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業務部門が自ら“AIをカスタマイズ”可能に Salesforceは“AIの民主化”を加速させるのか

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2019年03月04日 13:52  ITmediaエンタープライズ

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ITmediaエンタープライズ

写真会見に臨むセールスフォース・ドットコムの早川和輝プロダクトマーケティングマネージャー
会見に臨むセールスフォース・ドットコムの早川和輝プロダクトマーケティングマネージャー

 「AI(人工知能)はこれまで、アプリケーションに埋め込む形で提供してきたが、お客さまから『自分たちでもカスマイズできるようにしてほしい』との要望をいただき、新たに“カスタムAIプラットフォーム”を用意した」――。セールスフォース・ドットコムの早川和輝プロダクトマーケティングマネージャーは、同社が先頃開いたクラウドサービスの新機能に関する記者説明会でこう語った。



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 同社が新たに打ち出したこの施策は、親会社である米Salesforce.comが2018年9月に発表したもので、日本ではこの2月に本格展開される形となった。今回、この話を取り上げたのは、IT業界でこのところ流行語にもなっている“AIの民主化”に波紋を投げかける可能性があると思ったからだ。



 Salesforce.comは2年半ほど前から、「Salesforce Einstein」(アインシュタイン)と名付けたAIプラットフォームを提供している。その提供開始時に、日本法人のセールスフォース・ドットコムが開いた会見を基に書いた2016年11月21日掲載の本コラム「Salesforce.comがAIに本腰、競合とどこが違うか」も参照いただくとして、今回の会見で早川氏がEinsteinの新施策に至るこれまでの取り組みを、図を示しながら説明したので紹介しておこう。



 まず、図1に示したのが、同社が現在提供しているCRMに関する総合サービス「Customer Success Platform」である。もともとは社名の由来である営業支援(SFA:Sales Force Automation)からスタートし、顧客接点に必要な要素を増やしていった格好だ。2018年からは、これらの要素をさらに深く連携させてデジタル変革につなげようという「Customer 360」と呼ぶサービスも提供している。



 そして、そのCustomer 360の表示に寄り添うように顔を出す博士のようなキャラクターが、Einsteinである。早川氏によると、「この図は、“周りのソリューションから得られたデータをEinsteinに集約して活用すること”を表現している。すなわち、EinsteinはCRMに最適なAIであることをアピールしている」とのことだ。



●Einstein PlatformはAIの民主化に波紋を投げかけるか



 Einsteinは、図2に示すような4段階の機能を持つコンポーネントからなる。大量のデータから傾向やパターンを発見する「DISCOVER」、傾向やパターンから次に起こることを予測する「PREDICT」、予測に基づいた推奨を行う「RECOMMEND」、推奨した内容の自動化を図る「AUTOMATE」が、それである。



 早川氏はこの点について、「一般的なAIは予測までだが、Einsteinは自動化までの機能を持つ。こうしたことから、私たちはEinsteinを“CRMアシスタント”と呼んでいる」と説明した。



 この4段階の機能とともに、同氏がEinsteinの最大の特長として挙げたのは、図3のようにSalesforce CRMのアプリケーション画面にAIが埋め込まれていることである。すなわち、営業担当者が日々利用するアプリケーション画面でのさまざまな処理を、Einsteinが適時アシストしているのだ。この点が、冒頭で紹介した同氏の発言の「これまで」の部分である。



 では、冒頭の発言における新たな話として、顧客自らもカスタマイズできるようにした“カスタムAIプラットフォーム”とは、具体的にどのようなものなのか。それを示したのが、図4である。



 この図の見方としては、最上部が4つのSaaSによるアプリケーション層で、その下に共通の分析基盤として「Einstein Analytics」が位置付けられている。また、最下部はデータで、その上にはデータディスカバリーなど、EinsteinのベースになるAI技術が位置付けられている。そして、それらの間に挟まれた濃い青色の層が「Einstein Platform」、これがすなわちカスタムAIプラットフォームのことである。



 Einstein Platformには、図のように、現在6つの機能部品が用意されている。一方、図5に示したのが、それぞれのSaaSに埋め込まれているEinsteinの技術群である。ご覧いただければお分かりの通り、Einstein Platformの機能部品はこれらの技術群の中から、顧客のカスタムニーズに応じてピックアップしたものである。



 早川氏はEinstein Platformについて、「お客さまがカスタム利用しやすいように、柔軟に組み合わせて使いやすい機能部品を用意した」と説明。さらに、「これを機にEinsteinをもっと幅広く活用していただけるように努めたい」と意欲のほどを語った。



 同氏の発言を聞いて頭に浮かんできたのは、“AIの民主化”という言葉だ。AIを多くの人たちに使ってもらえるように、との意図が込められているが、その大きな要素となる「使いやすさ」についての論議はあまり聞いたことがない。その意味でEinstein Platformの動きは、AIの民主化に波紋を投げかけそうだ。



 さらに、会見後、早川氏に話を聞いたところ、今後、Einstein Platformのオープンソース化も進めていく計画があるようだ。そうなると、EinsteinはSalesforce CRMの世界を飛び出す可能性さえある。その意味でもEinsteinの動向に注目しておきたい。


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