「あなたは内定取り消し」突然の通告 従わないといけないの?

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2019年03月18日 10:11  弁護士ドットコム

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他の人が見つかったので、あなたは内定取り消しですーー。「口頭」で内定を出してきた会社から後日、このように言われ困っているという相談が弁護士ドットコムに寄せられました。


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内定通知からしばらく経ち、相談者は会社の担当者と話していたところ、雲行きが怪しいと感じたといいます。そこで会話の録音を始めた矢先、その担当者は「経験者が見つかったので、あなたは内定取り消しにします」と言ってきたそうです。



相談者はこの突然の内定取り消しに素直に従わないといけないのでしょうか。労働問題に詳しい浅野英之弁護士に聞きました。



●内定取り消し「解雇と同じ意味」

ーー内定取り消しは、法的にどのようなものでしょうか



「採用内定は、法律の専門用語で『解約権留保付労働契約』と呼ばれています。この意味は、採用内定を出した段階で、既に労働契約が成立しているということです。



そのため、内定取り消しは、会社側の一方的な意思で労働契約を終了すること、すなわち、解雇と同様の意味を持ちます」



ーー内定取り消しは無効だと争えますか



「採用内定の取消が解雇と同様の意味を持つことから、採用内定は、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると是認できる場合でなければ、取り消すことができません。



したがって、まずは、一方的な理由で内定取り消しをされてしまった相談者の方は、その理由を会社に確認しましょう。その理由が客観的に合理的ではない、もしくは、社会通念上不相当である、と考える場合、内定取り消しの無効を主張して裁判で争うことができます」



●口頭での内定通知には注意

ーー内定通知が口頭か書面かによって違いはありますか



「先ほど述べたように、内定取消を争うことができるのは、会社の労働者に対する約束が、法的に『採用内定』として保護に値する程度に達している必要があります。



『採用内定』と評価できるかどうかはケースによりますが、既に雇用契約書を締結していたり、会社からの正式な書式で内定通知書を受領していたりする場合には、既に内定が成立していると考えてよい場合が多いでしょう。



一方、採用面接時に、社長が思わせぶりな発言をしたとか、口頭で入社の約束をしたといったケースでは、その約束が『採用内定』として保護に値する程度には達していないと判断される場合があります」



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(弁護士ドットコムニュース)




【取材協力弁護士】
浅野 英之(あさの・ひでゆき)弁護士
離婚・交通事故・刑事事件・相続など個人のお客様のお悩み解決実績、相談件数を豊富に有するほか、労働問題を中心に多数の企業の顧問を務める。銀座駅(東京都中央区)にて、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立、代表弁護士として活躍中。

事務所名:弁護士法人浅野総合法律事務所
事務所URL:https://aglaw.jp


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