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日本マクドナルド創業者・藤田田氏がタクシーに乗ると必ずやっていたこととは?

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2019年03月20日 21:11  Business Journal

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Business Journal

写真「gettyimages」より
「gettyimages」より

 毎日、数多くの老若男女を乗せるタクシードライバー。多い日で1日70人ほど。車内という密室で過ごす仕事をしていると、自然と乗客の性格や人間性が見えてくる。


 パッと見は怖いが、話すと楽しいのがガテン系の人たちだ。たとえば、筆者が実家の取り壊しを考えていたとき、昼間からほろ酔いのガテン系の客を乗せたことがある。ろれつが回っていないので行き先を聞き返すと「そうだよ!」と強い口調で返されたが、別に怒っているふうではない。「普段からこんな感じなんだな」と思う程度だ。


 その乗客に、思い切って聞いてみた。「あのう、実は実家の取り壊しを考えているのですが、100万円ぐらいしますよね」と。すると、「そんなことないよ。広告はいくつもの業者がからんでいるし、業界的に相場がわからないので高く設定しているけど、頼む相手によっては半額でできるよ」と言われたのだ。


 その乗客は、1090円の運賃で2000円を渡してくれた上、「いつでも電話しな」と名刺を渡してくれた。後日、100万円を覚悟していた取り壊しは彼の言葉通り半額になった。


●マック藤田社長が必ず運転手と会話していたワケ


 スーツにネクタイ姿のビジネスパーソンは、タクシードライバーにとって“上客”だ。会社のお金で乗車できる人も多く、また社長や部長などの重役クラスは平均単価(おおむね1500円前後)の数倍の運賃を支払ってくれることもある。


 そんなビジネスパーソンには、ひとつの“パターン”が存在する。若い人は9割方、行き先を告げるとスマートフォンにかじりつく。行き先の告げ方も「銀座まで」、ひどいときには「銀座4丁目交差点!」と言ったきり黙り込む。男女とも“話しかけるなオーラ”を醸し出すが、これは非常にもったいない気がする。


 情報化社会になったとはいえ、仕事の基本はコミュニケーションだ。日本マクドナルドの創業者で社長や会長兼最高経営責任者(CEO)を務めた故・藤田田氏は、タクシーに乗ると必ずドライバーと会話して情報収集に努めていたという。不特定多数の人を乗せるタクシーだからこそ、ライバル企業や政策の情報などを耳にできるかもしれず、また人に溶け込む能力も磨かれるためだという。


 藤田氏のように人間が磨かれてくる40代以上になると、ドライバーとの会話を楽しむ人の割合も増えてくる。その多くは声も明るく、「今日は寒いね」「景気はどう?」などと話しかけてくれるのだ。ドライバーが同年代や年上だと見れば敬語で話してくれることもあり、対応するこちらも気分が良くなる。


●「池袋まで。早く行け!」と怒鳴るヤクザ風の男


 経験則だが、こちらがいい気分で仕事をしていると、自ずと“いい客”にめぐり合うことが多い。気分良く降ろした場所に次の乗客が待っていて、「羽田空港までお願いします」などというケースも何度かあった。


 逆に、嫌な気分のまま運転していると乗客との空気も悪くなりがちだ。たとえば、会社の車庫を出るときに所長から叱られたことがある。乗客とのトラブルが原因で、こちらも悪いが乗客に明らかな非があったにもかかわらずだ。心の中で「ふざけんな!」と思いながら運転していると、「歌舞伎町まで」というホスト風の短距離客を乗せることになり、降ろすとすぐにヤクザ風の男が乗り込んできた。「池袋まで。早く行け! 急げ!」などと半ば恫喝気味で、降りる際も当然ながら運賃ぴったりの支払いだ。


 うまくいかない日に乗せたスーツ姿のサラリーマンが“万シュウ”(1万円以上の乗車)で最初は喜んだものの、行き先を告げると同時に寝てしまったこともある。高速道路を使って目的地に到着し、声をかけるがなかなか起きない。しばらくして、やっと起きたと思ったら、いきなりシートに吐かれてしまったのだ。上客が一転して嫌な客になったわけだが、こうした日は無理をせず、とっとと帰庫して気分転換するに限る。


●チップは1日2000円になることも


 タクシードライバーにとって“小さな喜び”がチップである。乗客と気分良く会話した後には「お釣りはいいよ。領収書だけちょうだい」ということも多々あり、そうしたチップは1日平均1000円程度、いいときには2000円ぐらいになり、食事代が浮く。


 実は、チップをもらうにもコツがある。たとえ短距離客であろうと、元気な声で「お待たせしました。どちらまでですか?」と明るく問いかけるのだ。すると、「近くて悪いわね。お茶でも飲んで」などと言いながら、運賃410円で500円を置いていってくれることがままある。急いでいる乗客にお釣りを渡す際、「お先に3000円です」とお札を渡し、間を空けて小銭を数えると「細かいのはいいよ」となることもある。


 また、目的地までのルートを確認した後で会話が弾んできたら、こちらの話をしてはいけない。多くのドライバーが間違えるのだが、「相手の話」を聞いてあげるのがコツである。


 たとえば、企業の重役クラスとおぼしき客に「銀座」と言われた場合、「これからクラブですか?」などとさりげなく聞き、「銀座はホント、気品のある女性が多いですよね」と続ける。新宿や六本木と比べて明らかに女性が上品であり、また優しさを感じることが多いのだが、こうした問いかけが相手の心に刺さると乗客の口もなめらかになるものだ。


 タブーは批判や悪口だ。相手が批判することにうなずくのはいいが、こちらから先に批判をすると、その対象を好ましく思っている乗客の機嫌を損ねる可能性が高い。一般的にもタブーとされる宗教や政治、スポーツに関する話も同じである。


「苦情をもらわずチップをもらえ」――ベテランドライバーの名言である。
(文=後藤豊/ライター兼タクシードライバー)


このニュースに関するつぶやき

  • 「タバコ代」と言って、チップ渡す。それだけの内容だと思ってた。
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  • この人はベテランドライバーですね。
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