SMAP「世界に一つだけの花」、星野源「恋」……平成彩った“センバツ入場行進曲”を振り返る

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2019年03月23日 08:11  リアルサウンド

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 3月23日より、『第91回選抜高等学校野球大会(以下、センバツ)』が開幕する。出場校や試合そのものはもちろん、同大会を彩る入場行進曲にも毎年注目が集まっている。


 平成最後となる今年は槇原敬之が作詞作曲した「世界に一つだけの花」に「どんなときも。」のメロディも組み入れて編曲したものに。2003年に発売された「世界に一つだけの花」は2004年(第76回)の行進曲、「どんなときも。」は1991年発売、1992年(第64回)の行進曲として起用。槇原は今回の再起用にあたり「世界に一つだけの花のように、それぞれに、それぞれの輝きを見せてくれたら」と球児へのエールを送る。平成を代表すると言っても過言ではないこの2曲が、今年の『センバツ』を大いに盛り上げてくれそうだ。


 平成の『センバツ』入場行進曲は「前年に広く親しまれた曲からスポーツにふさわしく明るいもの」という原則に則り、数多くのヒット曲が彩ってきた。平成最後の大会開幕を機に、これまでの入場行進曲を振り返りたい。


応援歌や“青春”を描いた楽曲

 まず目立つのは、これぞ行進曲、といったZARDの「負けないで」(1994年/第66回)の他、SMAP「がんばりましょう」(1995年/第67回)、岡本真夜の「TOMORROW」(1996年/第68回)、「明日があるさ」(2002年/第74回)などストレートな応援ソングの数々。どの楽曲もブラスサウンドによって原曲以上にパワフルで元気なイメージが与えられているような印象だ。特に『24時間テレビ』(日本テレビ系)でも歌われる機会の多い「負けないで」はテンポなども行進曲にぴったり。球児たちの背中をそっと押す役目を果たしていると言えるだろう。


 修二と彰「青春アミーゴ」(2006年/第78回)、GReeeeN「キセキ」(2009年/第81回)といった青春を描いた楽曲もまた、大会を盛り上げる選曲に。輝かしい青春をより際立たせるようだ。また、PUFFY「これが私の生きる道」(1997年/第69回)、SMAP「世界に一つだけの花」、「Let It Go〜ありのままで〜」(2015年/第87回)など“そのままの姿”を肯定するような曲も目立つ。



ラブソングやシリアスな楽曲も

 ヒット曲に恋愛をテーマにしたものが多いことを考えれば当然の流れかもしれないが、意外にも多かったのはラブソング。星野源「恋」(2017年/第89回)、西野カナ「もしも運命の人がいるのなら」(2016年/第88回)、AKB48「恋するフォーチュンクッキー」(2014年/第86回)といった明るくポップな曲調が目立つ。一方で、過去にはKinKi Kids「硝子の少年」(1998年/第70回)や宇多田ヒカル「First Love」(2000年/第72回)といった楽曲も。原曲の切ないイメージは行進曲とはそぐわないように感じるが、アレンジされたバージョンはブラスやスネアドラムなどのサウンドでぐっと明るいものに。先に挙げた応援ソング同様、行進曲にふさわしいテンポになっている。


 ラブソングではないものの、コブクロ「蕾」(2008年/第80回)といったバラード、TOKIO「宙船」(2007年/第79回)などシリアスな雰囲気の楽曲も起用されてきたが、どれも見事なアレンジで行進曲らしい仕上がりとなっていた。


 こうして振り返ると、平成30年の間で実に幅広い楽曲がヒットし、行進曲としても愛されてきたことがわかる。甲子園駅では大会期間中、「世界に一つだけの花」が列車接近メロディーとしても使われるという。今年はどんなアレンジをされているのかにも注目しながら、平成最後の『センバツ』を楽しみにしたい。


(文=村上夏菜)


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