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コインハイブ無罪判決の影響は 研究者「同様の問題が起こる可能性」を指摘

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2019年03月29日 10:11  弁護士ドットコム

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自身のウェブサイト上に他人のパソコンのCPUを使って仮想通貨をマイニングする「Coinhive(コインハイブ)」を保管したなどとして、不正指令電磁的記録保管の罪に問われたウェブデザイナーの男性(31)に、横浜地裁(本間敏広裁判長)は3月27日、無罪を言い渡した。


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判決は、コインハイブを「人の意図に反する動作をさせるプログラム」と反意図性を認める一方、不正性については、機能の内容が社会的に許容しうるかどうかで検討すべきと示し、不正な指令を与えるプログラムだと判断するには「合理的な疑いが残る」と結論づけた。 (詳細はこちら→https://www.bengo4.com/c_23/n_9430/)



今後のIT業界に影響を及ぼすとして、注目を集めていたこの事件。裁判の傍聴者やネットでは「無罪でよかった」と安堵の声が上がったが、弁護人が指摘するようにコインハイブの「反意図性」が認められたことなど懸念もある。



●他のプログラムに影響は

「相変わらず問題の根本的な解決にはなっておらず、今後もセキュリティを侵害しないプログラムについて、今回の件と同様の問題は起こる可能性はあるといえる」。



こう話すのは、千葉大学大学院専門法務研究科の石井徹哉教授(刑事法学)だ。



判決は、プログラムが使用者の意図に反するものかどうかは、機能に関する説明内容や、想定される利用方法などを総合考慮して、機能が「一般的に認識すべきと考えられるところを基準として判断するのが相当」と示した。



この点、石井教授は「機能がどのようなものかということをまず基軸に判断すべき点を弱めてしまう」と指摘する。



コインハイブについて判決は、マイニングが実行されていることを「一般的なユーザーが認識すべきと考えられるものということはできない」などとして反意図性を認めた。



石井教授は「反意図性を判断するのに、個々のプログラムの利用方法や機能に関する説明を重視しているため、この枠組のなかでの判断としては問題ないともいえる」としながら、「トラッキングやアクセス解析、クッキーなどもその具体的内容を一般的に認識しえるものとはいえなくなり、その機能の存在や具体的内容を説明した上でないと設置できなくなるということも考えられる」と指摘。他のプログラムに影響を及ぼす可能性があるとした。



●「意図に反した機能、前提で判断すべき」

石井教授がもっとも問題視するのは、不正性の部分の認定だ。



判決は、有益性、必要性、有害性、関係者の意見などの事情を総合考慮し、「機能の内容が社会的に許容しえるものであるか否かという観点から判断するのが相当」と示した。



これについて石井教授は「社会的に許容されるかどうかの判断を、違法性阻却事由における判断と同様に得られる利益と失われる利益を比較することによっておこなっている点がもっとも問題。むしろ、意図に反した機能であることを前提とした上で、その機能が端的に不正なものか、有害なものかどうかを判断すべきだ」と指摘する。



また、判決は「新聞などのマスメディアによる報道や、捜査当局などの事前の注意喚起や警告などもないなか、いきなり刑事罰に値するとみてその責任を問うのは行き過ぎの感を免れない」と述べ、ウイルスと判断するには「合理的な疑いが残る」と結論づけた。



警察庁がマイニングツールに関する注意喚起をHPで発表したのは、2018年6月。コインハイブの一斉摘発に関する報道がなされてからのことだった。では、事前にコインハイブについての報道や捜査当局側の注意喚起があった場合、裁判所の判断は変わっていたのだろうか。



石井教授は「裏返せば、今回はマスメディアによる報道や捜査当局による注意喚起がなかったという事情を考慮して、結果的にコインハイブを設置したことの不正性がそれほど重大でないと裁判所がみていることを示している。



本来は処罰してもよいが、技術の進歩が著しいところなので、事前に問題性を指摘しておけば有罪となしえたという趣旨かもしれない」と指摘。



「単なるいたずらプログラムも『いたずら』である以上、得られる利益がなく一般的に迷惑と考えれるというだけで社会的に許容されないものとして不正性が肯定されうることになりかねない。



例えば、俗に言うピンポンダッシュをしたことを逐一処罰するに等しい可能性を含んでいる」と、今回示された不正性の判断基準が他のプログラムに及ぼす影響を懸念する。



●すでに罰金を支払った人は?

気がかりなのは、コインハイブの一斉摘発で2018年中に28件21人が検挙されていることだ。なかには略式命令を受け、罰金を支払った人もいるとみられる。



石井教授は「無罪が確定した段階で、解釈論として完全に構成要件に該当しないことが明らかになり、検察がそれに納得すれば非常上告をすることも考えられる」とみる。



非常上告とは、有罪が確定した後に裁判に法令違反が見つかった場合、検事総長が最高裁に対し申し立てる手続きのこと。非常上告で、すでに出された略式命令を破棄し、無罪を言い渡すことも考えられるという。



(弁護士ドットコムニュース)


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