長尾謙杜と古田新太の対話から学ぶこととは 『俺スカ』は爽快感溢れる内容に

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2019年04月21日 12:51  リアルサウンド

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「むちゃくちゃじゃん」


参考:古田新太の指導とは


 校門を重機に乗ってぶっ潰す原田(古田新太)の姿を見た若林(長尾謙杜)が笑いながらそう言葉を漏らす。まさしくクレイジー。前代未聞の問題教師が、土曜の夜に降臨した瞬間だった。4月20日に初回放送がオンエアされた『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ系)では、とにかく型破りな教師・原田と彼が受け持つ2年3組の生徒たちとの出会いと衝突が描かれていった。


 始業式には遅刻し、廊下を躊躇なく疾走し、教師になったのは「金のため」と素直に答える。極めつけは、生徒のことを名前で呼ばずに「おまえ」呼ばわりする。ドラマというフィクションだからこそ成立するのかもしれないが、そうした破天荒な教師として2年3組の教壇に立った原田のぶお。なんでも、ダイバーシティーを謳う豪林館学園高校の校長(いとうせいこう)が、教育の変革をめざしてゲイバーで働く原田を迎え入れたのだという。そんな原田の姿に生徒たちは困惑しながらも、「普通につまんないよりはいいでしょ」と言って興味を持ちながらも余裕を見せるクラスの中心的存在・明智(永瀬廉)。彼は東条(道枝駿佑)らと結託しながら、誰がいちばん早く原田を辞めさせられるかという賭け勝負を始める。


 スタイリッシュなタイトルバックがまず印象的だったが、そこでも抜群の存在感を放っていたジャニーズの3人が初回放送からストーリーを牽引。道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)は初っ端から原田に突っかかっていく東条という生徒を演じ、先生に対しての強気な姿勢を誇示。そんな東条をときになだめながらも、圧倒的な風格をもってしてさらなる闇を覗かせる明智には永瀬廉(King & Prince)が扮する。そして初回放送でフィーチャーされたマスクをつける男子生徒・若林には長尾謙杜(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)が配され、原田との対話から徐々に自信をつけていく姿を繊細に演じた。ジャニーズ牽引型の学園ドラマとして思い出されるのは、同じく日本テレビ土曜ドラマ枠で放送されていた『ごくせん』や『野ブタ。をプロデュース』などの人気ドラマだ。本作もそうした作品の後を追うことを期待させるような、順調な滑り出しを見せていたのでないだろうか。


 初回の1時間だけを見ていても明らかだったのは、本作が、先生が正しいことを言って生徒を改心させていくようなよくあるタイプの学園ドラマではないということだ。普通や常識というものに惑わされないキャラクターが主人公であるからして、それは当然のことなのかもしれない。このドラマは原田の発する言葉が全て正しいということにはせず、原田と生徒たちの衝突によって第三者である視聴者に「何が正しいのか」ということを判断させていくような作りになっている。


 その点、第1話で印象深く映っていたのは「校門が閉ざされている」という描写と、ラストシーンで「校門をぶっ潰してしまう」という原田の暴挙だ。閉じているから無くしてやろうなんて、“普通”ならばあってはならないことかもしれない。しかし、遅刻をしてしまった人間を受け入れることができない学校に、果たして多様性は担保されているのだろうか。規範から外れてしまったものには「キモい」という言葉が浴びせられ、大きな壁が他人によって作られるか、あるいは自分でマスクをつけて壁を作らないと息苦しくなってしまう世界。そんな場所に、マスクや校門を取り払うという行動によって土足で踏み込んでいく原田の姿は、爽快感をともないながら肯定的に映っていた。


 初回放送はまだまだ序章といったところで、期待の若手俳優たちが演じる2年3組の生徒たちもこれから徐々にその姿を見せてくれるのだろう。注目俳優が多数出演していた『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)などと違って、将来が楽しみなブレイク候補生が集まっているという印象が強い『俺スカ』だからこそ、意外性のある演技に期待していきたい。なんといっても、今までにはない振り切った先生として魅力を発揮する原田のぶおが、今後どのように生徒や先生たちと接していくのかが最注目ポイントだ。


※高橋ひかるの「高」はハシゴダカが正式表記。 (文=原航平)


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