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杉咲花『ハケン占い師アタル』の最終回が思い出させた、「働くことの快感」

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2019年03月22日 09:21  女子SPA!

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女子SPA!

写真(画像:『ハケン占い師アタル』公式サイトより)
(画像:『ハケン占い師アタル』公式サイトより)
 3月14日に最終回が放送された、杉咲花主演のドラマ『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系/木曜夜21時〜)。

 杉咲演じる派遣社員の的場中(まとばあたる)は、「あらゆるものが見える能力」を持ち、毎回、周りの社員たちの悩みを占いによって解決してきました。

◆最終回は見事だった

 脚本を担当するのは、『女王の教室』『家政婦のミタ』など、時代時代の社会問題をセンセーショナルに描いてきた遊川和彦氏。今作では、現代が抱える「会社」「仕事」の問題がどのように描かれるのかが注目されましたが、その答えは最終回で見事に回収されています。

 遊川作品では、これまでも特殊な能力とトラウマを併せ持つ、無表情なロボット的ヒロインが多数登場してきましたが、アタルの場合は、むしろ「笑顔」がデフォルト。通勤時だけに見せる無表情のサングラス姿は、「眼力=占い」を封印するためのものでした。

 社員に仕事を頼まれたときのセリフ「喜んで!(にっこり)」には、序盤は「居酒屋かよ」というツッコミもありましたが、この意味は終盤で明かされます。母親のコントロール下でずっと占いをやらされてきたアタルは、占った相手などから「働いたことあんの?」「占いしかしたことないのに」と非難された記憶を持っているらしいことが、夢に登場しました。
 そうした現状から逃げ出し、派遣社員として働き始めたアタルにとって、何もかもが初めての経験。新鮮な気持ちで、心から「喜んで」と言っていたのでした。最初は不気味に思えた「初めての経験」の記念撮影も、同じ理由からでした。

◆うまくいかない社員たちを占うアタル

 アタルが「占う」のは、ミスばかりで決断力がなく、自分に自信の持てない社員や、上司のパワハラにうんざりして転職を考えている社員、コネ入社で仕事を任せてもらえない社員、仕事はできるが、他者に批判的で自分が報われないと感じている社員、プライドが高く、過去の成功例にしがみつくうち、孤立してきた社員、仕事ができて、責任感があり、NOと言えない苦労人の上司など、様々な世代・立場の人たち。

 彼らはそれぞれアタルによって救われていきますが、最終的に、アタル自身が彼らの「逆占い」によって、母親のコントロール下から解放されます。そして、彼らの励ましを受け、サングラスで封印してきた特殊な能力を仕事にする=派遣占い師になることを決意するのでした。

◆上司の「飲みに行くぞ」が、嫌じゃなくなっていく

 ところで、このドラマの重要なポイントとして、第一話から最終回まで必ず登場したシーンがありました。それは、「仕事後の居酒屋」です。

 最初は、上司に飲みに誘われても断る者、行っても長話に退屈してあくびをしている者、スマホをイジっている者などばかりでした。その光景を見ながら、「仕事後くらい自由にさせてほしい」「飲みも仕事のうちなんて、ナンセンスだ」と感じた人もたくさんいたでしょう。

 それが、一人また一人と、悩みが解決し、仕事と向き合うようになってからは、徐々に上司の「飲みに行くぞ」のセリフが、別の響きを持つようになってきます。途中からは「こんなときは飲みたいもんね」「疲れていても、一杯くらい」という気分になったり、この居酒屋シーンを楽しみにするようになったりした視聴者も多いのではないでしょうか。

 仕事の質量や出来不出来にかかわらず、「頑張った」「なんとか終わった」「やり遂げた」という小さな達成感を得られたときは、「一杯飲みたい」という気持ち、すごくわかります。業種や職種、年齢も立場も関係なく、おそらくこういう気持ちは、「仕事」「働くこと」によってしか得られない気がするのです。

◆「働く」ことの意味を思い出させてくれた最終回

 年功序列や終身雇用が崩れ、賃金も上がらず、経済も完全に頭打ちに見える現代では、なんらかの不安を抱きながら働いている人がほとんどでしょう。それは決して解消されないものの、それでも「仕事」でしか得られない快感というのは、やっぱりある。
 そして、それが「チーム」として味わえるものなら、もっと大きなものになる気がします。

 最終回では、これまで脇にちょこちょこ登場してきた警備員や食堂のおばちゃん、掃除のおばちゃん、居酒屋店員さんなどの「仕事」ぶりもクローズアップされました。きっと彼らもその日は美味しい一杯(お酒にかかわらず)が飲めるはず。
 閉塞感ばかり感じる世の中で、「働く」ことの意味を思い出させてくれる最終回でした。

<文/田幸和歌子>



【田幸和歌子】
ライター。特にドラマに詳しく、著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』など

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