旅先のチキン料理で脳にダメージを負ったナッツアレルギーの女性、5年ぶりに帰宅(英)

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2019年03月12日 18:41  Techinsight Japan

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ハンガリーで口にしたチキンで脳にダメージを負ったナッツアレルギーの女性(画像は『BBC News 2019年3月8日付「Nut allergy woman returns to Essex home after five years」(SUE SHEAD)』のスクリーンショット)
深刻な食物アレルギーを抱える人にとっては、自宅以外での食事には細心の注意を払わなければならず、万が一のことが発生し手遅れになるととんでもない悲劇を生む結果となってしまう。2014年に旅先でアナフィラキシーショック症状に陥った重度のナッツアレルギーを抱える女性が、このほど病院と介護施設を出てようやく5年ぶりに両親の住む家に戻ったという。『BBC News』『Mirror』などが伝えている。

ITV(英民放番組)のプロデューサーだったエイミー・メイ・シェッドさん(31歳)は、2014年に友人と旅行でハンガリーのブダペストを訪れ、レストランで食べた料理により一生が大きく変わる悲劇に見舞われた。

重度のナッツアレルギーを抱えていたエイミーさんは、万が一ショック症状が起こった際にそれを緩和させるためのエピペンや薬を常に持ち歩いており、学生時代もなんとか大事に至ることなく過ごしてきた。ブダペストのレストランでエイミーさんは現地の言葉で書かれたカードを店のスタッフに3回も提示し、料理にナッツが入っていないことを確認した。しかし一口食べたチキン料理で激しいアナフィラキシーショックを起こし、6分ほどエイミーさんは心停止状態に陥った。この時、脳に大きなダメージを負ってしまったという。

エイミーさんは部分的に体が麻痺したことで日常生活が困難になり、まともに話すことも見ることも不可能になった。1年間、「St Thomas’ Hospital(聖トーマス病院)」と「Putney Neurological unit(パットニー神経科病棟)」で治療を受けた後、エイミーさんはブレントウッドにある介護施設「Marillac Care centre(マリラック・ケアセンター)」で過ごしてきた。しかし今月、ようやく両親が暮らすエセックス州ウェストクリフ=オン=シーにある家に戻ることになった。

エイミーさんの父親ロジャーさんと母親スーさんは、今後も24時間ケアを必要とし車椅子の利用が欠かせない娘のために、自宅隣にエイミーさんに適応した別棟を建築。「娘が戻ってきてくれて本当に嬉しい」と5年ぶりに帰宅したエイミーさんを笑顔で迎えた。

「エイミーは明るく溌溂として社交的な娘でした。こんなことになってしまって、今も深い悲しみを感じずにはいられません。毎日乗り越えるのが辛いですが、それでも私たちは娘のために何でもするつもりです。」

エイミーさんの両親は、ブダペストのレストランに対し訴訟を起こしたそうだ。しかし店側は賠償責任保険に加入しておらず、結局エイミーさん側は損害賠償金を全く得ることができなかったという。

エイミーさんのおばにあたるジュリー・マーティンさんといとこのトムさんは、エイミーさんがこれから週4回にわたり受ける予定の集中理学療法や言語療法に毎月最大7,000ポンド(約100万円)もかかることから、「Amy May Trust(エイミー・メイ基金)」を設立し治療費を集めている。なお、NHS(英健康保険サービス)はその他のエイミーさんにかかる必要な費用をカバーすることになっているそうだ。この基金ではアレルギー疾患への注意喚起とともに、エイミーさんのように重度のナッツアレルギーを抱える人たちが、飛行機に搭乗する際に直面する事態を改善する目的でもキャンペーンを行っており、ジュリーさんは次のように語っている。

「エイミーは自分のアレルギー疾患に十分すぎるほど注意していました。こんなことは起こってはならなかったのです。この悲劇により、エイミーの両親の人生も大きく変わることになりました。彼らは、エイミーが介護施設から戻ってくるのをずっと待っていました。でも、24時間ケアが欠かせない娘の世話を、これから自分たちでしていくとなるとやはり大変です。それでも彼らは娘のために人生を捧げる覚悟をしていて、とても献身的です。エイミーは話すこともできずケアが必要な身体になりましたが、理解はできているのです。とはいえ、このような状況はとても辛いもので、エイミーに起こった悲劇をどの家族にも味わってほしくありません。」

このニュースを知った人からは、「旅先でこんな目に遭うなんて本当に悲劇だ」「でもやっぱり重度のアレルギーを抱える人は、家で食事したほうが安全だよね。こんなふうに店側が責任も取れないならなおさらだよ」「今後の治療も順調にいきますように」「人生って本当に不公平。素晴らしく輝かしい将来を持った人がこんな状況に陥るなんて。読むのが辛かった」「これからはご両親も大変だけど、エイミーさんは家族に愛されているからいいね。素晴らしい身内を持って幸せだと思う」といった声があがっている。

画像は『BBC News 2019年3月8日付「Nut allergy woman returns to Essex home after five years」(SUE SHEAD)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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