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高齢者の7人に1人は認知症。認知症の人も家族もパッと笑顔になる「声かけ術」とは?

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2019年04月05日 11:11  ダ・ヴィンチニュース

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ダ・ヴィンチニュース

写真『認知症の人がパッと笑顔になる言葉かけ』(右馬埜節子/講談社)
『認知症の人がパッと笑顔になる言葉かけ』(右馬埜節子/講談社)

 いまや、高齢者と呼ばれる65歳以上のおよそ7人に1人が“認知症”と認められているという。厚生労働省が過去に発表した「平成28年版高齢社会白書」によれば、2012年時点での認知症患者数は約462万人。2025年には約700万人となり、その割合は5人に1人となると試算されている。

 少子高齢化そのものについてはかねてより叫ばれてきたが、「いつか自分の親も認知症に…」と想像すると、けっして無視できる問題ではない。いざ自分が認知症にかかった親と向き合うときに、どうすればいいのだろうか。「不安を忘れるくらい嬉しくなる言葉をかける」のが大切だと説く書籍、『認知症の人がパッと笑顔になる言葉かけ』(右馬埜節子/講談社)を読むと、コミュニケーションのヒントがみえてくる。

■介護者は認知症の人の“翻訳者”になろう

 認知症の人と向き合う介護者は、彼らの“翻訳者”として振る舞う必要があると本書は述べる。

 例えば、認知症になると「体調を表現する言葉が曖昧になる」というケースが起こるという。相手の状況や感情を知るには、「痛い」「熱い」「暑い」「怖い」といった言葉が重要になるが、認知症の本人はそのときに適切な言葉が使えなくなる場合もあり、すべて「痛い」となってしまうこともある。そうすると、今どんな状況なのかが伝わらない場合もありうるそうだ。

 こういったときに本人の発言を「わけのわからない言葉」として切り捨ててはいけない。言葉の端々には、彼らの体調や気持ちが表現されているためである。だからこそ、介護者は彼らの言動をよく観察して、その意味を“翻訳して”とらえる姿勢が大切となるのだ。

■役割感・特別感・肯定感を意識した“声かけ”を心がける

 症例は人によってさまざまであるが、認知症の人とのコミュニケーションでは、彼らの“不安”をまず汲み取るのも大切だ。例えば、以下のような不安のケースが挙げられる。

・「何もできない」「自分は役に立たない」(認知症でできないことが増えるため)
・「誰からも大切にされない」(周囲との食い違いが増え、衝突するため)
・「否定されてばかり。生きていても仕方ない」(衝突が重なると自己否定が始まる)

 それぞれの環境によって、悩みの種や状況は千差万別だが、認知症の人とのコミュニケーションでは、不安を以下のような感覚に変えられるよう、積極的に“声かけ”をするのが大切だと述べる。

・「自分は誰かに必要とされている」=役割があるという「役割感」
・「自分は大切に扱われている」=特別扱いされているという「特別感」
・「わかってもらえている」=肯定されているという「肯定感」

 ここまでのポイントをふまえながら彼らと会話をすれば、「認知症の人の心を少し、明るく照らすことができる」と本書は語る。

■ある認知症の人がデイサービスへ通うきっかけになった一言とは?

 ここでひとつ、本書に挙げられている具体的な事例を取り上げてみたい。現在80歳で、数年前に認知症と診断されたタカヤマさん。元小学校教諭で教頭まで務めた人物で、定年退職後も地元で子どもに剣道や水泳の指導をしてきた功労者でもある。



 タカヤマさんは認知症になってから、家に閉じこもりがちだった。家族から「デイサービスに行ってみない?」と誘われても、プライドが邪魔してか、「そんな年寄りの行くところなんか誰が行くか!」とそっぽを向いてしまっていた…。



 そんなある日、タカヤマさんの態度に悩んだ家族は、認知症専門相談員である著者へ相談を持ちかけた。どうすればデイサービスに通ってもらえるか。タカヤマさんの過去の功績をたたえながら、著者がかけたのは、「大人の指導にあたっていただきたい」という一言だった。

 この伝え方のポイントは、「デイサービス」や「認知症」といった、タカヤマさんにとってはネガティブな意味を持つ言葉をふせたこと。加えて、タカヤマさんが教師としてやってきた経験を考慮して、本人にやる気がみなぎるような言葉に置き換えたところにあるだろう。

 もちろん、デイサービスで実際に大人を「指導」することなどあり得ない。でも、こちらが申し出た「役割」が別に事実である必要はないのだ(だから役割「感」なのである。感じさえ得てもらえればいいからだ)。

 認知症の人はもの忘れをする。それが認知症という病気の症状である。タカヤマさんも、いつか「大人の指導」という名目は忘れてしまう。でも、覚えているかどうかは問題ではない。「忘れること」をうまく利用して、家の外で気分転換するきっかけをつくるほうがよっぽど大事、というのが著者の真意なのである。実際タカヤマさんは、その後デイサービスに足を運ぶことを受け入れ、同世代の方々と施設で交流を図れるようになったという。

 昨今では、「介護疲れ」が社会的問題として取り上げられるケースもある。認知症は、本人が不安を抱えるのはもちろんのこと、向き合う家族にとっても大きな負担となりうる。ほんの少しでも明るく、笑顔で過ごせるようになるために、本書で紹介されている“声かけ”を出発点としていきたい。

文=カネコシュウヘイ


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