元コンビニ店長が語る、コンビニに訪れるホームレスの深刻な実態

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2019年03月12日 11:00  citrus

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コンビニにはさまざまな人たちが来店してくる。なかには対応に困る事例も少なくない。

 

クレーマーや暴力団なら幾つもの対応方法がノウハウとして蓄積されており、書籍などにもなっている。しかし、ホームレスの人への対応方法はマニュアル化されているとは言いがたい。

 

ホームレスの人がやってくるのは「雨の日」「寒い日」「暑い日」が多い。大雨のとき、寒い冬の日、うだるような夏の日差し。生命の危機からの緊急避難なのかもしれない。

 

特に迷惑行為をするわけではない。ただ、店内に入ってプラプラするだけだ。最大にして一番の問題は……におい。夏場、汗ダクになってしまった不可抗力的なにおいではない。「目にくる」という表現があるが、まさにその通りだ。

 

よくトイレに閉じこもることが多い。現在コンビニの多くでは洋式トイレを採用している。ベンチ代わりに座っているのだろうか。中の様子まではわからないが、一度閉じこもると1時間近く出てこない例もある。

 

問題は閉じこもられた後のトイレだ。数時間、入るのをためらうにおいがつくのだ。消臭剤などなんの役にも立たない。

 

従業員にとっても他のお客さんにとってもたまらないわけだが、このようにホームレスの人への対応方法は難しい。なぜならば、コンビニという誰にでも入れるゾーンに入ってくるだけだからだ。

 

これを公然と拒否した場合、いくつかの問題が発生する。

 

 

1つに、差別的行為と取られかねない。

 

「におい」という事象に対しての入店拒否であっても、「差別」という観点から見られた場合、店側は弱い者イジメをしていると取られかねないのだ。

 

ホームレスの人が「差別だ」と叫んだ場合は対応が難しくないのだが(単にクレーマーとして処理すれば良いだけだから)、第三者から言われると弱い。

 

入店拒否の理由が「におい」という、あくまでも個人的感想に基づくものだからだ。

 

もう1つ、店は営利施設なので、買い物をしないホームレスの人に対してはある程度強気な態度も可能ではあるが、今のホームレスの人は決して無一文というわけではない。

 

コンビニにはそれこそ10円から購入可能な商品が置いてある。もしかしたら道端に落ちていただろう10円であっても、買い物の意思を持っている人に対して、むげに追い出すわけにもいかないのだ。

 

店舗という、お客さんを自由に出入りさせるタイプの商売にとって、お客さんを選ぶという行為は、自分たちの商売スタイルを否定しかねない行為であるのだ。

 

さらに、ホームレスの人への対応は店内だけにとどまらない。

 

 

現在のコンビニのゴミ捨て場では、必ずと言っていいほど施錠されている。廃棄済みの弁当を目当てに訪れるホームレスの人への対策だ。

 

「別に捨てたものだからいいじゃん」という意見もある。たしかに、ゴミとして捨てられた弁当は、ゴミ処理施設へと向かうだけだ。別に誰かに持って行かれたからといって大騒ぎするわけではない。

 

しかし、持って行かれては困るし、配るわけにもいかない理由がある。

 

コンビニ店舗での廃棄処分は、「腐っている」からではない。「販売する価値がなくなった物」である。すなわち、廃棄処分した弁当であっても、食べられないものではない、ということだ。

 

仮に、廃棄処分の弁当をホームレスの人に配った場合、どうなるだろう。必ずホームレスではない人たちも「欲しい」と言ってくる。それに対して対応できる術はない。

 

 

さらにもう1つ、商品価値という定義が崩れる可能性が高いのだ。

 

弁当には、販売してもよい時間が各チェーンで決まっている。廃棄する物を配るという行為は、その販売可能時間を縮める要素をはらんでいる。

 

また、勝手に持っていかれる環境も防がなくてはならない。勝手に持って行かれた弁当と正規に販売した弁当の区別が難しい。もちろん印をつければ問題はないが、その行為は負担以外の何ものでもない。

 

テレビなどでは語られることはないだろうコンビニが抱えるホームレス問題。社会問題に挙げられる「貧困」の現実が、コンビニという場所では、よりリアルに感じられることがあるのだ。

このニュースに関するつぶやき

  • 小泉政権・安倍政権によって派遣やバイトが増えた日本。どんどんホームレスが増えるかもよ。
    • イイネ!26
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