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さすが“曲者”! 元木大介、高校時代に甲子園でも「隠し球」をしていた

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2019年03月30日 16:00  AERA dot.

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写真上宮高校時代の元木大介 (c)朝日新聞社
上宮高校時代の元木大介 (c)朝日新聞社
 23日に第91回選抜高等学校野球大会が幕を開け、連日熱戦が繰り広げられているが、懐かしい高校野球のニュースも求める方も少なくない。こうした要望にお応えすべく、「平成甲子園センバツ高校野球B級ニュース事件簿」(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に、過去の選抜高等学校野球大会で起こった“B級ニュース”を振り返ってもらった。今回は「“気づかなかった”が招いた珍事編」だ。

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 隠し球と代打通告をめぐるアクシデントが試合の流れを変えてしまったのが、1988年の3回戦、上宮vs高知商。

 大会屈指の右腕・岡幸俊(元ヤクルト)を擁し、「学校創立90年を優勝で飾ろう」を合言葉に勝ち進んできた高知商は2対2の8回1死一、二塁、岡林哲の右翼線二塁打で、3対2と勝ち越し。「まさか!」の事態が起きたのは、なおも1死二、三塁と押せ押せムードのさなかだった。

 岡林がリードを取ろうと二塁ベースを離れた瞬間、ショートの元木大介(元巨人)が近づいてきてタッチした。二塁塁審の「アウト!」のコールに、「一瞬、何だかわからなかった」という岡林は、元木がボールを持っているのを見て、初めて隠し球に気づいた。

 その元木は「相手が喜んで、ボールをまるで見ていなかったので、やってみようと思いました」と、してやったりの表情。「勝ち越されてもあきらめたらいかん」という勝利への執念が、追加点を阻み、流れを上宮に引き寄せる。

 とはいえ、この時点では、1点リードの高知商が依然有利である。ところが、9回表、岡が先頭の種田仁(元中日−横浜−西武)を三ゴロに打ち取り、勝利まであと2人となった直後、もうひとつの珍事が起きる。

 1死から代打・長田博昭が「(背番号)9番です」と球審に告げて打席に入った際に、スタンドの大歓声にかき消されて聞こえなかったことが発端だった。代打が認められたと思った長田は、岡の初球を左前安打する。

 これを見た高知商ベンチは「(2番)打者は左なのに、右で打った」と異変に気づき、大会本部も「代打の通告があったか」と球審に問い合わせる。もちろん球審は気づいていない。アマチュアには通告義務違反の罰則はないが、事後通告の処理などのため、試合は約4分中断。これが1回戦後に38度の発熱で点滴を受け、「6回ごろから腕に力が入らなかった」という岡の投球に大きな影響を与える。


 連打を許し、満塁としたあと、嘉祥寺信行に中堅フェンスを直撃する走者一掃の三塁打を浴び、終わってみれば3対7の敗戦……。8、9回の連続珍事が思わぬ結末をもたらした。

 岡は同年夏の甲子園でも、愛工大名電を7回まで無失点に抑えながら、2点リードの8回裏にエラー絡みで3点を奪われて無念の初戦敗退。春夏ともに悲運のエースだった。

 四球に気づかず、カウント4−2から二塁打が飛び出したのが、94年の準々決勝、小倉東vs桑名西。

 0対0の3回表2死、小倉東は3番・清水大樹がフルカウントからの7球目、ボール球を見送った。

 本来なら四球だが、5球目のボールでフルカウントになった際にスコアボードが2−2と誤表示されていたため、4人の審判は気づかずプレー続行。この結果、清水は4−2から1球ファウルのあと、三塁線を破る二塁打を放ち、悪送球の間に先制のホームを踏んだ。

「(四球と)わかっていたけど、1打席でも多く打ちたくて……。審判が何も言わないし、自分から言うことでもないし……」と清水。

 一方、桑名西側は、マウンドの伊藤龍太もベンチの監督、部長もまったく気づいていなかった。次打者・佐田憲洋のとき、公式記録員から指摘があり、確認作業をしている間に3球目を打って三ゴロでスリーアウトになってしまったため、アピール権は消失し、清水の二塁打と小倉東の先制点はそのまま記録されることになった。

 審判の勘違いで拾いものの先制点を得た小倉東だったが、結局このツキを生かせず、3対5で敗れる。四球が記録されなかった結果、大会通算11度目の無四球試合になったのは、なんとも皮肉な結末だった。

 9回2死からスクイズという奇策に加え、二塁ベースを踏み忘れたのにサヨナラ成立というダブル珍事が起きたのが、04年の1回戦 常葉菊川vs八幡商。

 1点を追う常葉菊川の9回表の攻撃も2死無走者。八幡商が1対0で逃げ切るかに思われたが、ここから連打と四球で満塁と反撃し、島光希が左越えに走者一掃の逆転二塁打。3対1と執念で試合をひっくり返した。


 しかしその裏、八幡商も驚異的な粘りを見せる。2死からタイムリーで1点差。なおも、2死一、三塁で、北川直哉はなんと、一か八かのセーフティスクイズを試みた。

 三塁線に転がった打球は内野安打となり、土壇場で同点。こうなれば、八幡商ペースである。四球で再び満塁とし、4番・種村将郁が右前にサヨナラタイムリー。9回表裏のめまぐるしい攻防の末、八幡商が劇的な逆転サヨナラ勝ちを収めたはずだった。

 ところが、サヨナラの際に一塁走者・伊藤巧が二塁ベースを踏まずに、試合後の整列に並んでいたことが判明。もし、ボールが二塁に転送されていれば、伊藤は走塁死になり、3対3のまま延長戦に入っていたところだが、常葉菊川ナインが整列した時点で、アピール権は消失してしまった。

 宿舎に戻ってから事実を知らされた磯部修三監督は「まったく気がついてなかった。ミスと言えばミス。敗因はすべて私です」とガックリ。

 勝負の世界に、たらればの話は禁物だが、もしアピールプレーで延長戦に入っていたら、どんな試合展開になっていたか、想像するだけでも興味は尽きない。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2018」上・下巻(野球文明叢書)。

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