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アルファロメオはなぜ今、ディーゼルを日本に初投入したのか? FCAジャパン社長を直撃!

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2019年04月04日 11:51  週プレNEWS

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写真アルファロメオ ステルヴィオ 2.2ターボディーゼルQ4。全長×全幅×全高:4690mm×1905mm×1680mm●車重:1820kg●最高出力:210PS●最大トルク:470Nm●価格617万円(税込)
アルファロメオ ステルヴィオ 2.2ターボディーゼルQ4。全長×全幅×全高:4690mm×1905mm×1680mm●車重:1820kg●最高出力:210PS●最大トルク:470Nm●価格617万円(税込)

昨年、日本デビューしたアルファロメオ初のSUV・ステルヴィオが、ディーゼル搭載モデルを発表。でも、なぜ今、ディーゼルなのか? 自動車ジャーナリスト塩見サトシがたっぷり試乗してから、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)ジャパンの社長を直撃した。

* * *

■トルクモリモリ!超静かな新ディーゼル

アルファロメオ初のSUVであるステルヴィオに驚かされたのは今回で3度目だ。最初は昨夏試乗した最高出力280PSの2リットル直4ターボエンジン搭載モデルだった。

そのパワフルさもさることながら、ウルトラクイックなステアリングに度肝を抜かれた。SUVなのにスポーツカーのような挙動なのだ! わずかな操作で鼻先を自由自在に変えられる面白さに病みつきになり、軽井沢の山道を「返せ」と言われるまで狂ったように走らせたのを覚えている。

次にクアドリフォリオに驚かされた。その極太タイヤに、試乗前からタダモノではないと覚悟していたが、2.9リットルV6ターボエンジンが発する最高出力510PSは尋常ではなかった。アクセルを床まで踏んだらマジで景色が溶けてワープした。ウルトラクイック+ウルトラパワフルエンジンの組み合わせが刺激的でないはずがなく、車内で稲葉浩志に負けない声の高さと大きさで「コレ超最高!」と叫んだのが昨年末のこと。

そして3度目が、今年2月18日に追加された2.2リットル直4ターボディーゼルエンジンである。210PSの最高出力も470Nmの最大トルクも量産4気筒ディーゼルとして世界最高レベル。乗ってみたらコレが低回転からトルクがモリモリでやんの! 2000rpmも回せばアッという間に望むスピードに達してしまう。

そして静か。さすがに朝イチのエンジンが冷え切った状態だとカラカラというディーゼル特有の音がするが、いったん温まってしまえば車内で聞いても車外で聞いても静かそのもの。乗員に伝わる振動も気にならない。正確に言えば音と振動の少なさは同時期に発売されたアウディQ5のディーゼルに次ぐレベル。でも力強さは圧勝だ。

ステルヴィオのディーゼルは617万円とラインナップ中で最も安い。ディーゼル車はガソリン車よりも高く設定するのが定石とされているが、この戦略はいかに!?

ということで、気になるアレコレをポンタス・ヘグストロムFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)ジャパン代表取締役社長兼CEOにぶつけてみた!

■FCAジャパンが好調なワケ

――ディーゼルのアルファロメオに日本で乗れるとは思っていませんでした。そして素晴らしかったです。でも、どうせならもっと早く日本に入れてください。マツダはもちろん、メルセデス・ベンツ、BMW、ジャガー・ランドローバー、ボルボ、プジョー・シトロエンDS、VW(フォルクスワーゲン)がすでにディーゼルモデルを導入しており、この国のディーゼル需要を飲み込んでいますよ。

ヘグストロム アルファロメオは早くからディーゼルに取り組んできたメーカーですが、日本のお客さまはお待たせしてしまいました。現在、日本でのアルファロメオブランドを再構築中ですが、そのために一日も早くSUVのステルヴィオとセダンのジュリアを投入したかったのです。その場合、ガソリンのほうが準備しやすかった。そして今回ようやくディーゼルを手がけることができました。

――なるほど。ぶっちゃけ、日本の厳しい排ガス規制をパスするのに苦労したのでは?

ヘグストロム いいえ、以前緩かったEUの排ガス規制も最近は厳しく、最新のユーロ6dをパスするエンジンであれば、日本導入のために特段の対策は必要ありません。ただ、日本国内で2万kmほどテスト走行し、走行距離を重ねても問題がないことを確認するのに半年かかりました。日本の軽油は欧州で流通しているものとは成分が若干異なるので、入れ続けても問題が生じないことを確認する必要があったからです。

――ステルヴィオとジュリアにディーゼルを導入することでどれくらい日本での販売台数が伸びると見ていますか。

ヘグストロム 現状輸入車のディーゼルのシェアは輸入ミッドサイズSUVで5、6割、輸入セダンで3割です。アルファロメオの場合、性能は間違いなく高いのですが、なにぶん日本で販売実績がないので予測は難しい。

ただ、先ほど「すでにドイツ車などのディーゼルが需要を満たしてしまっている」とおっしゃいましたが、それはわれわれにとってラッキーです。なぜなら一度ディーゼルを経験したユーザーの多くはガソリンには戻りたがらないという調査結果があり、次のクルマを選ぶときにアルファロメオも選択肢に入れてもらえるわけです。

――両モデルとも装備に差をつけてディーゼル車をガソリン車よりも安く設定しているのがユニークですね。

ヘグストロム ディーゼルを量販グレードにして、とにかくアルファロメオの台数を増やしたいと考えています。

――せっかくこんなに素晴らしいディーゼルエンジンを持っているのなら、FCAのほかのブランドのモデルにも搭載すべきだと思いますが、計画はありますか?

ヘグストロム 現時点ではNOです。一般論としてフィアットやアバルトの小型車はEV化のほうが適しているでしょうし、ジープのグランドチェロキーとチェロキーについてはモデルライフの後半に差しかかっていますから、ディーゼル含め次世代技術を検討するにしても次期モデルになってからでしょうね。

――ラングラーは?

ヘグストロム 可能性は低いですね。

――先ほど、EV化というキーワードが出ましたが、FCAジャパンとして電動化のロードマップをどのように描いていらっしゃいます?

ヘグストロム 本社はいろいろなことを考えているのでしょうが、日本での具体策は決まっておらず、お答えすることができません。次世代うんぬんよりもまずディーゼルをたくさん売らねば!

――ところでFCAジャパンは3年連続で年間販売台数2万台(ジープが約1万台、イタリアンブランドが約1万台)を超えています。好調の秘密は? 

ヘグストロム 5年前、ジープをなんとか5500台売ろうと、「ゴーゴージープ」という社内スローガンを掲げたのですが、販売店からは「冗談やめて」と言われました。しかし結果的には達成できました。

次の年にもう少し高い目標を掲げて販売店に伝えると、また無理と言われましたが、再び達成できたのです。さらに次の年、さらに高い目標を伝えると、今度は彼らから「できます!」という答えが返ってきました。販売店の皆さんが自信を持ったのです。

だからといってこのまま数年後にジープだけで2万台に達するとは考えていませんが、現場のマインドセットを変えられたと思っています。アバルトは昨年約3000台売れましたが、これも数年前には考えられなかった数字です。

――各モデルの魅力がようやくジワジワとお客さんに伝わってきた?

ヘグストロム そうです。次世代技術や新型車は重要ですが、お客さまはクルマを燃費や目新しさだけで選ぶわけではありません。比類のない走破性やほかにないスタイリングなどをしっかり伝え、クルマが持つ実力どおりに売ることが大事だと考えています。

* * *

考えてみればアルファロメオは(当時のフィアットグループとして)現在のディーゼル車に備わる力強さと排ガスのクリーンさのために欠かせない技術であるコモンレール式燃料噴射装置を、乗用車に初めて実用化したメーカーなのだ。

日本の排ガス規制が厳しいからといって日本で彼らのディーゼルを味わうことができなかったこれまでのほうがおかしい。アルファロメオが次にどうやってわれわれを驚かせてくれるか楽しみだ。

●塩見サトシ 
関西学院大学を卒業後、山陽新聞社、自動車専門誌編集長などを経てフリー。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

取材・文/塩見サトシ 撮影/週プレ編集部 写真協力/FCAシャパン

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