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2歳児なのにまるで修行僧…叱られると黙って目をつぶる戦略とは

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2019年04月24日 07:00  ウィズニュース

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写真注意されると寝る息子。さながら修行僧のよう=イラスト・minchiさん
注意されると寝る息子。さながら修行僧のよう=イラスト・minchiさん

 0歳〜就学するまでの子どもたちの、思いも寄らない行動や不思議な言葉遣いに心当たりはありませんか?編集部では「#乳幼児の謎行動」をSNSで募り、乳幼児の「なんでそうなる?」を、同志社大学赤ちゃん学研究センター長で小児科医の小西行郎さんに聞きました。2回目は、「息子を叱ったときの反応が謎すぎる」です。小西先生は「子どもの作戦勝ち」と笑います。作戦?子どもが作戦?どういうこと??(朝日新聞記者・金澤ひかり)


【質問】
息子が2歳になったばかりの頃、夕ご飯を一緒に食べていた時のことです。おなかが空いていなかったのか、それとも好きな物がなかったのか、理由はわかりませんが、食事の載ったお皿を手で払いのけた息子。「こぼれちゃうよ!だめ!」と注意すると……あれ?寝た?
息子は座った姿勢のまま目をつぶってしまいました。名前を呼んでもだめ、肩をたたいてもだめ。いつもいすに正座してご飯を食べている息子が目をつぶっている様子は、さながら修行僧のよう。しばらくすると、すっと目を開け、「ごさまでした(ごちそうさまでした)」。面白くて怒るに怒れない。これってうちだけですか。
〈相談者:2歳の息子がいる女性記者(31)〉

【まだまだあるぞ、謎行動!】いちいちきゅんきゅん「赤ちゃんの謎行動」が可愛くて仕方ない

子どもの作戦勝ちです
小西さん  相談者が「怒れなかった」と言っていますね。この時点で、子どもの勝ち。この子には切り替える能力がすでにあります。新しい能力だと認めてあげてください。
おもしろいことを認めてあげるのはいいことだし、親も楽しむことが大事です。
子どもなりの「作戦」ってあるんです。その場をやり過ごすための子どもなりの作戦。その作戦を大人は読まないといけないですね。


記者  いやはや、子どもの「切り返し」に感服しました。お互いに、「どうすればいいかな?」「こう返してきたらどうしよう?」と作戦を練り、相手の反応を見ながら次の声掛けを考える……日常がさらに楽しくなるような気がします。
ところで、この「目をつぶる」という行動に私は驚いたのですが、よくあることなんでしょうか?


小西  怒られると目をつぶるという行動はそれほどまれなことではありません。目をつぶるだけではなく、両手で目を隠すような行動や、聞きたくない場合には両手で耳を塞ぐこともあります。つまり、見たくないことや聞きたくない情報をシャットアウトしようとする行動はこの時期の子どもに共通する行動ともいえるでしょう。


記者  閉じていた目をパッと開け、「ごちそうさま」と言われたときに、「え?もう完結したの?」と、思わず笑ってしまいました。


小西  最初は拒絶し、しばらく時間を取って「ごちそうさま」といって終わらせるということは、単なる拒絶ではなく、この子なりに親との折り合いを付けようとする能力を獲得しつつあるということです。母親とのやり取りを考えながら楽しんでいる。非常におもしろい行動ですね。


記者  なるほど。そもそもなんですが、今回の彼の行動は、「こぼれちゃうよ!」と声を掛けたことで引き起こされたのですが、声掛けはこんな感じで良かったんでしょうか?



子どもの気持ちの切り替えを促す声かけを

小西  お皿を払いのけたときに「こぼれるから、ダメ」ということは子どもの思いからははずれた言葉ではないかと思います。

記者  理由を伝えないといけないと思って伝えた言葉だったのですが。がっくり……。

小西  食事をしてほしいわけですから、子どもの気持ちを切り替えるために「じゃぁおかあさんにちょうだい」などという提案をしてみてはどうでしょう。

記者  子どもの気持ちの切り替えを促す言葉……なかなか難しそうですが、考えてみたいと思います。

拒否するしぐさの理由は?

記者  ところで、保育園の先生に聞くと、うちの息子と同じような行動をする子はいないということでした。

小西  家では目をつぶったり、両手で目を塞いだり、口を手で塞ぐような拒否するしぐさをする子どもでも、保育園ではそうしたしぐさをしないことは少なくありません。家と保育園の違いが分かっているからです。

記者  なるほど。(思っているより色々理解してる…なかなかやるな)話は変わりますが、うちの場合は息子は2歳になったいまでこそ、喜怒哀楽がわかりやすくなってきましたが、赤ちゃんの感情って、なかなか想像しにくく、ストレスに感じることもあると思います。

小西  赤ちゃんの感情については情動と情緒という言葉でその発達が語られた時代もありましたが、現代の心理学研究でも大きな問題であるようです。

生きるために重要な「負」の感情
〈小西さんによると、赤ちゃんの最初の感情は「快」と「不快」であり、新生児期にすでに存在するといわれているといいます。「ただ、快と不快については、不快の方が早く出現するのではないか」と小西さんは言います。「痛みの感覚は胎児期にあり、いわゆる未熟児の医療の中でも注射などをすると赤ちゃんが泣くということなどから、不快という感情があるのではないかと思われます」
小西さんによると、それ以降、快の感情は喜び、望み、愛情や達成感といった感情に種類も増え、不快の感情もまた年齢と共に成長し、嫌悪、怒り、失望や嫉妬、恐れ、心配などの感情が生まれてくるようです。〉

記者  感情がどんどん増えていくと、人間らしさが生まれてくるような感じがします。

小西  今の育児書などでは快の感情を出発点とした正の感情の発達を伸ばすことが大切だと説明していることが多いようですが、私は不快の感情の発達への配慮の方が重要なのではないかと思うのです。なぜなら、負の感情の方が生きるために重要なものが多いからです。恐れや心配、不満足などの感情は子どもにとっては一種の危険信号のようなもので、こうした感情を正の感情に転化できるよう子どもと一緒に考えてあげることが育児のコツだと思っています。

先生、私、勝ちました!
小西さんの「子どもなりの作戦がある」という言葉がとても印象的でした。取材後、息子に向き合うときに、その言葉を思い浮かべて接することが増えました。

たとえばこんな出来事がありました。

息子の最近のお気に入りの服は、キリンが描かれた半袖パジャマです。保育園に行くときも、どうしてもその服が着たいと言います。しかしいまはまだ半袖には早い時期。「寒いから別の服にしよう」と言ってみたり、クローゼットから自分で選ばせようとしてみたり…。でもどれもうまくいきません。
そんなとき、「作戦で勝つんだ!」と思い立ち、最近息子がはまっているアニメを引き合いにし、「この服着たらシンカリオンになれるよ!」と差し出した長袖の服、すんなり着てくれました。

勝った……。小西先生、私、勝ちました!


     ◇
小西行郎(こにし・ゆくお)
同志社大学赤ちゃん学研究センター長、教授。小児科医。日本赤ちゃん学会理事長。
専門は小児神経、発達神経科学。1947年生まれ。京都大学医学部卒業。
主な著書に「赤ちゃんと脳科学」(集英社新書)、「赤ちゃんのしぐさBOOK」(共著、海竜社)、「はじまりは赤ちゃんから」(赤ちゃんとママ社)、「発達障害の子どもを理解する」(集英社新書)、「今なぜ発達行動学なのか―胎児期からの行動メカニズム」(診断と治療社)など。


     ◇

赤ちゃん学
小児科学、発達認知心理学、発達神経学、脳科学、ロボット工学、物理学、教育学、霊長類学などの異分野研究の融合による新しい学問領域。赤ちゃんの運動・認知・言語および社会性の発達とその障害のメカニズムの解明から、ヒトの心の発達までを対象とする。2001年には「日本赤ちゃん学会」が設立。08年に同志社大学内に開所した赤ちゃん学研究センターは、16年に文部科学省の共同利用・共同研究拠点「赤ちゃん学研究拠点」として認定された。

◆◇◆◇◆◇◆◇
withnewsでは赤ちゃんの謎行動を募集しています。「洗濯物を装着する」「前転したくてお尻を押されるのを待っている」など、みなさんの中で「そういえば……」とひらめいたものをハッシュタグ「#乳幼児の謎行動」をつけてツイートしてくれませんか? 編集部が取材にかかります。

このニュースに関するつぶやき

  • 4歳長女、速攻『ごめんなさい!』2歳長男ぶすくれる。それ以前にそんな行為はしたことないので遊んでて怒られるぐらい。
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  • 2歳なら許してしまうね。 5歳位ならその態度を叱れる、かなあ? 大人になってもそういう拒絶をするなら見放す、かもしれないね。
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