◆ 自分自身と向き合った自主トレ
ロッテの加藤翔平は、ここまでの取り組みに手応えを掴んでいる。
昨年までは鈴木大地、柿沼友哉らと合同自主トレを行っていた加藤だが、自分でやることが明確にあったため、オフはロッテ浦和球場やZOZOマリンスタジアムを中心に一人で課題と向き合った。
1月のロッテ浦和球場での自主トレでは、早朝7時から短距離走、体幹トレーニングで汗を流した。体幹トレーニングでは、1年間結果を残すうえで、体幹が弱ってくると打撃フォームから全て崩れることから例年以上に体幹トレーニングに取り組んだ。
打撃面でも自分で意識、感覚を身につけ、1年間結果を残せるようにするため、色んな引き出しを集める作業に着手した。
春季キャンプ初日に行われた紅白戦でチーム唯一の複数安打、2月9日の台湾・ラミゴとの交流試合から対外試合5試合連続安打をマークするなど、オフの取り組みの成果をしっかりと出した。
◆ 3月上旬の打撃不振も計算済み
オープン戦が始まると、パタリと当たりがとまる。3月2日の中日戦から13日のヤクルト戦の第2打席にかけて8打席無安打。調子を落としたが、この不調も加藤の中では計算済みだった。
「3月頭ぐらいはしっくりきていない感じがあったんですけど、一度2月1日にマックスを持っていったので、自分のなかでそれくらいの時期に下向きになるというのは覚悟していたというか、頭に入れていた」。
これまでの加藤といえば、好不調の波が大きく、自身も調子が悪くなったときに早く修正するのが課題とことあるごとに言っていた。今年の加藤は違う。
「バットの角度もこんなにバットが立っていたかなというのもちょっと気になる部分ではありましたし、あとは横からの映像を見た時に足をつくのが遅くなっている感じがありました。そこを早めてやった結果、メットライフドーム2試合はいい感じで打てました。その修正がうまくいけたかなと思います」。
13日ヤクルト戦の第3打席でオープン戦初安打を放つと、17日のDeNA戦から20日の西武戦にかけて3試合連続マルチ安打と再び状態を上げてきた。
◆ 昨季もオープン戦は好調
昨年もオープン戦の打率.474と好成績を残し開幕を迎えたが、開幕直後の4月7日に一軍登録を抹消された。
「去年のこの時期は打っていましたけど、オープン戦の打席自体はそこまで打席に立っていたわけではないですし、自分のなかで半信半疑な部分があった。今年は1試合出る中で、課題も出るし、良い部分も出ている。去年よりはちゃんとした要因がわかっているのではないかと思います」。
今年もここまで、オープン戦で打率.375と高い打率を記録しているが、昨年までと手応えが違うそうだ。
「シーズンで打ってこそ本当の自信になると思うので、そこはまだまだだと思うんですけど、去年よりもいいイメージを持って打席に立てている。そこは去年よりも自信に繋がっていると思います」。
毎年レギュラー獲得を期待されながら、レギュラー定着に至らなかった加藤だが、オフから自分自身と向き合い、取り組んできていることが形になりつつある。今年こそ光を放つ勇姿をシーズン通して披露し、飛躍の年にしたいところだ。
取材・文=岩下雄太