今週末は「バルセロナダービー」…因縁渦巻く対戦にまつわる5つのトリビア

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2019年03月29日 21:39  サッカーキング

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様々なエピソードがある「バルセロナダービー」 [写真]=Getty Images
世界各地で行われていた国際親善試合や主要大会の予選が終わり、選手たちは所属クラブへと戻っていった。リーグ戦はどの国も大詰めを迎えており、シーズンもいよいよクライマックスに向かっている。

 リーガ・エスパニョーラはバルセロナが勝ち点66を獲得。2位のアトレティコ・マドリードとは勝ち点10差、3位のレアル・マドリードとは同12差と独走態勢を築いているため、優勝の行方はほぼ決まりかけている感がある。

 だが、30日(日本時間24:15)には、そんな状況も関係なくヒートアップする一戦が幕を開ける。バルサとエスパニョールが激突する「バルセロナダービー」だ。

 本記事では、「バルセロナダービー」観戦の“つまみ”になるようなトリビアを紹介する。

■トリビア1
過去10シーズンのラ・リーガにおいてスコアレスドローは20試合中2試合のみ

 近年の「バルセロナダービー」の特徴として、スコアレスドローが少ないことが挙げられる。2008−09シーズンから昨季までの10シーズン、ラ・リーガにおける「バルセロナダービー」は20試合行われているが、スコアボードが「0−0」のままタイムアップの笛が鳴ったのはわずか2試合のみ。“塩試合”が少ないのは、観る者としてはうれしい限りだ。

 今季最初のダービーは、バルサが敵地で4−0と快勝している。30日のリターンマッチも、スコアレスで終わる可能性は低いと考えていいのかもしれない。

■トリビア2
アツくなりすぎ? 拳銃騒動が発生したこともある

 数あるダービーと同様、「バルセロナダービー」も相当に“アツい”。そして、そのアツさは時に度を越してしまうこともある。

 近年でいえば、その騒動の中心には“ほぼ”ジェラール・ピケがいる。記憶に新しいところでは、昨季のコパ・デル・レイでの出来事が挙げられるだろう。準々決勝で実現したダービーは、エスパニョールが1st legで1−0と先勝したものの、バルサが2nd legで2−0と勝利し、逆転で準決勝進出を決めた。

 問題は、試合後のミックスゾーンで起こった。ピケが「コルネジャのエスパニョールは1週間の栄光の時を過ごした」と発言したことが、大きな騒動に発展したのだ。「コルネジャのエスパニョール」という表現が、「バルセロナではない」ことを暗に意味しているとされ、エスパニョールファンから強い反発を浴びた。

 このように、選手の発言がファンを煽り、試合中の野次やブーイングにつながることは“よくあること”かもしれない。だが、よくあることでは済まされない物々しい出来事が起こったこともある。

 2016−17シーズンのラ・リーガ第35節、舞台はエスパニョールの本拠地『エスタディ・コルネリャ=エル・プラット』。エスパニョールファンが多数集結しているエリアに、バルサのユニフォームをまとった男がふらりとやってきた。大声で挑発的な言葉を叫び始めると、怒りに火がついたエスパニョールファンが反応。一触即発の状態となる。すると、男はピストルと思しき物を取り出した。結果的にそれはモデルガンだったものの、現場は騒然とした雰囲気になった。

 もちろんこのような行為が許されるはずもないが、ダービーの持つモルボ(狂気を帯びた熱情の意味)が顔をのぞかせた事件といえる。

■トリビア3
若き日のメッシはエスパニョールの選手になっていた可能性があった

 現役選手ながら、クラブ史の中でも有数のレジェンドに数え上げられる男、リオネル・メッシ。メッシが下部組織出身者であることは自明の事実だが、場合によってはエスパニョールのユニフォームに袖を通していた可能性もあった。

 エスパニョールは、まだ下部組織所属だったメッシに目をつけていた。そして奇しくも、メッシがプリメーラ・ディビシオンデビューを飾ったのは、2004年10月16日、第7節のエスパニョール戦だった。

 その後の大活躍によってバルサがメッシを手放すことはなかったが、もしエスパニョールの誘いを受けて青と白のユニフォームをまとっていたとしたら……。そんな「たられば」に思いを馳せながら、30日の「バルセロナダービー」を楽しむのも一興かもしれない。

■トリビア4
メッシはダービーで「神の手」ゴールを決めたことがある

 ここで、メッシに関するトリビアをもう一つ。アルゼンチンが生んだ英雄、ディエゴ・マラドーナと度々比較されてきたメッシだが、マラドーナの代名詞とも言える二つのゴール「神の手」と「5人抜き」に酷似したゴールを決めたことがある。そして、それはどちらも2006−07シーズンに生まれた。

 マラドーナの「5人抜き」を彷彿とさせるゴールをメッシが決めたのは、コパ・デル・レイ準決勝1st legのヘタフェ戦。そして、「神の手」ゴールが生まれたのが、ラ・リーガ第37節のエスパニョール戦だったのだ。

 43分、ジャンルカ・ザンブロッタの低いクロスがエスパニョールディフェンダーに当たって浮き上がると、メッシがヘディングでゴール。だがスロー再生で見ると、伸ばした左手でボールをゴールに押し込んでいることは明らかだった。決して褒められたプレーではないが、そこまでしても勝利がほしいと思うような“何か”が、この「バルセロナダービー」にはあるのだろう。

■トリビア5
エスパニョールが会心の勝利で、バルサのリーグ3連覇に待ったをかけたことがある

 同じ街を本拠地とするバルサとエスパニョール。だが、ラ・リーガにおける通算対戦成績はバルサの98勝37分34敗と、巨大戦力を誇るバルサが大きく勝ち越している。

 だが、通算対戦成績では大きく劣るエスパニョールが、バルサに一泡吹かせたことがある。それはまさに、メッシが「神の手」ゴールを決めた試合だった。

 2006−07シーズン、ラ・リーガ第37節。首位・レアルと勝ち点で並んでいた2位のバルサは、優勝を決定づける勝利を欲していた。しかし、エスパニョールのエースであるラウール・タムードに先制点を許し、出鼻をくじかれる。その後、メッシが前述の「神の手」を含む2ゴールを決め、バルサは2−1と試合をひっくり返すことに成功する。サラゴサとのアウェイ戦を戦っていたレアルがリードを許していたこともあり、そのまま両試合が終了すれば、バルサは逆転でのラ・リーガ3連覇を成し遂げることができるシチュエーションだった。

 ドラマは、89分に起こった。まず、レアルがルート・ファン・ニステルローイのゴールでサラゴサに追いつく。そして、それからわずか数秒後、タムードが技ありのシュートを沈め、カンプ・ノウの観客を黙らせたのだ。この二つの出来事によって、バルサはタイトル獲得の可能性をほぼ失った。

 ライバルの本拠地で、ライバルの優勝の芽を摘む。エスパニョールにとっては、まさに“溜飲を下げる”結果となった。

文=松本武水
写真=Getty Images、アフロ

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