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F1ならぬFEが熱い!街のど真ん中を突っ走るモーターレース、日産チームに密着!

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2019年04月19日 21:11  Business Journal

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Business Journal

写真フォーミュラE
フォーミュラE

 皆さんは「フォーミュラE(FE)」というモータースポーツのレースカテゴリーをご存じだろうか?「F1(フォーミュラ・ワン)」と聞けば、今や知らない人はほとんどいないだろう。たとえ詳しくなくても、一度や二度はF1について見聞きしたことがあるはずだ。


 F1はFIA(国際自動車連盟)が主宰する世界最高峰の自動車レースとして長い歴史と世界的な知名度を誇っている。一方、FEは同じくFIAが2014年より開催し始めた新しいレースカテゴリーだ。F1がガソリンエンジン、いわゆる内燃機関を使ったレースであるなら、FEは「E」の文字が示すように「エレクトリック(電動)モーター」をその動力源として使っている。近年はF1のパワーユニットもハイブリッド化され電動化を取り入れているが、FEは100%電動モーターのEVマシンとして走らせる環境に優しい新世代のモータースポーツとして位置付けられているのだ。


 EVだから音は静かで排ガスも一切出さない。実際に人間が乗って操れる「電動ラジコンカー」のようなものだ。排ガスも騒音も出ないので市街地でも走らせることが可能となり、FEの開催はすべて市街地の特設コースで行われる。


 従来の自動車レースのように人里離れた山間に大規模なサーキット施設を建設する必要がない。日本でいえば東京の「お台場」や横浜の「みなとみらい」のような観光施設に敷設するような道路を封鎖し、コースを設営して開催することができる。


 今季(2018〜19年)はシリーズ戦として全13戦が組まれているが、その第5戦となる「香港戦」を日産自動車の協力を得て取材観戦することができた。


●F1のようなタイヤ交換作業がない?


 香港島北西部、九龍湾に接する湾岸エリアの一般道を封鎖し全長1.8kmほどのサーキットが設営されている。それは今季開催されるシリーズ戦のなかで最も1周の距離が短いコンパクトなコースになっているという。コースは3車線道路や駐車場などをコンクリートブロックで簡易的に囲み、マンホールや路面の車線、パーキングマークなどの路面塗装がところどころにそのまま残されていて滑りやすい状況だ。コースのすぐ横には大観覧車など遊園地のような施設とショッピングセンター、大規模ホテルも建っている。まさに街のど真ん中で国際的なレースが開催されるというわけだ。
 
 FEの特徴は、各チームが同一のマシンとタイヤを使用し、仮設コースゆえ事前テストは行えない。1レース1セットのタイヤしか使えないルールで、仏ミシュラン社がオフィシャルサプライヤーとして一括してタイヤを供給している。市販ラジアルに準じたトレッドパターンを持つ特性のラジアルタイヤで降雨時のウェット状態でも走れるため、F1のようなタイヤ交換作業がない。


 実は昨シーズンまでのマシンはバッテリー容量が不足していて、約50分のレースの途中でピットインし充電済みのマシンに乗り換える(スワップ)という特殊な状況で運営されていたのだが、今季はバッテリー容量が大幅に強化され、またレース方式も周回数を定めた内燃機関車両と同じ規定から45分の時間制に改められ、1カーでスタートからゴールまで競えるわかりやすい運営方式に切り替えられたのだ。


 そんなFEマシンの性能はというとモーターの最高出力が250kW(340HP<馬力>)。385kgのバッテリーを搭載し900kgというシングルシーターのレースカーとしては非常に重い車両重量ながら、0〜100km/hの発進加速は2.8秒、最高速度280km/hを可能にするという。


 だがコースやレースラップ、ドライビングスタイルによってバッテリーの持ちが変化するため、チームはそれぞれ独自にマネージメントし、最高速度を決めるギア比(最終減速比)もコースによって使い分けるという。


 香港戦では200kWのパワーで45分を走り切るとしているが、今季から「アタックモード」というオーバーテイクモードが設定され、各ドライバーはコース場に設けられた「アクティベーションゾーン」をマシンでトレースすることにより25kW(34馬力)のパワーアップを得られる仕組みが採用されている。アタックモードが使用されている間はマシンのHalo(ハロ・ドライバーを守る保護装置)に設置されたブルーのLEDが点灯し、そのマシンがアタックモードを使用していることが観客にもわかるようになっている。アタックモードが作動する時間や回数はレースのスタート1時間前に主催者よりチームに伝えられ、チームはそれに応じたバッテリーのマネージメントをただちに計算し決定しなければならない。


 またユニークな試みとして「ファンブースト」が行われている。これはレースの6日前からレース開始後15分までの間にフォーミュラEのサイト(https://www.fiaformulae.com/en/championship/fanboost)から自分が応援するドライバー/マシンに投票することで、得票の高い上位5名のドライバーがレース後半に約5秒間のエキストラパワーを一度だけ得られるという仕組みだ。直線区間で前車を追い抜きたい場合などに効果が得られレース展開を面白くすると見込まれている。


●内燃機関のレースとはすべて異なり新鮮


 このようにさまざまな工夫が凝らされレースを盛り上げようとしているのが、今季のFEシリーズなのだ。そして、そのエントラント(参加者)もメーカー系を中心に専門的なプロフェッショナルチームで構成されている。今回取材した日産チームは、欧州のレースチームとして実績のある「ダムス」が電動部門eダムスとして創設したチームとジョイント。ドライバーにはF1でも活躍したセバスチャン・ブエミ(スイス)とオリバー・ローランド(英)という豪華な布陣で臨んでいる。


 日産のモータースポーツ部門会社であるニスモが車体後部に集約されるモーターやパワーマネージメントコントロールユニット、トランスミッションなどを設計し供給している。ただトランスミッションは変速装置ではなくリダクション(減速)ギアのみで走行中に変速することはない。ドライバーはステアリングに設置されたパドルを操作するが、これは変速のためではなくモーター回生の強度を変化させ減速度をアジャストするのだという。


 アクセルとブレーキの2ペダルはF1と同じだが、パドルで減速・回生をコントロールするのは慣れが必要だろう。またFEではコースでの事前テストができないため、各チーム、シミュレーター(SIM)を開発し所有。SIM専門の開発ドライバーもいてレースでのセッティングやバッテリーマネージメントをデータ化しているのだそうだ。


 レースの戦い方、レースへのアプローチなど内燃機関のレースとはすべて異なり新鮮だ。


 香港でのレースは日産チームのO・ローランド選手が序盤トップを快走したが、スイッチの誤操作で順位を落とし、終盤はマシントラブルでS・ブエミ選手共々リタイヤしてしまった。しかしレース全体は非常にエキサイティングであり楽しめた。


 現在もシトロエン、アウディ、ジャガー、ルノーといったメーカー系チームが多数参戦しているが、今後はポルシェやメルセデス・ベンツなどの参戦も予定されているという。F1と同様にFEもレース界の頂点として人々の羨望を集めることができるようになるか。今後のFEの行方に注目していただきたいと思っている。
(文=中谷明彦/レーシングドライバー、自動車評論家)


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  • ようするにバッテリーとの戦いか・・・。
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