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大塚家具、延命措置が限界に…セール乱発&店舗閉鎖“頼み”、久美子社長の“反父親”経営失敗

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2019年03月04日 08:11  Business Journal

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Business Journal

写真有明本社ショールーム(「Wikipedia」より)
有明本社ショールーム(「Wikipedia」より)

 大塚家具の先行きが心配だ。2月15日に同社が発表した2018年12月期決算は、3年連続の最終赤字だった。店舗の閉鎖が続き、ショールームから客足が遠のいている。この状況が続くと、大塚家具の収益・財務内容は一段と悪化する恐れがある。それは、同社が企業として存続し続けることが難しくなることを意味する。


 同社の経営は迷走している。株主は、同社がどのようにして収益を獲得しようとしているか、わからなくなっている。消費者にとって、大塚家具の店舗は家具販売店ではなくなりつつあるように映る。店舗の閉鎖が続くなか、従業員は大塚家具の先行きに不安を覚えているだろう。一体、大塚家具とは何を本業に成長を目指す企業なのか、時間が経過するにつれて、ますますわからなくなってしまっている。


 大塚家具の再生には、経営陣が自社の本業が何かをしっかりと認識し、理解することが欠かせない。それは、自社の強みを認識しなおすことにほかならない。それができるか否かが、同社の将来を大きく左右するだろう。


●顕著な経営体力の低下
 
 どこで大塚家具の経営は進むべき道を見失ってしまったのだろうか。大塚家具が発表した2018年12月期決算の説明資料を見て、そう思わずにはいられなかった。なぜなら、売上が減少し、赤字が続いているからだ。その上、売上や営業利益の計画が未達になっている。家具を販売する店舗の面積も縮小し続けている。状況はかなり深刻といわざるを得ない。


 2015年3月、大塚家具の創業者である大塚勝久氏とその娘である大塚久美子現社長は、経営の方針をめぐって対立し、委任状争奪戦(プロキシーファイト)を繰り広げた。結果として、株主は娘の久美子社長を支持し、経営を託した。その後、新社長自ら店頭に立って接客する姿が人々の共感や同情を誘い、大塚家具再生への期待が高まった時期もあったように思う。


 ただ、良いときは長続きしなかった。問題だったのは、経営トップの根本的な考え方だろう。現社長は、自社の強みを冷静に理解し、それを伸ばそうとはしてこなかった。それよりも社長は、父親の経営手法との決別を最優先に掲げ、旧来の経営体制の刷新を目指した。


 具体的には、会員制を中心とする顧客との密な関係を重視する接客姿勢が改められた。それは、大塚家具が自らの強みを、自ら放棄したことと言い換えられる。その結果、顧客離れが深刻化し、赤字が続いている。


 業績が悪化するなか、大塚家具は長期的に有効と考えられる対策を実行できていない。同社の対応は、店舗閉鎖によるコスト削減と、セールによる一時的な収益獲得に終始している。店舗閉鎖は、従業員の士気を低迷させる。接客を強みとしてきた同社にとって、それは致命的だ。また、度重なるセールによって、大塚家具は良いものを相応の値段で売る家具販売企業としてのブランドを、自ら壊してしまった。それが顧客離れに拍車をかけた。大塚家具は負のスパイラルに落ち込み、もがけばもがくほど苦しい状況に直面してしまっているように見える。


●混迷深まる大塚家具の本業
 
 苦境から逃れるために、大塚家具はアライアンス(業務・資本面などでの提携関係)を進めてきた。特に、大塚家具は目先の資金確保を重視してアライアンスを進めてきたように見える。その結果、大塚家具の本業が何か、何をしようとしているのか、よくわからなくなってしまった。大塚家具は暗闇で道がわからなくなり、右往左往している旅人のような状態にある。


 2017年11月、大塚家具は経営再建を進めるために貸し会議室大手のTKPと業務・資本提携を締結した。この提携の目的は、客離れによって余剰となった売り場を貸会議室として運営し、収益を補うことにあった。同時に、大塚家具にはTKPからの追加出資に関する淡い期待もあっただろう。


 これは、大塚家具にとって大きなつまずきになってしまった。もともと、家具売り場だったところに突如として貸し会議室があるのは、かなり異質であり違和感がある。長い間、大塚家具で家具を買ってきた友人は、「同社が家具販売に背を向け、何を目指しているかよくわからなくなった」との感想を口にしていた。大塚家具は家具を売るというビジネスの原点から、自ら遠ざかり始めたといえる。


 昨年12月、大塚家具は事業強化のために中国家具販売大手との提携を発表した。さらに2月15日、同社は日中間の越境EC企業との提携に加え、約38億円の第三者割当増資を発表した。


 この取り組みは遅い。すでに、EC事業にはさまざまな企業が参入しており、競争が激化している。成長性を高めるためには、発想の転換が求められる。すでに、家具市場では販売に加えサブスクリプション・ビジネスへの取り組みが進んでいるからだ。サブスクリプション・ビジネスとは、企業が顧客に継続的に課金し、顧客の好みに合った商品などを提供するサービスをいう。デジタル技術の活用によって、顧客の好みに合った商品やサービスを提案したり、契約の手間を減らすことなどがその特徴だ。


●困難さ増す変化への対応
 
 持続的な成長を目指すために、企業は何が自社の本業(強み)かを、客観的に認識しなければならない。もともと、顧客に家具を使うシーンを具体的にイメージしてもらい、ほしいと思う気持ちを醸成することが大塚家具の強みだった。


 しかし、大塚家具はその強みを失ったように見える。同社は積み重ねてきた顧客との関係性を手放した。それは、同社で家具を買うことと、イケアやニトリで家具を買うことの違い(差別化要因)がなくなってしまったことと言い換えられる。本業を見失うと、業績は悪化する。それだけでなく、環境の変化に適応することも難しくなる。


 すでに、わが国ではカマルクジャパンなどが家具のサブスクリプション・サービスを提供している。大塚家具から顧客を取り込んできたイケアも、家具のサブスクリプション・ビジネスのテストを開始する。サブスクリプションのサービスを使うことによって、顧客はライフスタイルおよびステージに合わせて、ほしい家具、あるいは必要な家具を手に入れることができる。サブスクリプション・ビジネスへの取り組みが広がるにつれ、家具を扱い販売する企業には、家具を売るだけでなく、家具を使うことによって得られる喜びなどをつくり出すことも可能になる。


 現在の経営状態を踏まえると、大塚家具がこうした取り組みを進め、変化に適応することは容易ではない。もし同社がビジネスモデルの立て直しを進めるのであれば、従来の発想では難しいように思う。2月15日、大塚家具の株価は前日から15%超下落して引けた。新たな業務提携が同社の業況改善につながるのは難しいと、先行きを悲観する市場参加者は多い。


 大塚家具は、親子の対立を境に、冷静に自社の強みを磨くことが難しくなってしまった。中国での売上拡大を目指すにせよ、国内での販売強化にせよ、大塚家具は自社の強みを見直し、原点に立ち返らなければならない。それができるか否かが、同社の今後の展開を左右するだろう。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)


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  • 高級家具を買う人が減ったのかも。
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