北村匠海、中川大志、赤楚衛二ら若手俳優が重宝 ドラマにおける“最年少ポジション”が担う役割

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2019年03月10日 06:11  リアルサウンド

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 刑事ドラマや弁護士ドラマが豊富に揃った1月クール。こうしたドラマの特徴の一つに、主人公至上主義の物語ではなく、様々な世代の個性豊かなキャラが集う群像劇が多いことが挙げられるだろう。


【写真】最年少ポジション演じる俳優たち


 そんな中、気になるのは「最年少ポジション」の存在だ。どの俳優も、最年少キャラはメインキャラクターの端っこポジションにありつつ、作品には欠かせないキャラクターとしての役割を担っている。


 例えば、『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)の最年少ポジションは、入社2年目のダメダメ社員・鍵村洋一。演じているのは、「超特急・タクヤ」としても活躍中の草川拓弥(24)だ。


 2017年放送のスペシャルドラマ『帰ってきた家売るオンナ』で初登場し、連ドラにも引き続き出演。若者言葉を多用し、売り上げは低迷、やる気も全然なく、くそ生意気で腹が立つイケメンキャラである。にもかかわらず、不思議とちょっと可愛く、憎めない印象を与えているのだ。


 『メゾン・ド・ポリス』(TBS系)では、元警察官が住むシェアハウスに御用聞きとして出入りする瀬川草介を演じているのが、竜星涼(25)だ。


 メゾンに出入りする「なんでも屋」の買い物コーディネーターでありながら、主人公・ひよりを尾行し、話を盗み聞きしたり、飲み屋に現れて愚痴を聞いたり。いつもニコニコの笑顔で、テンション高く、神出鬼没で、何を考えているかわからない。人当たりが良く元気で明るいのが、むしろ裏がありそうで、心に引っかかる「謎の人物」感を醸し出していた。と思ったら、終盤にきて、ヒロインが追う事件のキーパーソンとなってきている。


 また、『グッドワイフ』(TBS系)では、自信家で強気で交渉上手な弁護士・朝飛を北村匠海(21)が演じている。


 三兄弟の真ん中っ子として育ったことから、間に入って仲裁することを得意としているが、「和解交渉上手」は武器である反面、裁判の経験が一度もなく、経験不足という弱点も持っている。表面的な強さ・立ち回りの上手さの一方で、コンプレックスを抱く繊細さに、心惹かれた視聴者は多かったことだろう。


 『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)で中川大志(20)が演じる最年少キャラは、容姿端麗・ハーバード大卒のエリート・藤枝修二。女性たちばかりの法律事務所の「黒一点」ということもあり、女性たちからはイジられまくり、一生懸命さが空回りしたり、真面目な天然ぶりを発揮してしまったり。


 見るからに「ハイスペック残念男子」の表情豊かな演技は、チームにおいてマスコット的な魅力を放っている。


 また、『イノセンス 冤罪弁護士』(日本テレビ系)で、法律事務所のパラリーガル・石和徳則役を演じているのは、赤楚衛二(25)。『仮面ライダービルド』(テレビ朝日系)で万丈龍我を演じていた経歴による注目度もあり、ミスも多いお坊ちゃん像には、「可愛い」の声が続出。


 なかには、Twitterで「イノセンス見てるけど主に赤楚くんを見てる←笑笑」「赤楚くんが映ってると赤楚くんばかり見てしまってストーリーが入ってこない」といったつぶやきすら見られる。


 以上の例から考えるに、最年少ポジションがドラマにおいて担っている役割には、いくつかのパターンがある。


 一つには、「イケメン枠」「目の保養枠」「癒し」という視聴者へのサービスと、チーム内での「愛されマスコット枠」としての役割。最年少だからこそ生意気でも許されたり、それがかえって可愛く見えたりする。基本的に未熟であるだけに、年長者たちに可愛がられてイジられる図は平和なシーンになるし、挫折やコンプレックス→成長という物語性を生みやすいポジションでもある。


 もう一つには、チーム内に世代間ギャップや、別の視点、別の言語を持ち込む「異端」としてのスパイス的役割があるだろう。最年少の可愛いポジションだからこそ、ふとしたときに見せる謎めいた言動が、意外性として強い印象を残す。ときには恐怖すら与える。


 ところで、最年少ポジションには、子役出身者や学園モノ・ラブコメ、戦隊・ライダーモノなどに出演してきた役者が多く起用される印象がある。役者にとって群像劇の最年少ポジションを演じることは、それまで出演してきた子ども向け・ティーンズ向け作品から、「大人向け作品」に移行し、本格派の俳優にシフトチェンジする分岐点になる面もあるだろう。


 それでいて、フレッシュさや可愛さなどをベテラン勢の中で最大限に引き出してもらえる絶好の機会ともいえるのではないか。


(田幸和歌子)


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