生後6か月女児が保育所で抗ヒスタミン剤を過剰投与され死亡(米)

2

2019年03月23日 17:02  Techinsight Japan

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

Techinsight Japan

女児に抗ヒスタミン剤を過剰投与して死なせた53歳デイケア運営者(画像は『FOX 10 Phoenix 2019年3月19日付「Vermont daycare owner arrested in death of infant given antihistamine」(Vermont State Police)』のスクリーンショット)
米バーモント州で、睡眠を促そうと生後6か月の女児に抗ヒスタミン薬を過剰投与して死なせた保育施設(デイケア)運営者が逮捕され、最高裁判所で裁判が行われた。地元で25年にわたり認可保育施設を運営していた女は、法廷で2件の罪状を否認した。『FOX 10 Phoenix』『Metro』などが伝えている。

バーモンド州ラトランドで、今年1月24日に小さな命が失われた。

ハーパー・ローズ・ブライアーちゃん(生後6か月)の母親マリッサ・コバーンさんと父親ブレイク・ブライアーさんは、1月23日にハーパーちゃんを地元の認可保育施設に初めて預けた。運営者のステイシー・ヴェイランコート(53歳)はこれまで25年間、自宅で保育施設を営んでおり、マリッサさんが訪れた時にもステイシーは州の児童家族省から保育施設を認可された証明書を見せていたという。

初日にハーパーちゃんを預けたマリッサさんは、迎えに行った時にハーパーちゃんがいつになく疲れた様子で、笑顔を見せないことに気付いた。だが、その翌24日もマリッサさんはカレッジに出席しなければならなかったため、ハーパーちゃんをステイシーに預けた。ところが迎えに行く時間になり車で施設へ向かっていた時、マリッサさんはステイシーから「ハーパーちゃんの具合が悪いので病院へ連れて行かなければならない」というメッセージを受け、急いで施設へと電話を入れた。

電話に応対した救急隊員から「ハーパーちゃんが息をしていないので、地元のメディカルセンターへ連れて行く」と言われ、マリッサさんは驚愕した。救急車で病院に搬送されたハーパーちゃんは、死亡が確認された。ステイシーの警察への供述により後に判明したことだが、施設に救急隊員が駆けつけた時には、隣接したアパートに住むステイシーの息子ライアンさんがハーパーちゃんにCPR(心肺蘇生法)を施していたという。ライアンさんは当時、施設にひとりでいた母親からハーパーちゃんが息をしていないことを知らされ、呼び出されていた。

ステイシーは、警察に「子供らが昼寝をしていた時、ハーパーの顔が毛布の下にあって嘔吐していた。息をしていないことに気付いた」と話していたが、検死によりハーパーちゃんの死因はアレルギー反応の治療に用いられる市販の抗ヒスタミン薬の鎮静成分「ジフェンヒドラミン」による中毒であることが判明した。

ジフェンヒドラミンは、医師の処方なしでは乳児への使用は認められていない。しかしハーパーちゃんの死亡当時、脳内血液のジフェンヒドラミンレベルは致死量となっていた。血中濃度は1回の大量投与もしくは複数回の少量投与の可能性を示しており、母親から「ハーパーはなかなか寝付かない」ということを聞いていたステイシーがジフェンヒドラミンの副作用を逆手に取り、睡眠を促すためにハーパーちゃんに過剰投与し、死に至らしめたとされた。だが、ステイシーは病院や警察に、ハーパーちゃんに投与した薬のことを一切口にしていなかった。

両親によると、ハーパーちゃんは死亡する1か月以上前に気管支炎になったものの回復しており、それ以外は健康で特別な疾患も抱えていなかったという。ハーパーちゃんを預けた初日、両親はステイシーに薬を投与されたことに全く気付いていなかった。

3月18日、逮捕されたステイシーはラトランド郡最高裁判所で過失致死と児童虐待の罪で起訴されたが、2件の罪を否認した。検察側は、悪質な事件としてステイシーに5万ドル(約553万円)の保釈金を設定し、逃亡の可能性も考えて拘束するべきと主張。起訴の深刻さと実刑の可能性を促すよう要求したが、弁護人は「依頼人は最近、破産宣告をし保釈金を支払う余裕はない。地元に長く住み続けており、逃亡の可能性は薄い」と擁護した。結果として判事は、25,000ドル(約276万円)の保釈金を条件付きで設定し、5歳未満の子供との接触を禁じた。ただしステイシーが自分の孫と会う時には、その子の親が監視をする条件で許可されるとのことだ。保釈金を支払っていない状態で保釈されているステイシーは現在、キリントンのホテルで働いているが裁判所への出廷も義務付けられており、万が一逃亡した場合には設定された保釈金を支払うことが命じられている。

なお裁判所の傍聴席にはハーパーちゃんの両親や身内、友人らなどおよそ40人が、ハーパーちゃんの写真と「ハーパー・ローズの死に正しい制裁を」というメッセージがプリントされたピンクのTシャツを着て参加した。今後、ステイシーに有罪が下れば、最大25年の実刑が科せられる可能性があるという。

画像は『FOX 10 Phoenix 2019年3月19日付「Vermont daycare owner arrested in death of infant given antihistamine」(Vermont State Police)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

このニュースに関するつぶやき

  • 欧米の合理主義も、ここまで来ると行き詰まりだね。アメリカ人の被告となる人の顔って、本当に悪そう。
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(2件)

前日のランキングへ

ニュース設定