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ある部署で完全に残業ゼロ達成の目前で、社員たちから抵抗が続出した意外な理由

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2019年03月25日 08:11  Business Journal

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Business Journal

写真「Gettyimages」より
「Gettyimages」より

 現在日本では長時間労働の排除、残業時間の削減が社会的な取り組みになっています。これを実現するには労働関連の法律や、会社の人事制度を変える必要性があります。しかし、個人でできることもたくさんあります。そこで今回は、国の法制度や会社の人事制度は現状のままであることを前提に、個人としてどうすべきかについて話を進めていきます。


 ところで、なぜ残業が発生してしまうのでしょうか。


 その理由を尋ねると、お客さんの要求が厳しい、他部署との連携がうまくいっていなくて戻りが発生してしまう、人手不足で一人当たりの仕事量が多いなど、皆さんいろいろな理由を挙げます。


 しかし、本音を探っていくと、結局のところは「残業代が欲しいから」というところに行きつくのではないかと思います。


 いきなり下世話な話で恐縮ですが、多くの人にとって、残業するのは経済的な理由です。仮に月に40時間、年間で480時間残業すれば、時給2000円としても年間でプラス96万円になります。これはかなりの金額ですね。皆さんのなかにも残業代を前提に家計を組んでいる人が多いと思いますし、また会社もある程度の残業代を支払うことを前提に給与システムを設計しているところが多いのが実態です。ですから、残業代がもらえないと生活の水準が下がるという点が、残業ゼロ社会実現への大きな障害になっているはずです。


 それにもかかわらず、ある日突然「残業は禁止です。全員毎日定時に帰るように」などと会社に決められたら、なんだか梯子を外された気持ちになるでしょう。会社が危機的な状況になっているのなら一時的に協力しようという気持ちも生まれるでしょうが、普通に利益が出ている状態であれば「会社はそんなに儲けたいのか!」と文句のひとつも言いたくなります。


 しかし、現在社会的に検討されている残業削減の取り組みは、会社が残業代を減らして利益をもっと出したいという理由だけではありません。おそらく、ここ数年の間に、少なくとも「だらだら残業」のような、理由のない残業はできなくなる仕組みが整備されることでしょう。それには、これまで払われていた残業代を見込んだ給与制度に代わっていくことでしょう。つまり、ホワイトカラーの給与システムは限りなく年俸制に近い制度になるであろうということです。


 そうなると、お金を目的に残業することは意味がなくなりますが、それはそれで別の問題点が浮かび上がってきます。


●プライベートの部分が理由で残業する社員たち


 これは、残業ゼロに本気で取り組んだある管理職の話です。


 定時の時間内にできることだけをやるという方針を立て、時間内にできないことがある場合は先送りする、やらないなどを上司が判断し、関連部署との調整も上司が行う、というやり方です。こうしようとメンバーに伝えたら、次々と反対の声が上がったそうです。


「業務量が多すぎる。残業しないで仕事が終わるとは思えない」
「先送りしたところで、次の日の仕事もあるから、どんどん仕事が溜まっていくだけだ」


 こんな声に対して、その管理職は部下の声には耳を貸しつつも「とりあえずこれは実験です。一週間でいいですから、一度試してみましょう」と始めてみました。そうすると8割の社員が残業をすることなく、予定していた仕事を完了しました。どうやら、残業なしでは仕事は終えられないというのは思い込みだったようです。


 次に管理職はこう言いました。


「素晴らしいです。全員が完了できたわけではないですが、皆さんあと少しです。納期の変更が可能な仕事もありますから、これは私のほうで調整します。では実験は終了です。これからは定時で業務を完了させることに、本格的に取り組みましょう」


 すると、メンバーは一様に顔を曇らせました。理由を聞くと、


「1日2時間程度残業することは苦でないので、残業させてもらえないか」
「これまで残業することが習慣だったし、ほかの部署の目もあるので、定時で帰るのは違和感がある」


というような漠然とした意見が出てきました。さらには、「家に居場所がないので、早く帰るとかえって疲れる」といった既婚者からの意見や、「家に居ても寂しいだけだ」という独身者からの声も上がってきました。どうも、プライベートの部分が理由で残業している人もいたようです。さらには、


「時間内に終わらせるというプレッシャーが過度にかかる状況はつらい」
「一定時間でできるかどうか明白になってしまうので、いやだ」


などといった声も、仕事の効率があまりよくない一部のスタッフからも上がってきました。これらがダラダラ残業の本当の原因のようでした。このような意見は、皆さんにもどこかしら共感できる部分があるのではないでしょうか。


●残業に逃げるという甘え


 さて、ここまでで残業がなくならない本当の理由が見えてきました。つまり、残業代がもらえること、プライベートでやることがないこと、超過労働で仕事のパフォーマンスの低さを補っていることなどです。一般の社員の人たちには、適度な残業量であればそれをなくす理由がないのですね。


 仕事量が多いというのは実は表面的な理由です。もし世の中全体が、残業代が払われない仕組みに移行したら、こなせない仕事量はできないと断るはずです。会社にいたほうが居心地がいいし、場合によっては光熱費の削減にもなるというのは明らかに個人の甘えです。また、仕事のスピードが求められるとつらいという意見も、私がこの管理職だったら、では今まではいったいなんだったんだ、と言いたくなります。


 かくいう私も、20代の頃は一日12時間以上の長時間労働をしていました。ですので、これまでしてきたお話は私の実体験とも大きく重なります。


 しかし、20代後半に椎間板ヘルニアで2カ月ほど入院と自宅療養が必要な時期を経験してから、働き方を考えることを決めました。腰痛自体は高校生のときからの持病で、忙しく仕事をしていたことと直接関係があるかどうかわかりませんが、とにかく、毎日定時で仕事を終えると決めました。すると、おもしろいもので、それでもなんとかなるのです。確かに、それまでは長く働くことが前提であり、ときには上司がいるから帰りづらくゆっくり仕事をするようなこともありました。職場に復帰して1週間もすると、集中度を増すことで同じ量の仕事ができるようになりました。


 仕事のスピードを上げるのは実は簡単でした。同じ量を半分の時間で仕上げると決めるだけでよいのです。人間は自分が思っているより能力が高いようです。無人島に取り残されると、なんとかして食べ物を探すように、追い込むことによってブレイクスルーが起こるものだなと思いました。


 ところが、私の仕事は少しばかり詰めが甘い傾向にあり、大事な部分が抜けてしまうことがあり、そのために当時のチームメンバーに、私のミスの後処理で迷惑をかけることもありました。つまり個人の仕事を早く終わらせても、そのあとに問題が生じたら、余計に時間がかかってしまうということです。それもこれも、早く終わらせることが目的になっていたからです。「限られた時間でよい仕事をする」という目的に変更すれば、もう少し時間を使ってでもしておきたいことが出てくるはずです。


 たとえば、仮に毎日6時に仕事を終わらせたとしても、一週間を見渡せば、品質向上のために使える隙間時間を見つけることができるはずです。リスクマネジメントのために時間を使うことで、結果的にあとでムダな時間が生じるのを防ぐことができます。


 たとえば商品の企画であれば、企画内容を考えること以外にも、前もって説明しておいたほうがいいポイントを関係者に電話やメールで伝えたり、つくったものに対してマニュアルを残したりすることもあるでしょう。


 仕事を早く終わらせようと、整理術や段取り術など、やり方をまず探す人が多いと思います。しかし、それ以前に「本当に早く帰る」という行為に対する意志が弱いとうまく行きません。やり方はもともと時間が限られていると思えば、アイデアはいくらでも浮かんでくるものです。


 つまり、起こるかもしれない問題に対して、先回りして処理しておけば、リスクを減らすことができるということです。一週間のうちどこかでつくり出した一時間のおかげで、仕事のクオリティはほかの人よりも高くなるはずです。


 仕事上なんの問題も起こさず、淡々と仕事をして毎日決まった時間で退社する人に対しては、仕事量が少ないのではないか、サボっているのではないかという印象を持ってしまいがちですが、時間の使い方を見てみれば、このような姿勢で仕事に取り組んでいるはずです。反対に、いつもドタバタしていて、次々と問題を解決している人はものすごく忙しく見えますし、本人も達成感を得ていることが多いものですが、実際のところはリスクマネジメントに十分な時間を使っていないことの裏返しでもあります。


 これからの日本は、ホワイトカラーの残業が評価されない社会に間違いなくなっていきます。しかし、人から言われたことに従う人生よりは、自分の意志で決める人生のほうが幸せだと私は思います。
(文=山崎将志/ビジネスコンサルタント)


このニュースに関するつぶやき

  • 自分の経験した社会が全てと思ってる人の典型文章。世の中には残業代なしで深夜残業・休出当たり前の業界も帰りたくても効率上げても帰れない業界もあることを知らんのだな。
    • イイネ!2
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  • みなし残業代支給制度は、法できっちり排除すべき。残業は残業だもの。規定時間を超えた労働は、能率の問題もあるけどちゃんと法定倍率掛けて支給しなきゃアカンでしょ。
    • イイネ!8
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