センバツ出場校の硬式・軟式出身割合は?硬式野球の中高一貫強化がトレンドに?

0

2019年03月22日 15:53  ベースボールキング

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ベースボールキング

写真
今月23日に開幕する選抜高校野球。この春、球児の憧れの甲子園でプレーする権利を得られた選手は574人(米子東だけ16人でその他31校は18人が登録)になるが、その出身チームを硬式、軟式に分けて現在の全国上位校の傾向を分析してみた。
(情報は昨年秋の地区大会時点)

投手は56%、野手は72%が硬式出身
まず全574人のうち約64%が硬式チーム出身となった。硬式出身の選手の方が中学時代からボールに慣れているというアドバンテージがあるのはもちろんだが、2009年には30万人を超えていた中体連加盟の軟式野球部員が2018年には16万人台と約半数にまで急激に減少している影響も間違いなくあるだろう(出典:中体連ホームページより)。

一方の硬式チームの登録選手数は2012年をピークに緩やかに減少はしているものの、軟式野球部員のような急激な減少は今のところ見られていない。この流れが続くようであれば、甲子園出場選手に占める硬式野球チーム出身選手の占める割合が増加することも考えられる。昨年から中学軟式野球でも硬式に近い新基準のM球が導入されたが、そのことによる変化も注目していきたい点である。

次に背番号1桁のいわゆるレギュラー選手について、ポジションごとに出身を分けて見ると下記のようになった。

投手:硬式出身56% 軟式出身44%

捕手:硬式出身72% 軟式出身28%

内野手:硬式出身67% 軟式出身33%

外野手:硬式出身72% 軟式出身28%

(野手合計:硬式出身70% 軟式出身30%)

投手は56%、野手は70%が硬式出身という結果となった。プロ野球でも投手は軟式出身も多いという傾向が出ているが、甲子園でもその傾向は大きく変わらない。ただそれでも各チームのエースとなると硬式の方がわずかに多いという傾向が出ている。
全員硬式出身、全員軟式出身のチームも
次にそれぞれの出身選手の多いチームの上位を挙げると以下のようになった。
硬式出身が多いチーム
履正社(大阪):硬式出身18人 軟式出身0人

札幌大谷(北海道):硬式出身17人 軟式出身1人

八戸学院光星(青森):硬式出身17人 軟式出身1人

横浜(神奈川):硬式出身17人 軟式出身1人

大分(大分):硬式出身17人 軟式出身1人

習志野(千葉):硬式出身16人 軟式出身2人

桐蔭学園(神奈川):硬式出身16人 軟式出身2人

山梨学院(山梨):硬式出身16人 軟式出身2人

筑陽学園(福岡)::硬式出身16人 軟式出身2人
軟式出身が多いチーム
熊本西(熊本):硬式出身0人 軟式出身18人

日章学園(宮崎):硬式出身1人 軟式出身17人

高松商(香川):硬式出身2人 軟式出身16人

富岡西(徳島):硬式出身2人 軟式出身16人

米子東(鳥取):硬式出身2人 軟式出身14人

星稜(石川):硬式出身4人 軟式出身14人
(情報は昨年秋の地区大会時点)

今後のトレンドは中高一貫校強化?
全員が硬式出身だったのは履正社1校で、甲子園常連校である八戸学院光星、横浜や札幌大谷、大分が軟式出身1名でそれに続いている。
中でも面白いのが初出場の札幌大谷と大分だ。札幌大谷は高校の付属である札幌大谷中学が硬式野球部の「札幌大谷シニア」として、大分も付属の大分中学が「大分シニア」としてシニアリーグに所属している。前者は昨年秋の地区大会ではベンチ入り18人のうち10人、後者は15人が付属チームの出身だ。

共に選抜大会は初出場。私立の中高一貫校がこのような形で硬式野球を強化する例も今後増えてくる可能性があるだろう。

一方の軟式出身が最も多かったのは21世紀枠で出場する熊本西の18人。他にも上位チームは高松商、富岡西、米子東など公立高校が多くなっている。私立の日章学園と星稜は付属中学の軟式野球部出身の選手が多いのが特徴で、日章学園は14人、星稜は10人が付属の中学出身の選手である。特に星稜は今大会でも優勝候補に挙げられており、プロ注目のエース奥川恭伸も軟式野球部出身(かほく市立宇ノ気中/石川県)である。数は決して多くないものの、軟式野球部でも全国トップレベルのチームであれば甲子園でトップクラスの選手を輩出することは十分可能と言えるだろう。

最後に中学時代の実績についても見てみたい。2016年に行われたU15ベースボールワールドカップの侍ジャパンに選ばれた選手は20人いるが、その中で今回の選抜に出場するのは及川雅貴、黒須大誠(ともに横浜)、野口海音(履正社)の3人だけである。あらゆる組織が統一されていない中学生時点の侍ジャパンではあるが、それでも世代のトップと見られていた選手の甲子園出場率が決して高くないことがよく分かるだろう。中学時代に実績がなくても、高校で大きく飛躍する選手も多数存在しているのだ。

あくまで今大会の出場選手だけでありデータとしては十分とは言えないが、ある程度の傾向値としては見えてくるものが多々あるのではないだろうか。選手の出身チーム、バックグラウンドなどを頭に入れながら見ると、また新たな甲子園の楽しみが増えることだろう。(西尾典文)

このニュースに関するつぶやき

  • 投手は大差ないが捕手と外野手は圧倒的に硬式出身者が多いね。投手も差が拡がりそうですね。
    • イイネ!3
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(1件)

ランキングスポーツ

前日のランキングへ

ニュース設定