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現役アナウンサーが解説。質問されたほうが話しやすくなる理由

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2019年03月15日 09:00  まぐまぐニュース!

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まぐまぐニュース!

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人前で話すあらゆるシーンに役立つプロの技を伝えてくれるメルマガ『話し方を磨く刺激的なひと言』の著者で、現役アナウンサーの熊谷章洋さん。前回の「端的に表現、説明し尽くせる人の話し方」で紹介した「横着ファイリング話法」についてさらに踏み込んで解説。「話す内容は、まとめるのではなく絞り込んで膨らませる」と、極意を披露します。

話は、まとめようとするな

どんなに話すのが苦手な人でも、「質問されれば話せるのに…」と思うことはないでしょうか。

例えば職場で、上司が新入社員を連れてきて、「〇〇の件について、この子に説明してあげて」とあなたに依頼した、とします。話すのが苦手な人なら、説明しなくてはいけない〇〇のことについて、なにをどこからどんなふうに説明しようか?あれも大事だし、あの知識も必要だし、それを理解するには、前提としてあれを知っておかなくてはいけないし…と、まず頭を悩ませるかもしれませんね。

ところが、その新入社員さんが、「〇〇の件の過程で起こる、××というトラブルの対処法を教えてください」と、あなたに質問してくれたら、どうでしょう?その方法を知っているあなたは、「ああ、それはこうやるんだよ」と、意気揚々と説明し始めることができるのではないでしょうか。

こんなふうに、質問されたほうが話しやすくなるのは、なぜでしょうか?理由は簡単です。聞き手にとって必要な情報は何か、が絞られているからです。「今からどういう話をすべきか」「今から話すことに求められること、必要な情報は何か?」を、話し始める前に認識できているから、です。

…と、ここまで聞いて、前回までの記事を読んでいただいている方なら、ピンときましたよね。これ、今、このメールマガジンの流れの中でご紹介している、「横着ファイリング話法」(著者命名)の原理そのものだからです。ある一点を除いては…。

その、ある一点とは、「話す本人が自分で」話す範囲を限定すること、です。上記の新入社員に対する説明の例では、新入社員さんが質問してくれたら説明しやすくなりましたが、これは、その質問によって話す範囲が限定されたから。

鍵になるのは、それを自分でできるか。「横着ファイリング話法」でいうところの、「空フォルダー」を自分で用意、整備できるか、なんですね。

ではその「横着ファイリング話法」の核心部分について、改めて解説していきますね。

論点を明確に、わかりやすく、迷いなく表現して、スッキリできる話し方は、まず、「今からどういう話をすべきか」「今から話すことに求められること、必要な情報は何か?」を、話し始める前に認識し、話す本人が自分で、話す範囲=枠を限定します。

話す範囲を絞っているので、その話に不要な情報には、端からタッチしません。つまり、データ量が多くて検索が重くなる、頭の中の情報の全てにはアクセスせず、「話の枠」という、質量の軽い小分け袋=空のフォルダーを用意して、空フォルダーに名前を付け、そのフォルダーに必要なファイルだけを集めてくるわけです。

また、話の構成も、空のフォルダーを、作ったり動かしたりすることだけで考えて、そのとき必要のない細かい情報にはタッチしないこと。例えば、皆さんお手持ちのパソコンのなかにあるデータの中から、一つのファイルを見つけようと、検索をかけたりすることはありませんか?WindowsパソコンならCディスクでしょうか、その全体から検索するとものすごく時間がかかりますよね。ですから検索スピード、効率を上げるために、検索する範囲を絞ります。話す時もこれと同じです。

  • その話で必要な情報以外の余計なことは極力考えない
  • 「話す意図」に集中する
  • ゴールに向かって突進する

こうやって文字にしてしまうと、馬鹿か!と思えるほどシンプルですよね。でも、何ごとも、真理に近いことほどシンプルになるものです。大事なのは、自分の思考・行動の原理原則を「自分でシンプル化」できるかどうか、だと思います。

自分で自分の思考・行動の原理原則をシンプル化すること、それをここでは「横着」と呼んでいます。話をしなくてはならない時には、とことん、横着をする、楽をすることばかりを考えてください。なぜなら、どんなに横着をしたって、話すべき本質は必ず付いてくるからです。

話は複雑化しやすいものです。膨大な情報をうまくまとめようとするより、絞り込んだ話の本質を膨らませることを考えるほうが、聞き手にとって理解しやすい話ができるのではないかと思います。

話は複雑化しやすい、と言いましたが、いかに話すテーマが壮大になろうとも、「横着ファイリング話法」であれば、結果的にストレートに最短距離を行くことができます。

話すことは、よく、道に喩えられます。武士道や茶道などの道ではなく、道程としての道です。話の寄り道、なんて言ったりしますよね。

例えば、東京から京都まで東海道を歩くことになったとして、目標を京都に置いただけでは、必ず途中で道に迷ってしまいます。遠くに行きつくためには、遠くの目標を見据えつつも、まずは次の宿場、品川宿にたどり着くことに集中するものでしょう。 「うまく話せないで頭が白くなってしまう人、話した後で不満が残ってモヤモヤする人は、話す前にたくさんの情報=言いたいことを持ちすぎている」と最初に申し上げましたが、この道程で言えば、京都に行くことばかり考えてしまっている、ということです。だからすぐに道に迷ってしまうのですね。

  • ゴールを近くに設定すればするほど
  • そのゴールに着くことだけに集中でき、早くゴールにたどり着く
  • そこから改めて次のゴールを目指せばよい

「横着ファイリング話法」では、この近くのゴールのことを、小分けした空フォルダと呼んでいます。別の言葉で言えば、「話す枠」でしたよね。この「枠」とは、「今ここで求められている話」ということです。

まずはその枠を認識することが大事。それが話す目的ですからね。しかもその範囲を、できる限り厳密に定義すること、でした。この段階が曖昧だから、論点がぼける。話す自分が、わけがわからなくなる、わけです。

東京から京都までを歩く例で言えば、京都までという大きなフォルダーは用意しつつも、品川までたどり着くという小さなフォルダーも作っておき、まずはその小さなフォルダーに何を入れるか、品川までの道程をどう歩くかに集中する、ということです。それの繰り返しです。

話のテーマが壮大であればあるほど、近いゴール、小さいフォルダー、限定された話の枠に集中するほうが、内容の密度が濃く、充実し、聞き手の満足度が高くなります。そしてそれは、話が小ぎれいにまとまっていることより、圧倒的に強力で、魅力的です。

繰り返しになりますが、膨大な情報をうまくまとめようとするより、絞り込んだ「話の本質」を膨らませることを考える。これが、「横着ファイリング話法」の狙いの、ひとつの側面です。

image by: Gorodenkoff, shutterstock.com

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