ジャニーズの圧力いまだ健在! 稲垣吾郎最後のテレビ出演で沢木耕太郎が「分の悪い戦いには加勢したい」とエール

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2019年04月11日 15:40  リテラ

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リテラ

唯一の地上波だった『ゴロウ・デラックス』も終わり…(番組HPより)

 安倍首相が「令和」発表の談話のなかで、なんの関係もない『世界に一つだけの花』を持ち出して、政治利用されたかたちになったSMAP。



 一方で当のSMAP本人たちは芸能界で冷遇が続き、ジャニーズ事務所を独立した稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の3人は地上波テレビ番組からどんどん姿を消されている。



 3月28日深夜、2011年から続いてきた稲垣吾郎の冠番組『ゴロウ・デラックス』(TBS)が最終回を迎えた。これで、ジャニーズを独立した新しい地図の3人がもともと地上波テレビで持っていたレギュラー番組は完全になくなってしまった。



『ゴロウ・デラックス』は毎回作家(漫画家の場合もあるし、本を出版したタレントの場合もある)のゲストを招いて話す「読書バラエティ」。地上波の番組ではかなり貴重な「本」をテーマにした教養色の強いトーク番組だった。



 そんな『ゴロウ・デラックス』最後のゲストは、『深夜特急』(新潮社)などで知られるノンフィクション作家・沢木耕太郎。



 テレビには滅多に出演しないことで知られる沢木が出演オファーを承諾したことに稲垣は驚くが、その疑問に対して沢木は「単純に言えば気まぐれなんだけど」と照れ隠しをしながらこのように語った。



「でも、ちょっと分の悪い戦いをしている人のところには、加勢をしたくなるっていう感じもないことはなくって」



 具体的なことは語っていないが、「分の悪い戦い」というのが、SMAP解散や、その後の新しい地図の活動を指しているのは疑いようがない。言葉は少なくとも、力強い後押しである。



 しかも「分の悪い戦いに加勢」というのは単なる社交辞令ではないらしく、沢木は今年2月に公開された稲垣主演の映画『半世界』を鑑賞したことも明かす。沢木は映画タイトルが出た後の稲垣の表情を「あの顔はなかなかいい顔しててさ。大人の顔になってていい顔してるじゃん」と語るなど、役者としての稲垣を高く評価した。



 そんな『ゴロウ・デラックス』では、ゲストの本のなかで稲垣が気になった箇所を朗読するのがお決まりの流れなのだが、番組最後の朗読は沢木の25年分のエッセイを集めた本『銀河を渡る 全エッセイ』(新潮社)から朗読された。



 朗読を始める前に稲垣は「すごく大好きなフレーズがあるので、そこを朗読させていただきたいと思います」と語り、〈ゴロウが伝えたいこと〉というテロップが画面に映るなか、稲垣はこんな文章を読み始めるのであった。



〈先日も、書棚の前に立って本の背表紙を眺めているうちに、なんとなく抜き出して手に取っていたのは、トルーマン・カポーティの『犬は吠える』だった。

 この『犬は吠える』において、私が一番気に入っているのは、中身より、そのタイトルかもしれない。

 犬は吠える、がキャラバンは進む──アラブの諺。誰でも犬の吠え声は気になる。

 しかし、キャラバンは進むのだ。

 いや、進まなくてはならないのだ。

 恐ろしいのは、犬の吠え声ばかり気にしていると前に進めなくなってしまうことだ。

 犬は吠える、がキャラバンは進む〉



「犬は吠える、がキャラバンは進む」は沢木の文章にもあるとおり、カポーティのエッセイ集『犬は吠える』の巻頭に「アラブの諺」として掲げられている言葉。そして、小沢健二がフリッパーズ・ギター解散後、喧騒のなか最初に出したアルバム『犬は吠えるがキャラバンは進む』(後に『dogs』と改題)でも有名だ。



●「犬は吠える、がキャラバンは進む」に込められた稲垣吾郎の強い気持ち



 以前、同番組に作家の燃え殻が出演した際に、稲垣が「小沢健二さん大好きです。フリッパーズ(ギター)も大好きでした。環境は違っていたけど、サブカルっていうのかな、そっちに対する憧れが……すごいメジャーななかにいたからこそ、そういうものに逆に憧れてました」と語っていたことを考えると、稲垣の頭にはオザケンのアルバムのこともあったのではないか。独立後の稲垣の生き生きとした活動ぶりの背景には、こうしたメジャー芸能界とはちがうオルタナティブな世界への理解と憧れがあったことも関係しているだろう。



 いずれにしても、この日稲垣が朗読した「犬は吠える、がキャラバンは進む」には、SMAPおよびジャニーズ事務所から離れ、古巣の事務所やその意向に怯える芸能メディアから陰に陽に妨害を受けながらも、それでも進もうとする稲垣の強い気持ちが込められていたことは間違いない。



 新しい地図の3人に対してのジャニーズ事務所からの「圧力」、および、メディア側からの「忖度」がほのめかされる報道は後を絶たない。



 たとえば、「週刊文春」(文藝春秋)2019年1月31日号では、新しい地図の3人を主役にした番組企画がNHKで進んでいたのにも関わらず、東京オリンピックをテーマにした特番に嵐を起用したいと考えるNHK 上層部がジャニーズ事務所に忖度し、決まりかけていた企画が白紙になったと伝えられている。



 新しい地図メンバー最後の地上波レギュラーであった『ゴロウ・デラックス』終了も、ジャニーズ事務所への忖度による既定路線だったといわれる。



 そんななか、希望を感じさせる動きも起きている。公正取引委員会がジャニーズ事務所に対して本格的な調査に乗り出す可能性があるのだ。



 本サイトでは以前も取り上げているが(https://lite-ra.com/2018/01/post-3745.html)、2018年に公正取引委員会は、タレントやスポーツ選手などフリーランスの働き方をする人に対し、雇い主が移籍制限などの不当な契約を強いることは独占禁止法違反にあたる恐れがあると結論づけている。



 これに関する調査は前年から始まっており、その際は委員会内に設置されているCPRC(競争政策研究センター)で、『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)の著者である星野陽平氏を呼んで勉強会も行っていた。そのレポート「独占禁止法をめぐる芸能界の諸問題」には、SMAPに関する嫌がらせの事例も紹介されている。



「週刊文春」2019年3月14日号によれば、2019年に入ってから各テレビ局に対して圧力の実態などを調査する動きが始まっており、ジャニーズ事務所に対しても直々に調査が入る予定だという。



 これが事実であれば、芸能界におけるジャニーズ事務所の圧力はかなり効力を失うことになる。



 新しい地図の3人を地上波のテレビ番組で見ることができる日はそう遠くないかもしれない。

(新田 樹)


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  • テレビが全てではないと思うけど、舞台は見に行けるほど近くにないのが残念。映画も映画館が近くにないと見に行けない。だからネットで活躍してるの?
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