異世界モノの2.5次元化に男性オタクの反応は!? ちまたで話題のマサツグ様が舞台化!!

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2019年04月22日 18:31  おたぽる

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おたぽる

2.5次元舞台『異世界で孤児院を開いたけど、なぜか誰一人巣立とうとしない件』

 近年、漫画やアニメ、小説などを原作とした「2.5次元舞台」が隆盛している。このたび、小説や漫画で人気の『異世界で孤児院を開いたけど、なぜか誰一人として巣立とうとしない件』(以下、異世界孤児院)を原作とする舞台が、池袋シアターグリーン(5月8〜12日)にて公演されることが決定した。



■「なろう系」漫画はオリジナル作品の数倍売れている


 本作はそのタイトル通り「異世界」が舞台。2.5次元舞台と同様、「異世界」モノも近年大流行中のジャンルである。『転生したらスライムだった件』『異世界食堂』『Re:ゼロから始める異世界生活』『本好きの下剋上』等をはじめ、多くの異世界作品がアニメ化されている。こうした作品の大半が小説投稿サイト「小説家になろう」で発表されたWEB小説が原作となっているのは、そのジャンルに詳しい方ならご存じであろう。そのため通称、「なろう系」と呼ばれている。


「いま、出版界ではなろう系は鉄板ジャンルです。特に2018年以降は、漫画化されるとバカ売れする傾向があり、『転スラ(転生したらスライムだった件)』のアニメ化でますます活況に沸いています。逆にオリジナル漫画は非常に厳しい状況に立たされていますね。集英社や講談社などの大手出版社で連載されている作品ですら、初版1万部を刷って実売が3割を切るのがザラ。そんな中、なろう系の漫画の場合、たいして名の知られていない作品でも初版2万部で実売6割越えがもはや当たり前。つまり、異世界モノというだけで購買する読者が多い証拠です。ここ1〜2年、漫画界で地殻変動が起こっているんです」(某出版社のコミック編集部の編集者)


 そんな飛ぶ鳥を落とす勢いの異世界モノだが、意外なことに、「小説家になろう」発の異世界作品が舞台化されるのは今回が初めての試みらしい。大流行中の「2.5次元舞台」と「異世界」の組み合わせは最強かと思われるが……。関係者に話を聞くとそう簡単にはいかない事情があるようだ。


■2.5次元舞台で人気なのは女性観客向けばかり


 本舞台の企画者の一人が、小説や漫画の編集プロダクションの代表を務める井川楊枝氏だ。


「私の編プロでは、ここ数年のなろうバブルの恩恵を受け、20作以上の異世界コミックの連載の編集を請け負っています。本舞台の『異世界孤児院(略)』は、アニメ化されていないものの、弊社が編集に携わる作品の中では抜群の話題性と人気を誇っております。漫画が掲載されているニコニコ静画上では、15万人近くのお気に入り登録者がいます。2018年度は計2,800作以上の連載作の中でベスト10にランクインしました。そういうこともあって、知り合いの舞台関係者に舞台化をお勧めしたんですが、その作品人気は現状、そこまでチケットの売上には結び付いていないようですね」


 その理由は明らかだという。昨今、2.5次元舞台は流行っているが、それは「女性観客向け」に限定されていたためだ。


「私は舞台に関しては無知だったから後で知ったんですが、女性向けの場合、2.5次元ファン層がしっかり根付いていて、たとえその原作を知らなくても舞台化されたら見に行くようです。ですが、男性客向けの場合、そもそも2.5次元舞台を見る習慣がなかったようで……」(同)


 なぜ、男性向けの2.5次元舞台は盛り上がらないのか? 理由を察するに、ひとつは、その絵の特性にあるのかもしれない。いわゆる萌え絵の場合、かなりデフォルメされている。こうした絵のような人物はまずリアルには存在しないため、2次元を好む男性オタクの場合、3次元は紛い物という認識が強くなるのだ。「3次は惨事」とは彼らの間でよく言われている言葉である。



 また、男女のオタクの違いとしてよく語られるのは、女性の場合、ひとつのことが好きになると、そこから派生して、そのつながりのあるものを追いかける特性がある。しかし男性の場合、狭く特化しており、自分の興味のあるものへはとことんお金を落とすが、なかなか興味が他へ移りにくい。舞台に対する許容度が低いのもその偏狭な性質ゆえか。


■男性向けの異世界舞台は今後はやる!?


 では、男性向けの2.5次元舞台は厳しいのか? 本舞台の関係者の中には逆に手ごたえを感じる者もいるようだ。


 都内の公共施設で行われている舞台の稽古にお邪魔すると、女性キャストを中心とした役者たちの元気のいい声が響いていた。本舞台はWキャストで総勢40名以上が出演するが、そのうち女性が36名を占める。



「確かに作品の知名度に比して盛り上がりは物足りない印象はあります。ただ、今回の舞台を皮切りに、今後、異世界モノの舞台はどんどん作られていくのではないでしょうか」


 本舞台の演出を務める小森章氏は自信ありげに言う。その根拠はなんなのか?


「異世界モノは、だいたい剣と魔法の世界だから派手なんです。今回も殺陣があって、バトルが盛りだくさんで見ごたえがあります。また、異世界のキャラクターは個性が強いから、役者が演じていて面白いんですよね。同じセリフを現実世界のキャラクターがしゃべると違和感がありますが、異世界キャラなら普通。だからスケールが大きくて破天荒なキャラクターがたくさん出てくるんですよ。異世界モノと舞台の相性は抜群ですね」(同)


 また、出演する役者も、異世界モノの舞台化の面白さを語る。


「私は『小説家になろう』が好きで、順位の高い作品からチェックしていました。この作品も一時期、ランキングで総合1位だったから読んでいたんです。なろうの場合、主人公が最強で、異世界転生で強力スキルを授かるのが定番。この作品は、そのなろう小説の特性を極めすぎていて、主人公のマサツグ様が無双するんですね。そうしたら周りの美少女孤児たちが一斉に称賛するんです。この作品が“マサツグ様”と呼ばれているのは、それがゆえんです。そんなやりとりをリアルに三次元でやると、なんとも言えない絶妙な味わいがありますね(笑)」(秋子いをり)


「男性観客向けの異世界モノだと、カッコいい男性主人公がいて、その周りをかわいい女の子たちが囲みますよね。今回も出演者はイケメンと美少女だらけの眼福作品です! 同性から見ても、美少女孤児たちのやり取りを見るとかわいすぎて萌え死ぬぐらいです。だから男性、女性に限らず多くの観客が満足できる舞台になっていますよ」(石井未来)


 果たして、異世界作品は、小説や漫画、アニメのみならず3次元の舞台にも進出していくのか? 興味ある方はぜひ、5月8日から公演の本舞台をご覧いただきたい。
(文=萩本聖一)


2.5次元舞台『異世界で孤児院を開いたけど、なぜか誰一人巣立とうとしない件』
池袋シアターグリーン Box in Box
2019年5月8日 (水) 〜2019年5月12日 (日)
チケットは、コリッチ、カンフェティ等のサイトで販売中
https://stage.corich.jp/stage/98086


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