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本物なのに、たった7万円なのか。博物館から縄文土器を盗んでインターネットオークションで販売する。しかも、盗んだ犯人はその博物館に勤めていた専門家。そんな珍事件が山梨県で発生した。
この事件で山梨県警が逮捕したのは、県埋蔵文化財センター職員。報道によれば2013年頃に、山梨県立考古博物館の倉庫に保管されていた縄文土器を盗んだとされる。今年に入り
博物館職員がよく似た縄文土器がインターネットオークションで7万円で出品されているのを
発見したというものである。
容疑者は以前は学芸員として、博物館に勤務し課長職も務めている人物。『山梨県埋蔵文化財センター研究紀要』に、論文も寄せているほか発掘調査の報告書に名前を連ねる専門家。これまで縄文土器制作の体験会や特別展の案内などで、幾度もメディアに登場している。いわば文化財の専門家として生きてきた65歳の容疑者が、晩節を汚したのにはなにがあったのか興味は尽きない。
だが、それと共に気になるのは7万円という価格の安さだ。
「時々、『縄文とか弥生時代の土器があるが、いくらくらいなのか』という問い合わせがあります。そういう時は<歴史的な文化財なので、価格で価値をはかることはできない>とお断りしていますが……」
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そう話すのはある地方の博物館学芸員。さらに突っ込んで話を聞くと、ネットオークションに出品されているような縄文土器はだいたいはニセモノではないかという。
「発掘調査でも無傷のままで出土する土器は限られています。そのうち、現代の価値観で美術品として価値があるようなデザインとなると希少です。ところが、ネットオークションを見ると、そうしたものがいくつもあります。しかも出土地は不明……そんなシロモノがいくつもあると思えますか?」
落札したほうも、本物なんて思ってはいなかったということか。
(文=昼間 たかし)
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