『トクサツガガガ』主演の彼女がMVP!折原みとら辛口漫画家3名が冬ドラ座談会

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2019年03月03日 12:00  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

2019年冬ドラマの出来栄えは……!?

 1月期の連続ドラマの中から3人の舌鋒がまず向いたのは、人気脚本家・遊川和彦が演出も手がける『ハケン占い師 アタル』(テレビ朝日系)。杉咲花扮する派遣社員のアタルが相手の隠れた内面が見える特殊能力を生かして、同僚の悩みを解決するお仕事コメディー。

上田倫子(以下、上田)最初の10分で悩みや抱えている問題を予感させ、見やすい作り。

折原みと(以下、折原)遊川さんの脚本は当たりはずれあるけど、このドラマは面白い。志尊淳が女装して出て来る場面では「えっ、また」って思ったけど(笑)。もう違うキャラをやってほしいな。

なかはら・ももた(以下、なかはら)花ちゃんが写メを自撮りするときに見せる笑顔が素敵。前髪を切って超可愛くなった。占いをしているときの高飛車な裏の顔も、あの笑顔があるから許せちゃう。

折原 アタルは占い師というより企業カウンセラーだよね。

上田 同じくお仕事ドラマの『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)は去年、金曜ドラマ『大恋愛』(TBS系)が話題になった、大石静の脚本。期待して見たんだけど、主人公を演じる北川景子のロボットみたいなキャラが相変わらずで、ちょっと……。

折原 あれはあれでキャラが立っていて私は好き。

上田 煮え切らないキャラの工藤阿須加も残念。個人的には素敵な工藤君が見たいのに。

なかはら 前作のこのドラマからイモトアヤコが女優として本格的にデビューしたけど、演技うまいと思う。

折原 『下町ロケット』も、とってもよかったよね。

上田・なかはら そうそう!

なかはら 第2話のゲストに出演した泉ピン子さんみたいな女優を目指してほしいな。

折原 ピン子さんも期待しているみたい。頑張ってほしいね。

オヤジのワチャワチャは『おっさんずラブ』の影響!?

─伝説の不動産屋・三軒家万智(北川)が家を売りまくるヒットドラマの続編だが、今回から登場したフリーランスの不動産営業マンを演じる松田翔太については?

折原 『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)がヒットしてから、BL(ボーイズ・ラブ)的な展開をナチュラルに入れてくるのが気になる。今回の松田と千葉雄大の関係も『おっさんずラブ』が流行っているから入れとけみたいな安易な感じがする。

上田 そうだね。フェンシングの“差しつ差されつ”の場面は、ふたりの関係のメタファー(たとえ)なのかな。

なかはら あと『メゾン・ド・ポリス』(TBS系)みたいなおじさんのワチャワチャが増えたのも『おっさんずラブ』の影響だよね。

折原 ミエミエなのは、ちょっと引くよね。

 常盤貴子が『ビューティフルライフ』以来19年ぶりに日曜劇場に帰って来た『グッドワイフ』(TBS系)も注目を集めている。前期の『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)に続く米ドラマ原作のリーガルもの。

上田 弁護士ものはあまり興味がなかったんです。でも『グッドワイフ』は夫の疑惑という大きな流れがあって、専業主婦だった常盤演じる主人公が16年ぶりに子どもたちを守るために弁護士に復帰した姿をなんか応援したくなる。

なかはら 唐沢寿明、吉田鋼太郎、滝藤賢一、賀来千香子といったベテランが脇を固めているから、見ていてホッとする。

折原 私は小泉孝太郎推し! 日曜劇場は、ちゃんと作っている。そこがもうひとつのリーガルドラマ『スキャンダル専門弁護士QUEEN』(フジテレビ系)との違いかな。プロとアマの差ぐらい違う気がする。

なかはら 主演の竹内結子は素敵なんだけど、柔らかすぎる。上司に天海祐希的な顔力のある人がいてほしかった。『メゾン・ド・ポリス』のおじさんを1人貸してって感じかな。

 あとバカリズムは事務所のボンボンよりもお茶くみなのに“差し入れの達人”みたいな設定のほうがよかった。

上田 バカリズムが“ボンボンなのに実は有能というキャラ”に見えない。

折原 Perfumeや星野源の『恋』などのミュージックビデオを手がける映像クリエイターが演出しているから映像や音楽はカッコいいのに残念だね。

─今期、話題のドラマといえば、人気俳優・菅田将暉がゴールデン・プライム帯の民放連続ドラマで初めて単独主演を務めている『3年A組−今から皆さんは、人質です−』(日本テレビ系)。卒業までの10日間、菅田演じる主人公の教師が生徒29人を人質にとって学校に立て籠もり最後の授業を行うというショッキングな内容のドラマだ。

折原 上白石萌歌、今田美桜、川栄李奈、片寄涼太をはじめ『ごくせん』のように今後、売れる俳優の宝庫。青田買いする楽しみがあって楽しいな。

なかはら 緊張感を最後まで持続できるのか心配。それと現場の学校に警察は来ているけど、マスコミやネット民があまり来ていないのが少し不自然かなと思う。

上田 確かに少し引っ張りすぎ。映画や2時間ドラマのほうがよかったかなって気もする。マンガは最初の3ページ。ドラマなら最初の10分。魅力的なキャラクター、心がつかまれるようなストーリーがそろってないと、次を見たいと思わない。

折原 最初は『バトル・ロワイアル』か『悪の教典』っぽかったけど、だんだん『金八』になってきたね。

上田 でも、菅田君はどの角度から見てもイケメンだよ!

折原・なかはら 完璧!!

折原 ヒロインの永野芽郁ちゃんも頑張っているけど、朝ドラ『半分、青い。』の鈴愛にしか見えない。狙いかもしれないけど……。

─宮藤官九郎脚本の大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』は?

上田 登場人物が多く、時代も行ったり来たりしてわかりづらい。大河ドラマは時間軸を追いかけるものと思っていたから。それに古今亭志ん生を演じるビートたけしが何を言っているのかわからない。私は脱落しました。

折原 私もまだ面白いと思えない。

なかはら ほんとですか。確かにクドカンの時間軸を自在に行ったり来たりするドラマの見せ方を事前に把握しておかないとついていけなくなる。

 今年は大河ドラマというより、クドカンのドラマ。初回、あんなに登場人物が多いのに、キャラをキチンと整理してみせたのはさすが。わかりづらかったらNHK総合の前にBSでも放送しているので2度見てほしいかな。

 ただ、中村勘九郎は舞台映えするけど、テレビドラマの主役向きの顔じゃない。

大河は菅田くん、『3年A組』を勘九郎にチェンジで!

上田 今年の大河は菅田君みたいなイケメンがよかった。

なかはら でも、勘九郎はずっと見ているとバカで一生懸命で赤ちゃんみたいでめっちゃ可愛い。

折原 母性本能をくすぐられるの?

なかはら 大河は菅田君、『3年A組』を勘九郎で見てみたい気も。

折原 朝ドラ『まんぷく』は、最初の1か月とラーメン編だけでよかった。

なかはら 塩軍団とか雑すぎ。15分番組なのに、15人は覚えられません(笑)。

上田 ヒロインは福ちゃん(安藤サクラ)じゃなくて萬平さん(長谷川博己)だよね。発明と逮捕を繰り返して、取り乱してくれればドラマは成立する。

なかはら もう逮捕されちゃうのはやめて。

折原 福ちゃんが一体、いつになったら究極のマネージメント能力を発揮してくれるのか謎だよね。

 3人の“今期イチ推し”ドラマは、『トクサツガガガ』(NHK総合)。 特撮オタクだが、そのことを同僚や母親に秘密にしているOL・叶(小芝風花)の心の交流とカミングアウトがテーマ。ピンチになると叶にしか見えない特撮ヒーローが現れ救ってくれるなんともシュールな展開に、ネットなどでも称賛の声が躍っている。

折原 期待しないで見たら、メッチャ面白かった。登場人物たちが熱中する特撮ヒーロー番組『獅風怒闘獣将王(しっぷうどとうジュウショウワン)』の完成度がかなり高い。スピンオフ企画としてやってほしいくらい。

上田 東映とコラボしているからクオリティーも高い。NHKはオタク局。オタクにお金を持たせると大変なことになる。

なかはら テレビ朝日だったら、こうはならなかった(笑)。

折原 主演する小芝も朝ドラ『あさが来た』のときは目立たなかったけど、今回のコメディータッチの演技は素晴らしい。一気にブレイクしそう。

なかはら お母さんからの圧がすごかったら、会社で目立たない子になるのが普通なのに、会社でも人気があるというのが少し引っかかったけど……。

上田 性格がよくて男ウケもよくて女子力も高い。

折原 ドラマですから(笑)。

今芸能界でピンクヘアが許される男

─“推しドラマ”に続いて、“推しメン”は?

折原 今期は出ていないけど、私のイチ推しは、『中学聖日記』(TBS系)で有村架純の相手役に選ばれた岡田健史。高校球児がいきなり主役級でデビュー。私の小説『幸福のパズル』がドラマ化されたら主役は絶対、岡田君! と勝手に妄想しています(笑)。

 今期は、“はじこい”こと深田恭子主演ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)で深キョン演じる塾講師に恋をする受験生役の横浜流星かな。ピンク色に染めた髪型が似合う若手イケメン俳優は、彼しかいません!

なかはら 確かに(笑)。

 私のイチ推しは、“はじこい”に主演する深キョンと元同級生でキャバクラオーナー役の安達祐実。ドラマ自体はマンガにたとえると「ネームのまま載っちゃった感じ」で雑だけど、ふたりのツーショットはドラマ離れしていてドキドキする。

上田 私は断然、工藤阿須加です! いるだけで空気が変わるような佇まいが応援したくなる。

折原 MVPは男子なら菅田将暉。女子なら杉咲花、小芝風花かな。

上田 やっぱり今期は私たちを驚かせた『トクサツガガガ』のヒロイン風花ちゃんで!

なかはら 異議なし!!

折原 では満場一致で、今期MVPは、小芝風花に決定します。

<プロフィール>
折原みと/おりはら・みと◎1985年デビュー。'90年『時の輝き』が100万部を超えるベストセラーに。小説家としても活躍。最新刊は『結婚の名のもとに』。好きなドラマは『野ブタ。をプロデュース』『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』『あまちゃん』

上田倫子/うえだ・りんこ◎1986年雑誌『マーガレット』でデビュー。代表作は『リョウ』『月のしっぽ』『裸足でバラを踏め』など。現在アプリマンガMeeで『蘭と葵』を連載中。好きなドラマは『男女7人夏物語』『カーネーション』『あまちゃん』

なかはら・ももた◎1991年雑誌『ぶ〜け』でデビュー。NHK朝ドラ『マッサン』を公式マンガ化。『半分、青い。』のヒロイン・鈴愛の劇中マンガを担当し、スピンオフマンガ『半分、青っぽい。』も執筆。好きなドラマは、朝ドラ全般と『白い巨塔』

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