遊助、日本武道館でファンと誓った11年目の約束 「これからもみんなと笑い合っていたい」

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2019年03月12日 14:01  リアルサウンド

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 ソロ歌手デビュー10周年を迎えた遊助が、2月28日に東京・日本武道館で『10th Anniversary Live -偶然!?-』を開催。遊助の10年を彩ってきたさまざな楽曲と最新の楽曲「History VII」まで、全21曲を披露。遊助らしい温かいムードながら、ダンスパフォーマンスやアコースティックギター演奏など多彩な表情を見せ、11年目以降の活躍に期待が高まるステージを見せてくれた。


参考:aiko、豪華演出で届けたアリーナツアー 20年貫かれた“現場主義”の姿勢


■本編2曲、アンコール19曲


 「かっ飛ばせ遊助!」というコールが響くなか、「ひまわり」の一節を口笛で吹く後ろ姿がピンスポットで照らし出されると、会場が大歓声に沸いた。黄色のペンライトで埋め尽くされた客席は、まるでひまわり畑のよう。ゆったりとしたメロディとやさしい歌声が、観客の間に広がる。「次がラストソングです。あっと言う間の時間だったけど、ありがとう」と言う遊助に、客席から「え〜!!!」と驚きの声。そしてダンサーが出てきて、クラップしながら「みんなのうた」を歌った遊助は、「11年目もよろしく。また逢おうな!」と客席に手を振って、本編たった2曲でステージを後にした。


 思えば2011年3月11日に日本武道館、同21日に大阪城ホールで開催予定だったライブ『あれっ・・ぐうぜんですケド。』と、それにともなうツアー『これ、ひつぜんですケド。』は、東日本大震災の影響で延期、開催日程の縮小を余儀なくされた。同年7月に武道館と大阪城ホールでのライブは叶ったものの、今回の武道館ライブのタイトルに『偶然!?』と、大阪城ホールに『必然!!』と付けられたのは、きっと10年の活動のなかでの思い残しを清算する気持ちがあったのかもしれない。ちなみに、延期開催されたツアー『これ、ひつぜんですケド。』のアンコールで歌った最後の2曲も、「ひまわり」と「みんなのうた」だった。頭にタオルを巻いたTシャツ短パン姿からも、その日の2曲を思い出させた。


 再び鳴り響いた「かっ飛ばせ遊助!」のコールに促され、「久しぶり、みんな。アンコールありがとう(笑)」と再登場した遊助。アンコールは全19曲。序盤は、スタッフを対象に集めたアンケート結果を元に構成した。まず「遊助と言えば?」という質問の回答上位の3曲を歌う。レゲエのリズムが心地よい「たんぽぽ」。観客が〈1年目〉〈2年目〉と一緒に歌った「銀座線」。「俺なりのラブソング」では、しっとりと切ないムードが会場に広がる。遊助らしい愛情と温かさにあふれた3曲に、観客は身を委ねてゆったりと身体を揺らして楽しんだ。


 続いて歌った「俺と付き合ってください。」は、「友だちや恋人に聴いて欲しいNO.1」の曲。場内にはピンクのペンライトが点灯し、遊助は両手を広げて〈君が大好き〉と、客席に向かって一世一代の告白をした。「俺がライブしている場所が、俺の地元です。地元の家族のために歌います」と、「家族に聴いてほしい曲」のNO.1だった「わがまま 遊turing TEE」を披露。心配や迷惑をかけた母親に向けた感謝の気持ちを込めたバラードで、「わが“まま”」と、“ママ”を強調して曲名を紹介し、家族を思う感動が会場に広がった。そして最後に、「自分にとって思い入れのある曲は?」という質問のNO.1に輝いた「檸檬」。遊助がストレートに言葉を紡いだ応援歌で、ファンはレモンイエローに輝くペンライトを振る。それに応えるように会場に向けた、遊助のやさしい笑顔が印象的だった。


■この先100年よろしく。ゆーすけより


 中盤はダンサーを従えて「ルーレット 遊turing Mummy-D」や「今夜は無礼講 遊turing 餓鬼レンジャー」といったヒップホップチューンを連発。裏表のない仲間思いのキャラクターで、ミュージシャンの友人も多い遊助は、湘南乃風や童子-Tなど多彩なアーティストとコラボしていて、2016年にはそれらを集めた『遊情BEST』もリリースしたほど。ダンサーと一緒にダンスしながら、会場を所狭しと駆け回り、会場をアゲアゲのムードにプッシュアップした。その勢いのまま歌った「わんぱく野球バカ」では、タオルをバットに見立てて豪快にスウィングしてみせる。SEのカキーンという音と共に、特大ホームランをかっ飛ばすように、歌声を会場に響かせた。


 遊助の新たな一面を見せてくれたのは、Wアンコールだ。黒いスーツ姿でアコースティックギターをかき鳴らしながら歌った「砂時計」は、18名の生のストリングスが加わった壮大なサウンドに乗せて、大人の男としての力強くエモーショナルな歌声を聴かせる。四十にして惑わずとは言ったもので、4月に40歳を迎える遊助の決意のようなものが滲み溢れていた。


「バカだとか世間知らずだと笑われても、芝居もバラエティ番組も、作詞もライブも、一度も手を抜いたことはない。俺が手を抜いたら、何も残らないから。そうしてやってきたら、気づかないうちに誰かが支えてくれていて、孤独を感じたときはみんなの“かっ飛ばせ”の声が聞こえてきた。これからも、みんなと笑い合っていたい。5周年、10周年、いつかわかないけど、2019年2月28日にこいつらと出会えたおかげだと言いたい。今日の武道館があったからだと言いたい」


 ラストに歌ったのは「History VII」。第2章の始まりを歌ったこの曲と共に、遊助の11年目が始まった。ステージのビジョンには「10年ありがとう。この先100年よろしく。ゆーすけより」と、自筆のメッセージ。100年先なんて生きているわけないのに、やっぱり遊助はバカだ。でも、そんな少年っぽいことを言っても許せるのは、バカがつくほどマジメに一生懸命、手を抜かずにやってきた遊助だけの特権だ。(榑林史章)


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