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セブン元オーナーが怒りの告発「本部の契約は人の命より重いのか」…台風でも営業強要

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2019年03月02日 11:31  Business Journal

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写真三井義文氏
三井義文氏

「私たちは、加盟店オーナーという奴隷になりました」――こんな衝撃的な言葉で始まるのが、2018年9月に出版された『コンビニオーナーになってはいけない 便利さの裏側に隠された不都合な真実』(旬報社/コンビニ加盟店ユニオン、北健一)だ。


 コンビニエンスストアのフランチャイズ店の過酷な労働実態と本部の理不尽な対応を明らかにする同書は、「本部だけが儲かる『廃棄』の数値目標が設定されている」「人気のフライヤー商品が売れても加盟店は潤わない理由」「本部は『契約更新拒否』を脅しに使う」「本部に利益が吸い上げられる『コンビニ会計』のカラクリ」などを伝えた上で、「これは現代の奴隷制度なのか?」と警鐘を鳴らす。


 折しも、セブン-イレブンの東大阪南上小阪店が人手不足から未明の営業を取りやめたことで、セブン-イレブン・ジャパンと対立する問題が起きている。同店では、オーナー・松本実敏氏と一緒に働いていた妻が18年5月に亡くなり、松本氏が連続16時間超の勤務を強いられることになったため、やむを得ず営業時間を短縮する措置を取ったところ、本部から契約解除と違約金1700万円を求められたという。時短営業には、本部と加盟店との間に「特別な合意」が必要だとされている。


 松本氏は2月27日に本部を訪れ、コンビニ店のオーナーでつくるコンビニ加盟店ユニオンも同日に本部へ団体交渉の申し入れを行った。その後、松本氏とユニオンが行った記者会見で、ユニオン側は松本氏の事例や18年2月の福井豪雪でオーナーが丸2日間以上寝ずに店番をしたケースを挙げ、「生命の危機的状況」と指摘。「契約の運用実態が、何がなんでも24時間営業を続けなければならないという非人道的なものであるならば、もはや公序良俗に反し、契約自体が無効と判断されるべきだ」と主張した。


●人命より契約を優先するかのような本部の対応


 ユニオンの前副委員長でセブンのオーナーを9年間務めた経験を持つ三井義文氏は、「もちろん、(24時間営業を定めた)契約は尊重しないといけない。ただ、世の中の情勢は変わっていくわけですから、本来であれば環境の変化に応じて双方で話し合いを行い、契約の内容を見直していくべきです。そして、将来に向けて永続性のある経営を可能にするための仕組みづくりを行っていくべきです。しかし、セブンの契約内容は当初からまったく変わっていない。本部の社員も、そう言っているのが実情です」と語る。


 三井氏は、現役オーナーの時代から「健全なコンビニ運営」を求めて声を上げてきた。問題点があれば追及し、本部がすべてを仕切る仕入れの不透明性について「このお茶、セブンで仕入れると価格は87円ですが、量販店では78円で売っている。おかしいでしょう」と指摘し、実際に自店で独自に仕入れを行ったこともある。その結果、15年契約を6年残して店を閉めることになったのだ。


「本部は何かと契約書を盾にするが、たとえば時短営業を認める『特別な合意』についても具体的な条件は一切書かれていない。そして、今や現場は契約書通りにやったら死ぬかもしれないという事態になっているのに、いまだに契約主義を貫くのはおかしいですよ。今一度、『契約は命より重いのか』という問いを突きつけたい。これはコンビニだけではなく、労働契約もそうですし、企業間の元請けと下請けの関係などもそうでしょう。弱いものは潰れてもいいなんていう社会が幸せなはずがありません」(三井氏)


 一方、セブンの古屋一樹代表取締役社長は、かねてメディアの取材に対して「24時間営業はやめない」と公言している。


「それどころか『今がチャンス』だとも言っていますが、そうは思いません。人手不足で従業員の質が低下している上に、オーナーは過重労働で管理が行き届かない。そのため、“バイトテロ”などが社会問題化していますよね。本部も現場もお互いによくない状況になっている現実を見るべきで、現場を顧みない企業が栄えることはないですよ」(同)


 また、三井氏は「現場と本部の話し合いがいつも噛み合わない理由」について、こう指摘する。


「本部にとって加盟店は、セブンであれば2万分の1にしかすぎない。でも、オーナーにとって加盟店は世界にひとつだけの店であり、自分の人生そのものです。そこに価値観のずれがあると思います。本部にとっては本部側のイメージや利益を上げる仕組みを守ることが最優先で、そのためには一店舗がどうなろうとかまわない。そういう考えがベースにあるのではないでしょうか。24時間営業の問題もそのひとつが表面化しただけですが、オーナーにとっては自分の命にかかわる問題です。その温度差も大きい。


 本部は経営資源の『ヒト・モノ・カネ』のモノとカネだけはしっかり仕組みをつくっていますが、ヒトの部分がないがしろにされているし、加盟店をだいぶ下に見ているのは明らかですよね。以前、あるコンビニチェーンのリクルーター(店舗開発のために好条件の不動産とオーナーを見つける本部の役職)は『コンビニのオーナーは学歴が高い人や理屈をこねる人はやめたほうがいい。とにかくレジが打てればいい。日本語がしゃべれれば、なおいい』と言っていました。つまり、単なる作業員としてしか見ていないということです」(同)


●「避難勧告が出ても、オーナーは逃げないで」


 全国で5万店を超えるコンビニは、もはや「社会インフラ」とも称される。セブンの古屋社長も「セブン-イレブンはもはや、社会インフラというよりライフラインそのものだ」と語っており、我々の生活に欠かせない存在であることは間違いない。


「疑問に思うのは『どういうインフラなのか』ということ。確かになんでも揃っていて便利で、誰でも手軽に利用できる。そういう意味でインフラとしての役目を果たしているのはわかりますが、非常時に帰宅困難者を受け入れたり地域の見守り隊になったりするというのは現実的に考えて難しい。そのための準備もしていなければ、訓練も受けていないわけですから。『やるならちゃんとやりましょう』ということで、私は非常時の備えについて本部に提案したことがあります。備蓄の量や簡易トイレの用意などについて相談したのですが、本部は一切動かない。お金を出したくないんです」(同)


 三井氏は、大型台風の際に本部社員から「避難勧告が出ても、先に逃げないでください。この地域で最後に避難するのはオーナーさんですからね」と言われた経験を持つ。近くにはたびたび大雨で氾濫する川があるにもかかわらず、だ。当初は社員の言葉を真に受けて店を開けていた三井氏は、夜に見回りに来た消防団員に「訓練を受けた我々がいるわけですから。ここに残る必要はありません」と言われ、ハッと我に返ったという。


 三井氏が「犠牲者はさらに増えていく恐れがある」と懸念するコンビニオーナーの処遇が改善される日は来るのだろうか。
(文=編集部)


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