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現役アナウンサーが教える、話しながら頭の中を整理する会話術

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2019年03月25日 19:50  まぐまぐニュース!

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まぐまぐニュース!

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人前で話すあらゆるシーンに役立つプロの技を伝えてくれるメルマガ『話し方を磨く刺激的なひと言』の著者で、現役アナウンサーの熊谷章洋さん。今回は、「結論から言う」などのよくある「話し方のコツ」は、実践が難しい場合が多いと指摘。要素を列挙して、話しながら頭の中を整理する技術について具体的に解説しています。

話を考える過程をも話して聞かせてしまう、話し方の技術

思わぬ質問をされたとき、考えたことのなかった、これまで話したことのなかったテーマで話してくれと言われたときは、誰しも戸惑うものです。何を、どういう順番で話して、結論はどうすべきか?頭の中で、いろいろなプランが生まれては消えていきます。

そんな自分の姿が、迷っている、困っている、焦っている、狼狽しているように見られているかも?と、心理的にも圧迫され、すぐに何か話さなければ!と、とりあえず見切り発車で話し始めて、話せるところから順番に話していき、結局、何が言いたかったのかわからない話を、長々としてしまう…。思い当たることはありませんか?

いっぽうこれが、「自分の仕事について、あなたが大事だと思うポイントを話してください」。というような質問だったとしたら、どうでしょう?「ポイントは3つあります」とか、「自分の仕事におけるテーマを究極的にまとめると、ただ1点に絞ることができます、それは…」などの話し始め方ができるかもしれません。

日ごろから何らかの哲学を持って仕事をなさっていて、自分の仕事の要諦をきちんとまとめて認識していて、なおかつそれを、同僚などと話し合う機会があり、頭の中にある曖昧で散漫な情報を、自分で、明確な話し言葉に変換した経験があるのであれば、そんな話をするのはお手の物だと思います。

このような、得意なテーマが話しやすい原因を、いま取り組んでいる「横着ファイリング話法」で表現すると、話の枠=空フォルダーの範囲が、話す前から明確に絞れているからです。

考えたことがある、結論を導いたことがある、話し言葉に変換したことがある、こういう経験による成果です。自分の「話の引き出し」の中に、比較的すぐに話せる状態で保存されているんですね。

今回は、そういう場合ではなく、ぼんやりとわかってはいるものの、意識してまとめたことはなかった…ぐらいの、すぐに話せるレベルでないところに質問を喰らった、そういう状況を想定して考えてみましょう。

よくありがちな話し方のコツとして、ポイントは3つ、とか、結論から言う、などが奨励されているのを、目にしますよね。当メルマガでも無料メルマガ時代の10年以上前から「これから話すことを、短く先に表明しておく」と、話が届きやすくなることは、繰り返し指摘してきました。

実はそれが、「横着ファイリング話法」の出発点なのですが、では、頭の中がまだぼんやり意識の状態で、ポイントは3つって、話し始められますか?結論から言いますと…って、話し始められますか?それはかなり難しい。

前述した、仕事に対する持論のように、あらかじめ、まとめて、話した経験があるか、あるいは、そういう話し方に慣れている人にとっても、ある程度考えがまとまった状態が必要になるからです。日常の話し方へ応用しにくいのはそのためです。

世の中のものごとの全てについて、あらかじめ結論を導いておくことは不可能ですからね。そこで、頭の中がまだぼんやり意識の状態から、持論まで築き上げていく話し方こそ、現実的になってくるわけです。

例えば、「日本の人口減少化と、今後のわが社の取り組むべきこと」について質問されたらどうでしょうか。

自分の仕事についての考えを尋ねられるより、ちょっと話すのが難しくなりました。頭の中がまだぼんやり意識の状態です。その原因は、この話の結論を自分で導いた経験や、実際に話し言葉に変換した経験がないこと。

そして、「人口減少化」や「今後のわが社」については何らかの知識は持っているので、頭の中は有り余る情報で溢れている。つまり、まだ「持論」としてまとめたことがない、あるいは、持論はあることはあるが、話せる形にはなっていない段階だからです。

かといって、3分待ってください、その間に考えます…なんてこともできませんよね。しかし質問者のほうは、当然、即答できるでしょう、ぐらいの勢いで質問してきます。話の内容次第では、期待を裏切ったり、その程度の認識しかない人、思慮の浅い人という烙印を押されかねません。

ですから、こういう質問に対しては、

  • 即答で話しながら
  • 自分の考え=持論を展開し
  • 説得力のある「形」に仕上げていかなくてはなりません

では、どう話し始めるか、考えてみましょう。

まず「横着ファイリング話法」では、話をしなくてはいけない時は、できるだけ「楽に、横着に」なることばかりを考えること。そのために、今から自分が話す枠=空フォルダーを、先に自分で用意する、しかもその話す枠は、できる限り、厳密な定義と範囲の限定が必要、でしたよね。

しかし、この質問をされた現状では、何をどう話せばいいか、空フォルダーの用意もなければ、増してやその範囲も限定できない状態…そんなときには、即答で話し始めながら、同時に、自分の頭の整理のための情報・考えの洗い出しをしてしまえばいいのです。

話すことで自分の理解を促進しつつ、話の枠=空フォルダーだけを、たくさん作ってしまう。そんなことができるのです。

例えば、上記の「人口減少化とわが社」という、想定外の質問に対して答えるとすれば、「日本の人口減少は現状では避けられない、という前提で話しますと、原因は、少子化、高齢化、それによる問題点としては、国内消費・マーケットの縮小、国際的な競争力・影響力の減退、労働力の不足、地方の過疎化、都市部への人口集中など、いっぽう我が社はといいますと、まず現状では、主力事業が〇〇、××、企業哲学は…、得意とする分野は…、売り上げ収益の国内外の比率が…などなど」。

…と、思いつく限りの要素だけを列挙してしまいます。このような、「話を作る過程をも話して聞かせてしまう」ことで、

難問を問われても即答で話し始めることができ、聞き手には、「そうか、この人はいろいろなことを考えているんだな」。と、過小評価される余地を与えません。そしてその結果、今から自分が話すべきことの、空フォルダーだけが出来上がった、というわけです。

こういう話し方が「即答」でできるのは、要素を列挙しただけだからです。質量の軽い空フォルダーだからです。脳内の反応が早いから、サクサク話ができるんですね。

同じ理由で、逆に注意すべきなのは、一つ一つの要素について、ここでは項目を挙げるだけにとどめること。いきなり詳細を語ってはいけない、という点です。

あくまで、「話の持ち札」に名前を付けること=空フォルダーを、中身を定義しただけの空の状態で持っておくこと。「高齢化という空フォルダー」「労働力の不足という空フォルダー」「企業哲学という空フォルダー」etc.ということです。

まずはテーマの洗い出し=空フォルダーの創出、そしてその後の、話の枠の限定だけに専念すべきこの段階で、詳細を語ろうと、頭の中の膨大で雑多な情報にタッチしてしまうから、話が長くなったり、何を話しているのかわからなくなってしまったりするわけですね。

ここまでは、まず、想定にない話をしなくてはいけない局面で、まだ結論に至ったことのない内容を話すときに、話すテーマのリストアップをしながら、自分の頭の中を整理し、なおかつ即答で話し始める、その初動について、解説しました。

次回は、そうして列挙した空フォルダーを、持論にまで昇華させる思考回路について、お伝えしますね。

image by: metamorworks, shutterstock.com

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