ゴーン代理人、弘中惇一郎弁護士「カミソリの切れ味を試してみたい」無罪めざす

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2019年03月05日 09:01  弁護士ドットコム

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日産自動車に私的な損失を付け替えたとの会社法違反(特別背任)の罪などで起訴されたカルロス・ゴーン被告の代理人を務める弘中惇一郎弁護士(73)は3月4日、日本外国特派員協会(東京都千代田区)で会見を開いた。


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弘中弁護士は、小沢一郎氏ら大物政治家の弁護もかつて引き受け、「無罪請負人」「カミソリ弘中」と評される。「私は道義的なレベルでも、ゴーンさんに責められる点があると思っていない」「(私は)73歳だが、まだカミソリの切れ味があるかどうか試してみたい」と語った。



弘中弁護士と報道陣とのやりとりは、主に以下のとおり。



●「無罪が取れておかしくない」

ーー今回の事件について特別に感じている点は



「先般のNYタイムズに、『このような事件が起きるなら、他の国の優れた経営者は日本に来れなくなるだろうという』ことが載っていた。日本の社会のため、将来のためにゴーンさんの無罪を明らかにするべきだと思っている。一刻も早く世界の方々からの信頼を取り戻す必要があると考えている」



ーー今回の保釈請求で新しい要素は



「ゴーンさんには不自由かもしれないが、外部と情報交換することができなくなるよう、コンピューターや監視カメラなどを使う手法を考えて保釈請求している」



ーー弁護人のチームが変わって何か戦略の変化は



「大鶴さん(前任の代理人弁護士で元東京地検特捜部長)から簡単な引き継ぎを受けているが、特に縛られるということはない。全く新しい発想で進めていきたい」



ーー無罪を確保できる自信は



「まだ始まったばかりなので大胆なことは言えないが、私としては無罪が取れておかしくないと思っている」



●人質司法、きわめてアンフェア

ーー勾留が長いことへの日本の司法制度の問題点が指摘されているが



「私が弁護士になった50年くらい前は、勾留はこんなに長くなかった。起訴されれば保釈されるというのは当たり前だった。鈴木宗男さんは400数十日、村木厚子さんも100数十日だった。



やっと裁判所の反省が出てきて保釈されやすくなったが、今の司法は『人質司法』になっていて、各国から批判が多いところ。私たちも1日も早くそういう事態を訴えて、保釈を取るようにしたい。



補足すると、本来なら検察官が有罪にできるまでの証拠が集まったら起訴をする。刑訴法は保釈を権利としている。(認められないのは)きわめてアンフェアだと思う」



ーーゴーン氏の健康状況は



「以前よりもどうかということはわからないが、拘置所であった限りでは、元気を維持しているという印象を受けた」



ーーどうしてこのタイミング(2月28日)で保釈申請したのか



「ゴーンさんは身柄拘束されてから4カ月くらい経っている。彼としては何としても早く保釈を得たいという気持ちがある。私どもとしても保釈は権利なので、早く認められるべきだと思っている」



●10年前に日産も認識、奇妙な蒸し返し

ーー今回の事件で何か怪しい、疑わしい部分があると感じているか



「(今回の起訴事実とされている内容はリーマン・ショックの頃のことなどで)10年とかそれ以上前の事柄で、当時は日産が問題視していなかったことを、日産が検察に持ち込んで事件にしたと考えている。そこで司法取引という形で、日産の幹部に害が及ばない形でやっている。これは普通の方法ではないと感じている」



ーー検察が決定的な証拠は最後まで出さないこともあり得るのでは



「この事件は公判前整理手続に付されている。公判前整理手続で出さなかった主張や証拠は、原則として公判には出せないということになっている。全くの隠し球が出てくる可能性はきわめて低いと思っている」



ーー有価証券虚偽記載を違反とするのは一般の投資家を保護する意味だが、たとえば巨額の粉飾決算をした東芝は問題視されていない。今回のゴーン氏は問題視され、バランスを欠いていないか



「おっしゃるとおり、東芝なんかと比べても非常にバランスを欠いている。事実関係はたくさんのことで争う点があると思うので、今後明らかにしていきたい。



(今回の問題は)本来、日産内部で調査して是正できる。10年も時間があったわけで奇妙だ。私は道義的なレベルでも、ゴーンさんに責められる点があるとは思っていない」



(弁護士ドットコムニュース)


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