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なぜライザップが成功したのか、瀬戸社長自身はわかっているのか?その素晴らしい事業

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2019年03月23日 07:11  Business Journal

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写真ライザップ(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
ライザップ(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 RIZAP(ライザップ)グループは、M&Aの失敗が続き、招聘したプロ経営者の松本晃氏が代表権を返上するなど、経営が大きく揺らいでいますが、そもそものライザップ事業の成功は素晴らしいものだったと、とらえています。


 筆者は、消費者心理(インサイト)を捉えたマーケティングを提唱しているコンサルタントですが、ライザップ事業はまさにこの消費者心理をとらえたものだったからです。


●ライザップは、「三日坊主にならずに続けられる」


 ライザップの事業は、2012年のトレーニングジムから始まり急成長しました。テレビCMに有名人を起用し、肉体改造の「ビフォー&アフター」(ダイエット前の太った身体とダイエット成功後の引き締まった身体)をセンセーショナルに見せた点に目を奪われがちですが、成功要因はもっと深いところにあります。


 多くの人は、「やせたい」とか「こういう体型になりたい」と思いながら、心のどこかでジムに通っても「どうせ、やせられない」と思っています。自分のまわりを見渡しても、ジムに通ってダイエットに成功した人をあまり見かけない、という人が多いでしょう。また、やせると決意をしても、「どうせ三日坊主で続かない」と思っています。年始に何か決意しても、2月には忘れてしまう人も多いのではないでしょうか。


 そういう人々の心の葛藤をとらえて、ライザップは「結果にコミットする」というメッセージを発信し、「どうせ無理だと思っていたけど、これなら結果が出るかも」、そして、「三日坊主にならずに、やり遂げられる」気持ちにしたのです。これこそが、ライザップのジム事業が成功した真の要因です。


 人の心を掴まえることで、高額の会費を納得させ、数多くの既存のフィットネスクラブと差別化することにも成功したのです。


●「ジム」から「英会話」「ゴルフ」「料理教室」に拡張できる理由


 さらにライザップは、ジムでの成功をもとに「英会話」や「ゴルフ」「料理教室」などに事業を拡大していきます。これらはすべて、人々が抱いている同じ心理をとらえたものです。


「英会話」でいえば、多くの人が「英語を話せるようになりたいけど、どうせ三日坊主で続かない」と思っていますし、心のどこかで「英会話教室に通って、英語が話せるようになった人ってほんとにいるの?」と疑心暗鬼なのではないでしょうか。この心理をとらえて、「結果にコミットする」。具体的には、「3カ月でビジネス英語が最大の武器になる」ようにするわけです。


「ゴルフ」でも、「うまくなりたいけど、どうせ三日坊主で続かない」と思っている人に対して、「最短2カ月で、スコア100切りを目指す」ことを打ち出しています。


「ジム」と「英会話」「ゴルフ」は、サービスのカテゴリーが違いますが、ライザップは人の同じ心理を掴まえています。「なりたい自分はあるけど、どうせ三日坊主で続かない」という心の葛藤をとらえ、「三日坊主にならずに、やり遂げる」気持ちにさせます。そして、「結果にコミットする」というコンセプトを、ライザップのブランド資産にすることで、さまざまなカテゴリーへの事業拡大を可能にしているのです。


 これは、日本の企業では稀有な、ブランド拡張の成功例です。「ジム」や「英会話」といったカテゴリーに縛られずに、同じブランド・コンセプトで、カテゴリーを拡張していることが見て取れるでしょう。


 日本の企業の多くは、商品カテゴリーごとにブランド名をつけます。例えば、ほとんどのジムは、フィットネスクラブやスポーツのカテゴリーでブランディングをしますので、「英会話」や「料理」など他のカテゴリーに拡張することが難しくなります。


 また、ライザップは表面的なプログラムにとどまらず、「トレーナー」という人的なリソースが大きなブランド資産になっているため、競合他社に簡単には真似されません。ライザップのトレーナーは、単にトレーニングのスキルが高いだけでなく、顧客会員が目標を達成できるように、つまり「三日坊主にならずに続けられる」ようにする、カウンセラーのようなコミュニケーション・スキルを持っているのです。


●瀬戸社長は、ライザップがなぜ成功したか、わかっているのだろうか


 ここまで見てきたように、ライザップには非常によくできた事業戦略・ブランド戦略があり、それが成功をもたらしました。


 しかし、この成功要因を瀬戸健社長自らは、どのように認識されているのでしょうか。


 グループは、この2年間に数多くの業績不振に陥っている企業を次々と買収しました。「負ののれん代」を営業利益に計上することで好業績をつくり出すという手法に魅入られた側面はあったにせよ、買収した企業・事業を「再建」するつもりだったと発表しています。


 ライザップの事業の真の成功要因が、「人の気持ちを見事にとらえた、事業戦略にある」とわかっていなかったから、買収した企業を簡単に再建できる、つまり優れた事業戦略なしでも再生できると考えたのでしょうか。それとも逆に、成功要因がわかっているからこそ、ライザップと同じレベルの優れた事業戦略を次から次へと構築できるという過信があったのでしょうか。どちらにしても、非常に不思議です。


 失敗の原因分析以上に、自らの成功要因分析は難しいといいます。多くの事業やブランドが、せっかく成功していながら、その理由を見誤り、間違った方向にビジネスを拡張して自滅していきます。


 瀬戸社長にとって、まず重要なのは、ライザップの事業がなぜ成功したのか、という自らの成功要因を見つめ直すことではないでしょうか。ライザップは、「三日坊主にならずに、やり遂げられる」という「消費者心理(インサイト)をとらえた、事業戦略」を構築できたからこそ、成功したのです。


 ライザップ事業では、今後もこの消費者心理や戦略を踏み外さないで拡張していくことが肝要です。そして、買収した企業の事業を立て直すためには、事業ごとに異なる消費者心理を見定めていく必要があります。


 この事業では、どのような消費者心理をとらえれば成功するのか、ひとつひとつ事業戦略を構築していってはじめて、グループ傘下の企業群の再生が見えてくるのではないでしょうか。
(文=桶谷功/株式会社インサイト代表取締役)


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