ホーム > mixiニュース > IT・インターネット > IT総合 > 「PC大手のデル」は昔の話――「デジタル変革支援企業」としての強みは?

「PC大手のデル」は昔の話――「デジタル変革支援企業」としての強みは?

1

2019年03月18日 09:52  ITmediaエンタープライズ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ITmediaエンタープライズ

写真左から、デルの平手智行社長、EMCジャパンの大塚俊彦社長、デルの黒田晴彦CTO
左から、デルの平手智行社長、EMCジャパンの大塚俊彦社長、デルの黒田晴彦CTO

 「当社を『パソコン大手』と表現するのは、もうやめていただきたい」――。デルの平手智行社長は、米Dell Technologies(以下、Dell)の日本法人であるデルとEMCジャパンが先頃開いた2019年度(2019年2月〜2020年1月)の事業方針説明会で、最後にこう訴えて笑いを誘った。メディアの中には今も「パソコン大手のデル」と書くところがあるからだ。平手氏の訴えは実際にやや受けたので、笑いを誘ったと書いたが、当人は至って真剣な訴えだっただろう。



【その他の画像】



 このやりとりをまず取り上げたのは、今回の本稿のテーマに直結するからだ。そのテーマとは、Dellとはいったいどんな会社なのか、である。それというのも、プロダクトからサービスへの移行が時代の流れとなっている中で、今や10兆円企業となったDellはそれに逆らってプロダクトにこだわっているように見えるからだ。裏を返せば、同社は自らクラウドサービスを大々的に手掛けていない。



 その問題意識における質疑応答のやりとりは後ほど紹介するとして、まずは事業方針説明のハイライトを記しておこう。会見では平手氏とともに、EMCジャパンの大塚俊彦社長、デルの黒田晴彦最高技術責任者(CTO)が説明に立った。



 まずは平手氏が、Dellの動きについて説明した。2018年度(2018年2月〜2019年1月)の事業実績は、売上高が前年度比15%増の906億ドル(1ドル110円換算で約10兆円)など図1の通り。10兆円企業が15%の成長を遂げているのと、過去3年間の技術開発投資が128億ドル(同換算で約1兆4000億円)との巨額にも驚かされた。かつてパソコンを注文生産していた頃のDellとは全く違う会社になっている。



 2019年度の事業方針は、「AI、IoTなど、エッジ、コア、クラウド、そしてデータレイク構築まで、お客さまのデジタル変革に不可欠な最先端テクノロジーを提供する」ということで、日本を含めたグローバル共通のビジョンを設定した。



 平手氏は市場環境について、「デジタルテクノロジー主導の価値創造サイクルが企業の競争力を創出する時代に突入した」と述べ、企業のデジタル変革が本格化すると説明。それに対し、Dellは図2に示すように、8つのテクノロジーブランドによるソリューションを柔軟に組み合わせて、下部に記した4つのトランスフォーメーションに対応していくとした。



●日本法人首脳が語る「Dellとはどんな会社か」



 次に、大塚氏がデルとEMCジャパンを合わせた日本の動きについて説明した。2018年度の事業実績は、売上高の伸びが前年度比20%以上でグローバルを上回るなど、図3の通り。サーバやストレージなどの主力製品分野の成長でもグローバルを上回るなど、好調に推移した。



 2018年度に設定した5つの重点戦略と成果については、1つ目の「お客さまの変革に貢献する真のパートナーへ」では、前述した4つのトランスフォーメーションを推進したことにより、関連案件が前年度に比べて倍増。2つ目の「マーケットカバレージの拡大」では、ハイタッチセールスおよびプリセールスを増強した。



 3つ目の「パートナーとの協業のさらなる拡大」では、パートナー施策を強化したことにより、240社の新規パートナーを獲得。4つ目の「ライフサイクル全般にわたるお客さま満足度強化」では、国内のサポート体制への投資を継続。5つ目の「Dell EMCブランドの強化」では、主要な空港や駅でキャンペーンを実施した。



 2019年度の重点戦略は、図4に示すように4つの項目を設定。大塚氏によると、「前年度の重点戦略と表現的にはほぼ同じだが、内容を大きく進化させていく」としている。また、スローガンとして2018年度は「Make It Real」だったが、2019年度は「Real Transformation」とし、文字通り「リアルなトランスフォーメーションの支援に努めていく」と強調した。



 さて、冒頭で述べた問題意識について。筆者は会見の質疑応答で、「Dellは時代の流れに逆らってプロダクトにこだわっているように見えるが、そうした見方に対してお三方それぞれにコメントをいただきたい」と質問した。すると3氏は次のように答えた。



 「私たちの役目は、あらゆる分野でサービスを提供するお客さまが必要とするコンポーネントを提供することにある。だからこそ、中立性や共通性を保持し、標準的なテクノロジーを採用したコンポーネントを提供し続けていく責任があると考えている」(平手氏)



 「テクノロジーが直接ビジネス価値を生むようになってきた中で、私たちは巨額の投資をして、そうしたテクノロジーの開発に注力している。そして、それをパートナー企業とともにお客さまのお役に立てるように尽力している。このビジネスモデルは今後も変わらない」(大塚氏)



 「私たちは、お客さまが自らのビジネスをサービス化していくことに対して、必要となるテクノロジーやプロダクトを提供してご支援していくのが使命だと考えている。それに応えられるように幅広い事業のポートフォリオを保持し、新しいテクノロジーを取り入れることに注力している」(黒田氏)



 実は、お三方それぞれにコメントを求めたのは、話す内容は同じでも表現の仕方で、Dellとはどんな会社か、について何か感じ取れるかもしれないと思ったからだ。結果、どうだったかは読者諸氏の受け止め方に委ねたい。



 いずれにしても、単なる「パソコン大手のデル」でないことは明らかである。


あなたにおすすめ

ニュース設定