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わが子にはきれいな日本語を話してほしいと親は願うもの。だから、子どもの言葉遣いに親はとても敏感です。では、親自身はどうでしょうか?
今回は、意外に見落とされがちな親のうっかり発言にフォーカスし、それが与える子どもへの心理的影響について、子育て心理学を取り入れたポジティブ育児研究所の代表、佐藤めぐみさんにこれまでの経験をもとにお話しいただきます。
お子さんがもし暴言を吐いたら、どうしますか? 「誰に向かって言っているの!」と厳しく問いただすのではないでしょうか。でも、意外と親自身も、子どもに向かってグサッとくる言葉を発していませんか?
例えば、こんな言葉をよく聞きます。
1.「もう知らない」
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2.「勝手にして!」
3.「最低!」
4.「最悪!」
5.「悪い子なんだから」
6.「いじわるな子ね」
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思い当たる節はありませんか?
これらの言葉は、当然ながら、叱るシーンで頻出しがち。ママはつい感情的になってうっかり口が滑ってしまうのです。冷静に考えたら、勝手なことをしてほしいなんて思っていないし、わが子に“いじわる”のレッテルを貼りたくもないでしょう。でも、言葉は発してしまった以上、相手に届いてしまうものです。
突き放し言葉はいろいろとありますが、子どもに与える影響から見ると、筆者は主に3つのタイプに分けられると考えます。それを順に見ていきましょう。
(1)シャットアウト型(上記リストの「1.もう知らない」「2.勝手にしなさい」が該当)
●子どもへの影響: 現実逃避
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子どもとの間にシャッターを下ろす感覚で、ママが子どもから距離を置こうとします。子どもを突き放すというと、“押す”といった言葉のニュアンスがありますが、これはむしろ逆で、ママ自身が後ろへ下がる、“引く”タイプの突き放しに思います。
ママが子どもの対処に困ったときに、「勝手にしなさい」とシャッターを下ろしてしまうことで、子ども自身も、「困ったときは、避ければいい、逃げればいい」と学んでしまいかねません。
(2)悲観視型(上記リストの「3.最低!」「4.もう最悪!」が該当)
●子どもへの影響: マイナス思考発想
最低とは、もっとも低いこと、最悪とは、もっとも悪いこと。言葉の意味から見れば、そう滅多に出会うことはないはずなのに、私たちはよくこの言葉を使ってしまっていませんか?
心理学ではこのタイプの言葉をマイナス思考フレーズとし、避けた方がいい言葉としています。
特に育児では、子どもの発想力への影響が心配に思います。というのも、子どもはママの言葉から、発想の仕方を学んでいることが多いため、その点からもママがマイナス思考フレーズを連発するのはひかえたいものです。
(3)全否定型(上記リストの「5.悪い子なんだから」「6.いじわるな子ね」が該当)
●子どもへの影響: 自己肯定感の低下
「○○な子」は育児でよく使う言葉。○○の部分に、「優しい」「かわいい」「強い」などのポジティブな形容詞が入れば、その子を全肯定するほめ言葉になりますが、逆に、ネガティブな形容詞が入ると、その子を全否定するフレーズになってしまいますね。
今の日本の子どもたちの自己肯定感の水準は、諸外国の子どもたちと比べると、著しく低いことが分かっています。自分の存在を肯定しにくい子どもたちに、「悪い子ね」と追い打ちをかけないように配慮をしていく必要があります。
お伝えしてきた突き放し言葉は、ママの感情の崩れにより発生するように思います。その乱れを起こさないのがベストなのですが、感情的に叱るのがすでにクセになってしまっている場合、その場で切り替えようとしてもなかなかうまく行かないでしょう。
抑制が効かず、結局いつもと同じパターンに……となりがちです。
そこでおすすめは、次の2つのトレーニングです。
(1)客観視するクセで自制をかける
仮にそれらが自分に向けられたときのことを想像してみてください。ご主人に、
「もうおまえのことなんか知らない」
「勝手にしろ」
「最低だ」
「最悪だ」
「悪い嫁だ」
「いじわるな母親だ」
と言われたら、どうですか? 傷つき、怒りがこみあげてきますね。逆ギレしたくなるでしょう。子どもたちも同じ心境です。
「自分がされてイヤだと思うことはしないのよ」とママは子どもに言います。その言葉を自分にそのまま投げかけてみましょう。
(2)視点を行動に向ける
感情的に叱ってしまうとき、ママの目線は、子どもの性格や態度などの質的なものに注がれがち。たしかに、子どもは、悪いこと、困ったことをたくさんしますが、でも、悪い子、困った子ではありませんよね。
ママが叱るのは、子どもが何か困ったことをしたとき。つまり、問題なのは、その子ではなく、その子の“行動”です。そこから目線を反らさずに、行動を改めることをターゲットにすると、「○○な子」で全否定するクセを解消することができるはずですよ。
いかがでしたか?
「自分が言われて嫌なことは言わない」というシンプルなルールで、突き放し言葉を手放していきましょう。
【画像】
※ Yuganov Konstantin , Tarasenko16Dima/ Shutterstock
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