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【書評】3億円事件の「真犯人」が語る、トンデモすぎた犯行動機

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2019年03月16日 18:10  まぐまぐニュース!

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1975年に東京都府中市で起きた3億円事件といえば、日本の犯罪史に名を残す劇場型犯罪としてあまりにも有名です。そんな特殊な事件を題材にした作品は、フィクション、ノンフィクション問わず数多ありますが、ついにその「実行犯」を名乗る男が手記を刊行しました。その手口、そして犯行動機とは?無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長・柴田忠男さんがレビューしています。

偏屈BOOK案内:『府中三億円事件を計画・実行したのは私です。』

『府中三億円事件を計画・実行したのは私です。』

白田 著/ポプラ社

帯1にこうある。「欲しかったのは金じゃない。/──この事件は、私の青春そのものなのです」。/12万部突破!(赤地白抜きデカ文字)/「小説投稿サイト『小説化になろう』日刊・週刊・月刊ヒューマンドラマ(文芸)ランキング(2018年12月)←小さく読みにくい/第1位(デカ文字)/少年ジャンプ+にてコミカライズ決定!……とにかく「12万部突破した」「第1位の本」らしい。

帯2にこうある。「1968年12月10日、東京都府中市で起きた未解決事件。あの日何があったのか──。「この場を借りて、ひとつの告白をさせていただきます。──府中三億円事件を計画・実行したのは私です。今なお語り継がれる未解決事件、完全犯罪として成立している事件の全貌を、みなさんにお話いたします。」「事件から50年目を迎える節目の今年、ネットに投稿された超話題作、緊急発売!!」。一時期、書店のベストセラー棚に確かにこの本はあった。

イントロを立ち読みして、こりゃダメだと思った。図書館から回ってくるのを楽しみに待った。果たして、この本文スカスカ組み、白地の面積の大きな書籍の正体は?30分もかからず読み終えた。いやはやヘタな文章で、一応奥付を確かめたら、一番最後に小さな字で「この作品はフィクションです。」

フィクションだからヘタでいい、ってわけないだろ(怒)。商品レベルに達しない素人の作文で、あの天晴れな犯罪(とわたしは評価する)の真実が書かれているかのような売り方をするのは、穏やかな言い方をすれば「いかがなものか」、普通の言い方をすれば「トンデモをホンモノに装った詐欺」である。

いや、文章が超絶にうまいなら騙されても楽しいが、書籍という商品にするにはヘタ過ぎる文章な上、実はウソでしたと一番見えないところに記す姑息さが気に入らない。著者はどういう人物か。本文によれば(架空の物語の記述によれば)、「息子夫婦と暮らす一人の老人でございます孫にも恵まれ人並みではありますが慎ましい幸せを享受しております」という「設定」である。

「府中三億円事件を計画、実行したのは私です。なぜ、この事件を起こしたのか。なぜ、捕まることなく時効を迎えられたのか。その後、わたしの人生はどうなったのか。事の顛末全てを、ここに書き記していく所存でございます」と、一応爺むさい表現で決意を示す。この老人語りスタイルがじつに不愉快だ。

しかし、延々と述べているのはまったく「事の顛末全てではなくてほとんどが陳腐な青春恋愛話なのだ。読んでいてつらくなるほどヘボい話である。だから、メインストーリーは三億円事件ではない。いや、あんまりバカバカしいから恋愛系は斜め読みしたのだ。交わされる会話の芸のなさといったら。

読者の皆さん、と呼びかける自称三億円事件犯人。事件の動機が人生を賭ける理由が、「恋愛の他にあるでしょうかと開き直られてもなあ。近所の大型書店(がある幸せ!)に行ったら、ベスト10から消えているのでよかった、と思ったら平積みされていた。現在ベスト1は樹木希林『120の遺言』だ。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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