卒園対策委員はつらいよ……謝恩会、アルバム作成でトラブルも「幼稚園に言えない」と悩むママ

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2019年04月10日 19:33  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

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保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。


 「卒対」という言葉を耳にしたことはあるだろうか。卒対とは、主に幼稚園や保育園の年長さんクラスのママさんによって運営される「卒園対策委員」を指す。その委員の仕事は、卒園式後の謝恩会の予約から、出し物、先生へのお礼のプレゼント、卒園アルバムの作成など、多岐にわたる。今回は、幼稚園や保育園に通う子どもを持つ親にとっては通過儀礼とも言える「卒対」にまつわるエピソードを紹介する。

 今年春、娘が首都圏の郊外にある私立幼稚園を卒園した明子さん(仮名)は、こう語る。

「うちの最寄り駅付近は、ファミリー向け新築タワーマンションの建築ラッシュで、保育園に共働き家庭が殺到し、激戦なんです。そのため、幼稚園に通わせているママさんは、専業主婦か週2回程度のパートのママさんがほとんど。私は娘が一人っ子の専業主婦だったので、時間があるように見えたのか、卒対では謝恩会とアルバムの両方の委員を受け持つことになりました」

 明子さんの娘が通っていた園は、年長クラスが2学級総勢60人程度で、それぞれのクラスから委員が5人ずつ選任された。明子さんの代では、すでに兄や姉を同園に通わせていた先輩ママが、一緒にやりやすそうなママを委員に任命する形を取っていたという。

「歴史のある園だったので、先生も『やり方は先輩ママから聞いてください』というスタンスで、基本的に、園側は卒対にノータッチの姿勢でした。そのため、アルバム作りに賛同しない保護者が『お金を支払いたくない』と言い出して、卒対とトラブルになることも……先生に『園の方からも、未払いのママに支払うように伝えてほしい』と強く言うと、モンペ扱いされそうなので、ママとの間で解決するしかありませんでした……」

 また、委員になると時間的な負担が多いため、何もやっていないママとの間で亀裂が生じやすいという。明子さんも、「これから会議だというとき、委員をやっていないママが子どもをピアノのお稽古に連れて行くのを見ると、『私も子どもの習い事を理由に断ればよかった』と後悔しましたね」と不満げに語った。

「小学校に入ってもママ友付き合いが続くので、仕方なく委員を引き受けたんです。年が明けてからは、ちょっとした打ち合わせと称してファミレスで集まると、会議に来ない人の愚痴を言い合ったり、険悪なムードに……。任意なので、強制力はないのですが、週一で保護者の出し物であるダンスを練習したり、卒園式で保護者の胸に付けるコサージュを手作りしたりと、とにかくやることが多く、周りに良い顔をしようとすればするほど、負担が多くなって、睡眠時間を削って対応していました」

 都内にある私立幼稚園に5歳になる男児を通わせている美幸さん(仮名)は、上の子が卒園した2年前をこう振り返る。

「謝恩会の幹事を担当しました。その年は、初めて委員をする人が多く、また全体会議でも『前年度と同じ店で良い』という意見が多数だったので、油断して店の予約に出遅れてしまいました。調べると、同じ日にすでに他校の謝恩会の予約が入っており、希望の会場や店の予約が全然取れず、結局ホテルのパーティー会場を利用したため、予算内では収まらないことに。親子参加で会費が6,000円ほどになって、保護者の中からは『高い』というクレームが出ました。中には、謝恩会当日まで支払いを渋る保護者もいて、数人で『まだ払っていないですよね』と詰め寄るなど、とても苦労しましたね」

 普段から保護者参加の行事が多いような幼稚園の場合、謝恩会から始まり、卒園アルバム、記念品の制作、先生へのお礼や花束など総額5万円前後の負担になるケースもあるそうだ。そのため、卒対の母体となる父母会では、年長の1年間の間に、数回に分けて積み立てを行って保護者の負担を減らしている。それでも、美幸さんのエピソードのように、希望の会場が借りられず追加徴収が発生することも。美幸さんは2年前の経験を踏まえ、今5歳になる次男の卒園では、予定よりも多めに予算をよけておこうと考えている。

「子どもを入園させた時には、卒園時にそのような出費が必要だとは思ってもいませんでした。もともと謝恩会や卒園に関することは父母会が仕切っている場合が多いため、入園時には園側が詳しく説明できないのかもしれません。お金が絡むことですし、もっと園側も状況を把握して、入園時に説明をしてほしいものです」

 親側が、入園前に知りうる情報にどうしても限りがあるため、入園後に園側との相違が生じるのかもしれない。

 子どもたちが長い時間を過ごす幼稚園や保育園。保護者が、先生への感謝をこめた謝恩会を開くことはとても意義のあることだが、問題は山積みだ。保護者は、オフィスワークのように、謝恩会に掛かる費用や時間の負担を分担できる仕組みを整備することが必要だろう。また園側も、保護者側との役割分担を明確にすることで、少しは保護者たちの不満も解消されるのかもしれない。
(池守りぜね)

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  • PTAと同じで必ずしもやらなくてもいいことを惰性で続けているような気がする
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