主人公キャロル・ダンバースは6代目? コミック版から『キャプテン・マーベル』の魅力をおさらい

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2019年03月12日 10:31  リアルサウンド

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 3月15日より公開されるマーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)最新作『キャプテン・マーベル』。来るべき『アベンジャーズ/エンドゲーム』への重大な布石になることが予想される本作だが、映画をより楽しむために原作コミックを通じてその魅力に迫りたいと思う。


参考:“MCU史上最強のキャラクター”がついにお披露目! 『キャプテン・マーベル』予告編を徹底考察


●主人公キャロルは原作では6代目のキャプテン・マーベル


 映画に登場する“キャプテン・マーベル”ことキャロル・ダンバースは金髪の美しい女性だが、コミックに初めて登場するキャプテン・マーベルは「マー=ベル」という名でクリー人の男性だった。マー=ベルはクリーが送り込んだスパイ、いわば人類にとっての敵だったが、地球で過ごすうちに地球の人々を愛するようになってしまい、キャプテン・マーベルというヒーローとして活動していくことになる。


 そして本作の主人公キャロルは原作では6代目のキャプテン・マーベルにあたる。これまでもマー=ベルの息子やキャロルの親友(映画にも出てくるマリア・ランボー)の娘などがキャプテン・マーベルの名跡を継いでいた。もともとキャロルは1968年に刊行された「Marvel Super-Heroes」誌で初登場したアメリカ空軍士官だった。この頃は初代キャプテン・マーベルのコミックに出てくるやや目立つ一般人程度の扱いだったが、その後、マー=ベルと何度か共闘し(恋仲にもなる)、1977年に創刊された「Ms. Marvel #1」でクリー人の作った装置の爆発事故に巻き込まれた結果、遺伝子に変化が生じ地球人とクリー人のハイブリッドのような存在となった。以降、スーパーパワーを持った“ミズ・マーベル”として活動していくことになる。


 “ミズ・マーベル”はその後もコミックに何度か登場する。人気が低迷した際はテコ入れのためなのか“バイナリー”や“ウォーバード”といった改名とマイナーチェンジを繰り返すというやや迷走がありながらも、マーベル最大の一大イベント「シビルウォー」などで再び“ミズ・マーベル”として注目を集め、2012年「Avenging Spider-Man #9」にて、正式にキャプテン・マーベルの名を受け継いだ。ちなみに余談ではあるが、その後空席となってしまった“ミズ・マーベル”もカマラ・カーンという16歳のキャプテン・マーベル大好き少女に引き継がれており、単独主人公としてはマーベルコミック初のムスリム系スーパーヒーローとなった。


 キャプテン・マーベルのスーパーパワーはというと、飛行能力・超人的怪力・毒耐性・予知能力・手からビームを発する(フォトンブラスト)、さらに当然の如く宇宙空間でも生存可能……といった具合にDCコミックス最強と言われているスーパーマンも真っ青の化け物じみた能力だ。これはどういうことかと言うと、アイアンマンの飛行能力とリパルサーレイ、キャプテン・アメリカのタフネス、マイティ・ソーやハルクのパワー、スパイダーマンの危機察知能力(スパイダーセンス)といった能力を1人で持ち合わせているということであり、今までほぼ個性一本で勝負してきた既存のヒーローたちのアイデンティティをいともたやすくぶっ壊している。『ジョジョの奇妙な冒険』のファンに分かりやすく例えると、究極生命体カーズのようなもので、ここまでくると「もうこいつさえいれば良いのでは……」という気がしてくる。映画でもその実力はいかんなく発揮されるようでマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長が「キャプテン・マーベルはMCUの中でも、もっとも強いヒーロー」だと語っている(参考:Entertainment weekly「Brie Larson talks suiting up as the ‘flawed’ but ‘empowering’ hero in Captain Marvel」)。


 しかしここで1つ疑問点が出てくる。そう、本作の舞台はアベンジャーズ誕生前の1995年だといわれている。そんな異世界転生ものの主人公のようなスーパーヒーローが最初からいるならば、今までアベンジャーズが直面してきた地球のピンチの時には何をしていたんだと。その疑問がまさに本作の肝であり、次作である『アベンジャーズ/エンドゲーム』への鍵なのではないかと思われる。


●「アベンジャーズ:クリー/スクラル・ウォー」からの予想


 今回の大まかなストーリーは「アベンジャーズ:クリー/スクラル・ウォー」(ヴィレッジブックス刊)がベースになっているとされており、これらの経緯と予告編を踏まえると、なんらかの理由で記憶を失ったもののスーパーパワーを手に入れた地球人のキャロルは活動の場を宇宙に移し、精鋭部隊スターフォースに所属することになる。しかし、失われた記憶を追い求めるクリー人の宿敵であるスクラル人の刺客により、追い詰められた結果、地球に不時着、そこで若き日のニック・フューリーと出会う……という内容だと思われる。この失われた記憶をめぐるスクラル人との戦いは映画本編で描かれるはずだが、気になるのはそれ以降の物語だ。


 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のラストシーンでニック・フューリーがキャプテン・マーベルにポケベル風の端末でSOSを出したシーンから、現在も連絡が取れる状況だということは伺える。しかし問題はどこにいるのかだ。宇宙のどこかでヒーローとして活動しているということであればそれなりに納得できるのだが、全宇宙の人口を無差別に半分にしたサノスによるインフィニティ・指パッチンがあった以上、そこを運任せにするとは考えにくい。


 そこで提唱したいのは彼女が亜空間に囚われているというものだ。元々原作の初代キャプテン・マーベルには敵の罠に落ちネガティブ・ゾーンという謎の亜空間に捕らわれてしまい、一日に三時間だけ地球人リック・ジョーンズと入れ替わって現実世界で活動できるという設定があった(このあたりの経緯は先述した「アベンジャーズ:クリー/スクラル・ウォー」でも描かれている)。このことからキャロルも現在は何らかの理由で亜空間に囚われており、コンタクトは取れるが自由に身動きができない状況だったのではないだろうか。さらに『アントマン&ワスプ』で量子の世界にいたアントマンが無事だったことからもサノスの攻撃はいわゆる別次元には影響がなかったのだろうと推察できる。


 いずれにせよ、この詳細は3月15日に公開の映画本編で明らかになる。キャプテン・マーベルの勇姿はもちろんだが、今後どのような形でアベンジャーズの面々と合流するのかという点にも期待しながら映画の公開を楽しみに待ちたい。(青木大空)


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