受け入れられなかった面もある。そのことを示すように、飲食店情報サイトには肉の焼き加減について利用者の厳しい声が集まっている。


「They recommend rare but that's hard for someone who's pregnant or not used to eating raw steaks.(店はレアを勧めているが、妊娠している人や生のステーキを食べることに慣れていない人には難しいことだ)」


 ステーキの脂の多さに対する批判の声も少なくない。これは、ステーキの脂身に対する日米の好みの違いからきているだろう。一般的に、日本人は脂身が多いステーキを好むとされているが、米国人は脂身の少ないステーキを好むとされている。そのためか、「The steak was full of fat.(ステーキは脂肪が多かった)」といった、脂身の多さを批判の論調で指摘する人が少なくない。


 さらに、価格と品質のバランスの悪さを指摘する人も多い。


「High prices, low quality. Looks like a tourist trap, stay away.(高価格、低品質。観光客を騙す罠のようだ。近づくな)」
「I was taking friends from work here but will just go to Gallagher's from now on for the same price.(私は仕事仲間をここに連れてきたのだが、これからは同じ価格帯のギャラガーズに行くようにする)」


●急拡大でサービス品質が追いつかなかったか


 そして、サービス品質の低さが致命的となった。


「Service was horrible.(サービスが酷かった)」
「After an hour and a half we got our food.(料理は1時間半たってようやく到着した)」
「We waited for 1hr and 20 mins when the restaurant wasn't too packed and got NO FOOD.(混んでいないのに1時間20分たっても料理は出されなかった)」
「I waited one hour for my steak/three other customers who ordered got their steaks already.(私は注文したステーキが出されるのに1時間待たされた/ほかの3人の客がすでにステーキが出されているにもかかわらず)」


 サービス品質の低さは大きな問題だ。日本と同様に米国でも店舗網を短期間で急拡大させたわけだが、それにサービス品質が追いついていない。顧客の声からは、従業員教育が後手に回り、店舗オペレーションで混乱が生じている様子がうかがえる。これでは顧客が離れていって当然だろう。


 こうしてみると、「いきなり!ステーキ」が米国で失敗したのは当然の結果といえる。「とにかく出店できればいい」という安易な考えで事業を進めてしまったため、不完全で中途半端な店舗ばかりが増えていったようにみえる。「サービス品質の低さ」がそのことを如実に物語っているのではないか。


「いきなり!ステーキ」の米国事業は、いったん頓挫したかたちだが、それよりも大きな問題となりそうなのが、日本市場だろう。日本でも米国同様に大量閉店の憂き目に遭う可能性が低くはないと考えられるためだ。


「いきなり!ステーキ」の1月の既存店売上高は、前年同月比19.5%減と大幅減収だった。減収は10カ月連続となる。飛ぶ鳥を落とす勢いがあった国内の「いきなり!ステーキ」も、ここにきて勢いに陰りが見えている。


 背景には、度重なる値上げで割高感が出たことやブームが一巡して飽きられたことがある。そして注目したいのが大量出店の弊害だ。


「いきなり!ステーキ」の1月末時点の国内店舗数は、1年前から205店増えて401店となった。わずか1年で倍増した。この大量出店により自社競合が生じている。これが減収の大きな要因になった。そしてもうひとつ重要なのが、大量出店からくるサービス品質の低下だ。一気に大量出店してしまうと新人店員が多くなったり、教育が行き届かなくなってしまうなどでサービス品質が低下する危険性が高まる。そうなってしまえば、サービス品質の低さを嫌気した客離れが生じてしまうだろう。


 これが米国で起きたことは、前述したとおりだ。店舗網が急拡大したことで従業員教育が行き届かず、それにより店舗オペレーションで混乱が生じるなどしてサービス品質の低下を招いた。こうして米国では客離れが起きたわけだが、日本でも同様のことが起こりかねない。そうなれば深刻な事態を招くだろう。ペッパーフードサービスは、このことに細心の注意を払う必要があるといえそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)


このニュースに関するつぶやき

  • たかだか100年程のステーキ文化後進国如きが生まれた時から肉食文化圏への殴り込みは無謀すぎる!!ステーキソースでの需要はあるが肉の美味さを理解してる?
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  • だいたい1グラム10円位でライスとサラダは別料金。注文窓口前で行列できていました。テーブルに注文取りに来てほしいです。
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