止まらないアクシデント。4度のSC投入で予選12番手キャシディ勝利、ナカジマは無念の2台リタイア/スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿決勝

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2019年04月21日 17:31  AUTOSPORT web

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ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)
2019年のスーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿の決勝レース(43周)が行われ、4度のセーフティカーが導入される波乱の展開のなか、12番手からスタートしたVANTELIN TEAM TOM’Sのニック・キャシディが優勝を飾った。キャシディの優勝回数は、これで通算2勝目、予選でフロントウロウを独占したTCS NAKAJIMA RACINGの2台はリタイアの結果となった。

 気温25度、路面温度37度のなか、ドライコンディションでレースがスタート。全20台のうち、8台がソフトタイヤ、12台がミディアムタイヤでのスタートを選んだ。フロントロウのTCS NAKAJIMA RACINGの2台はソフトタイヤを選択、他の上位陣では5番グリッドの関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がソフトタイヤでスタートした。

 ポールポジションの牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)が蹴りだしの良いスタートを決め、先頭でターン1に向かう。その後ろではミディアムタイヤを履く山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がソフトタイヤを履くアレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)に先行して牧野に迫り2番手に続く。

 しかし、パロウはすぐに山本の背後につけ、山本はスプーンで懸命にブロックするもミディアムタイヤとソフトタイヤではグリップが大きく違うようで、1コーナーでアウトからパロウのオーバーテイクを許してしまう。トップの牧野、そして2番手はパロウと予選どおりのナカジマレーシングのワンツー体制となる。

 その後方ではスタートでオーバーテイクシステム(OTS)を使用したソフトタイヤ装着の関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がポジションを上げており、チームメイトの平川亮もミディアムタイヤながらそれに続く。山本はペースが苦しくなり、3周目には関口と平川にパスされてしまう。平川と山本は同じミディアムタイヤを履いているが、両者の差は開いていった。

 トップ争いは2番手パロウのペースが速く、5周目にはトップの牧野とパロウの差が1秒を切ったが、翌6周目に入ると、パロウにはスタート手順違反によるドライブスルーペナルティが科されてしまった。パロウは8周目を終えてペナルティを消化し、12番手でコースに復帰した。これで実質、牧野の独走状態となった。

 7周目にタイヤ交換のタイミングを迎えると、真っ先にミディアムタイヤでスタートしたニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)がルーティンのピットイン。ソフトタイヤに履き替え、ここから最後まで走り切る戦略に出た。

 9周目、130Rで平川とトリスタン・シャルパンティエ(REAL RACING)がストップ。平川はトラブルにより自らグラベルにマシンを止めたようだが、シャルパンティエは130Rで単独でスピンをして飛び出してしまうクラッシュだった。これによりこのレース最初のセーフティカー(SC)が出動し、この間に牧野、関口、山本らがピットストップを行った。

 ステイアウトした3台とすでにピットを終えたキャシディ、そして130Rでマシンを止めた2台を除く15台が一気にピットロードに入りこみ、タイヤ交換が入り乱れる。チームによっては2台続けてタイヤ交換を行うダブルピットを選択しており、ピットロードは大混乱となってしまった。

 そのなかで関口はピットから出る際にエンジンストールのような症状で出てしまい、ピットレーンでストップ。なんとか走行を再開できたものの、17番手までポジションを落としてコースに出た。しかし関口は翌周に再びピットへ戻り、ガレージへ。どうやらギヤのトラブルで1速、2速、5速を失ってしまったという。上位を走行していたITOCHU ENEX TEAM IMPULの2台はこの序盤で開幕戦のレースを終えることになってしまった。

■予選ポールの牧野にもトラブル発生。4度目のセーフティカー導入でスーパーフォーミュラ開幕戦は大波乱の展開に


 一方、この時にステイアウトを選択した小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)がトップに浮上し、同様の選択をした国本雄資(KONDO RACING)が2番手、ドライブスルーペナルティを受けたパロウの3台がトップ3となった。ここで一気においしい状況となったのが、真っ先にルーティンのピットインを済ませていたキャシディだ。

 12周目にレースが再開されると、3番手を走っていたパロウが国本を捉えた。その後ろではソフトタイヤを履いたキャシディがターン1でミディアムタイヤを履く牧野をパスして4番手に浮上すると、勢いそのままに国本をオーバーテイク。牧野は山本にも先行を許し、ここで6番手まで後退した。

 コース上では各所でポジション争いが展開されていた。そして15周目には中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)の後方を走行していたハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing with motopark)が、デグナーひとつめで中嶋のイン側に入り、両者が接触。予選ではスプーンで接触のあったふたりが決勝レースでも絡んでしまい、両者リタイアとなった。

 このアクシデントにより、このレース2度目のSCが出動。可夢偉はここでもステイアウトを選択した一方、ダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)や石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)は2度目のピットストップを行って再度ソフトに履き替えた。しかし石浦は作業後にエンジンが止まってしまい、その後もトラブルで走り出すことができず、ここでレースを終えることになった。

 18周目にリスタートが切られ、パロウがOTSを駆使して可夢偉に襲いかかるがオーバーテイクには至らず。その直後、パロウのマシンにはS字でトラブルが発生したのかスローダウンしてしまい、ダンロップコーナーの内側でストップ。これで3度目のSC出動となり、22周目にレースが再開された。可夢偉は2番手までポジションを上げていたキャシディをうまく突き放してトップを維持。その後方ではペースの上がらない野尻智紀(TEAM MUGEN)を山下健太(KONDO RACING)がパスして5番手に浮上した。

 レースの折り返しを迎え、燃料が軽くなってきているのか先頭の可夢偉はタイムを落とさずに快調に走行を続ける。一方で早めにピットストップを行った後続のキャシディらは、可夢偉に徐々に離されていく。

 ところがレース後半の27周目、山下とポジションを争っていた牧野の右リヤタイヤがスプーンの出口で突然外れるようにバーストしてしまった。牧野はそのままタイヤバリアに突っ込んでしまい、無念のリタイア。予選でフロントロウを独占したTCS NAKAJIMA RACINGだったが、ここで2台揃って姿を消すことになってしまった。

 牧野の車両を回収するために4度目のSCが出動したが、ここでも可夢偉はステイアウトを選択した。31周目に4度目のリスタートを迎え、残りは13周に。可夢偉は再びキャシディを突き放し、レース終盤も2番手より1秒近く速い1分42秒台で走行を重ね、ファイナルラップにルーティンのピットイン。タイヤ交換と給油を行った結果、入賞圏外でのコース復帰となった。

 これで、予選12番手スタートのキャシディが首位に躍り出た。キャシディはそのまま危なげなくトップで走り切り、新天地のVANTELIN TEAM TOM’Sで大逆転の今シーズン初優勝を挙げた。

 2番手の山本はレース終盤に山下健太(KONDO RACING)に猛追されるも、そのままポジションを守り切り2位に。山下が3位という、結果的に昨年の最終戦と同じ表彰台の顔ぶれとなった。4位以下は野尻、坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、国本、ルーカス・アウアー(B-Max Racing with motopark)、ダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)までが入賞。9位以下は小林、アーテム・マルケロフ(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、大嶋となっている。

 なおマルケロフと福住には、レース終盤にSC中の追い越し違反によるドライブスルーペナルティが科されている。また大嶋は5位でレースを終えるも、SC後のスタート手順違反により30秒のタイム加算ペナルティとなった。

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