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大分トリニータ公式ソングの歌詞に「ケツ」と「うんこ」。なぜこうなった?

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2019年04月24日 16:22  日刊SPA!

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日刊SPA!

写真画像は、YouTubeのSerena de Times Channel「トリニータイソウ」動画より
画像は、YouTubeのSerena de Times Channel「トリニータイソウ」動画より
 J1大分トリニータの公式ソング「トリニータイソウ」が発表された。ところが、サポーターからは否定的な声が噴出した。

 ――なぜ、こんな歌詞にしたんだ? 各SNSには、「下品すぎる」「子どもにマネさせたくない」「ホームの昭和電工ドームで聞きたくない」「サッカーと関係ない」など、ブーイングが吹き荒れた。さらには、「#トリニータイソウの替え歌を作ってみよう」というハッシュタグまで生まれている。

 発端は、腰を振りながら「けちらせケツ出せプリプリ、うんちかますぜブリブリ」と、始まるYouTube動画。確かに冒頭から下ネタ全開であり、J1所属チームのオフィシャルにふさわしくないと思うのは理解できる。どうして「ケツプリプリ」、「うんちブリブリ」なのか。総合プロデューサーである鈴木セリーナ氏を直撃した。

◆「大分トリニータに恩返しがしたかった」

 まず、「トリニータイソウ」とは何か? 3月30日、Jリーグ第5節の大分トリニータVSサンフレッチェ広島戦でお披露目され、同時にPVも公開された大分トリニータ公式ソングである。お笑い芸人あべこうじ氏が作詞し、作詞兼プロデュースを「ようかい体操第一」の歌手の所属事務所社長兼マルチクリエイティブプロデューサー、鈴木セリーナ氏が務めた。

「私は、元Dream5の重本ことりのキャスティングを請け負っていました。2年ほど前に彼女をホームゲームショーに呼んでいただいたご縁で、大分トリニータとの付き合いが始まりました」

 当時はまだJ2であったトリニータ。イベントに掛けられる予算が限られる中、わざわざ東京から呼んでくれたことに鈴木氏は感謝したそう。

「重本自身も大手事務所を抜けたばかりで、不安いっぱい。妹同然に思っている彼女になんとかチャンスをあげたいと願っていたタイミングなので、とてもありがたかったですね。しかも、非常にあたたかく迎えてくれて、また来てねと皆さんがおっしゃってくださる。実際、その後何度も呼んでくださいました」

 しかし、その現場で感じたことは、“チームとして収益を逃している”という点。鈴木氏は、これまでに大手企業のグッズ制作に携わってきた経験や、「ようかい体操第一」の歌手をプロデュースした経験から、「もっと良くなる」という可能性を見出した。

「J2にも関わらず、集客が多いんです。だというのに、心惹かれるグッズが少なくて、売り上げに貢献していない。サポーターの数と熱意ならトップクラスなのだから、可能性はもっとあるはずなのに……と感じました」

 そこで、まずはチームの認知度を高める公式ソングの制作を提案した。

「重本を使っていただいた恩返しがしたくて。私たちは歌が作れますから、それによってチームの手助けができないだろうかと考えたんです」

 クラブとしては、必要だと思うし、やりたいのだけど……結局は諸条件含めて難しいと判断され、最終的には保留となった。だが、翌シーズンになると風向きが変わった。

「J1昇格のムードが高まり、整えられた広報体制や、全国に発信できるコンテンツの重要性を、理解していただきやすくなりました」

 チームとしてマーケティングを見直すタイミングが来たのだ。もともと、大分トリニータは由来である“トリニティ=三位一体”が示す通り、県民・企業・行政の融合によって運営されているクラブ。ある意味、半官半民に近く、決して商売上手とは言えない土壌がある。

「私は恩を返したいし、大分出身者でもある。せっかく繋がった縁なのだから、なんとしてでもお手伝いしたい、応援したいと、スポンサーに名乗りをあげました」

 スポンサーになる条件の1つが、公式ソングの制作。そして、完成したのが「トリニータイソウ」だ。

◆“ケツ”と“うんこ”は子どもにとってキラーワード

「意思疎通が取りやすい友人のなかでも、ズバ抜けて言葉のチョイスに秀でるあべこうじさんとともに詩を書き、振り付けや作曲はプロ中のプロにお願いしました」

 その結果、いち早く楽曲をチェックしたサポーターからのウケが悪かったことは前述のとおり。批判される筆頭ポイントが、「ケツ」と「うんこ」といった下品ワードである。

「大人にとって拒否感が強い“うんこ”は、子どもたちが喜び笑う普遍的なキラーワード。あべさんには必ず入れてくれと頼みました」

 制作サイドでもギリギリまで揉めたが、全編がケツとうんこではないし、新たなサポーターを生むためなら必要だろうとGOサイン。

「ご批判はごもっとも。私も親ですし、子どもにすすんで言わせたいワードではありません。でも、子どもに反応してもらうのに、間違いない言葉なんです」

 しかしなぜ、抵抗が予想される言葉を使ってまで子ども向けにしたのか。

「大分トリニータのサポーターは50代が中心。10年後、20年後のため、この先、長いスパンでみたらキッズ人気を取り込まないと。どんな形であれ知ってもらい、クラブに興味を持たせるのが重要です」

 理屈はわかるが、安直過ぎる気も……。

「入れる必要はなかったと言われるのもわかります。確かにその通りかもしれませんが、“うんこ”があったからこそ目につき、話題になったのだと思います。ただ、子どもウケを狙ったのは歌詞だけではなく……。幼い子でも歌えるとされる音階だけで構成しているんですよ。そこも見ていただければ」

 また、「ネコニータ」や「クマニータ」など、意味のないダジャレも嫌悪の対象に。作詞のあべこうじは大分出身ではない。だから地元愛がなく、サポーターの愛するチーム名でふざけられたのだ! との声が上がった。

「トリニータの“トリ”が鳥でないのは、あべさんも承知。彼は大分弁やトリニータについて、すごく勉強したうえで書いています。完成時にも膨大な量の資料を抱えてやってきて、歌詞一つ一つについて説明してくれました。もちろん、バカにする意図は一切なく、どうやったらノリ良く楽しく応援できるか真面目に考えた結果なんです」

◆ツウ好みより、マスに響くポップさが必要だった

 「トリニータイソウ」を徹底して子ども向けに仕上げたのにはもう一つ理由がある。

「サッカーメディアって、サッカー経験者や“すでに知っている”人にしか向いていないと感じます。サポーターも未経験者を排除し、ワールドカップの時だけ盛り上がるファンをニワカと馬鹿にする傾向が強めです。だから、ライト層が入ってこられない。既存客に喜ばれるカッコ良さより、マスに響くポップさが公式ソングには必要だと考えたんです」

 クラブも鈴木氏の考えに賛同し、批判の声に対して公式サイトにてコメントを発表。「トリニータイソウ」は取り下げず、継続の意向を示した。また、鈴木氏も自身が運営するサイト「SerenadeTimes」にて見解を発表するという異例の事態となった。

「YouTubeのコメント欄を書き込み不可にしたのも不評でしたね。逃げるなセリーナ! って。でも、PVに出てくれた人たち、特に子どもたちとその親御さんたちを思うと厳しかった。大切な我が子の出ている作品が罵られているなんて悲しいでしょう」

 炎上商法、売名行為だと指摘する人も多い。

「正直、ここまで批判されるとは思っていませんでした。仮に嫌われるの上等で炎上を狙ったとしても、メリットはないんです。名前を広めたところでステータスにも、マネタイズに繋がるわけでもないですから」

 自分の払ったチケット代から幾らかでも「トリニータイソウ」に使われていると思うと納得いかない。そんなツイートも見受けられる。

「制作費は私の会社がすべて負担。もちろんクラブにはロイヤリティを支払いますが、現時点ではCDの売上でしか利益を生み出せません。炎上そのものがCD販売の広告戦略? この状態だとマイナスプロモーションですよ(苦笑)」

 「ケツ」と「うんこ」でサポーターの反感を買い、キー局でも扱われるほど賛否両論分かれる公式ソングとして知られるようになった「トリニータイソウ」。プラスマイナスはさておき、確かに大分トリニータの知名度を上げる役割は果たしたと言えるかもしれない。

◆「トリニータイソウ」は「GOGOゴール!!」とのダブルA面

 批判的サポーターと制作サイド。どちらにも理由があり、両者に共感できるが、賛否の旗を振るまえに知るべきことが。「トリニータイソウ 」はサッカー外を含め、世間に向けた作品。サポーターとチームに向けた公式応援歌、チャントは別に作られているということ。「トリニータイソウ 」とのダブルA面「GOGOゴール!!」である。

「大分弁はあえて使わず、カッコ良さを追求しています。太鼓で叩ける限界のスピードに設定し、男女関係なく歌いやすい音程に。どのチームのチャントより盛り上がれますよ」

 とはいえ、マス向け楽曲「トリニータイソウ」のインパクトが強く、肝心のチャントは目立たなくなってしまった。現に、批判コメントを展開しているサポーターの多くが未聴のようす。想定外の批判にさらされた、作詞担当のあべこうじ氏もツイッターで「GOGOゴール!!」の存在をアピールしている。

「それでもリリース当時に比べれば、だいぶ沈静化。賛成の声や踊っている子どもの姿がSNSで見られるようになってきました。あとはGOGOゴール!!も知ってもらえるよう頑張らないといけません」

 一部サポーターの間では「#トリニータイソウの替え歌を作ってみよう」というハッシュタグも発生。サポーター目線の歌詞を作るムーブメントだが、鈴木氏は好意的に迎えている。

「どんなふうにでも楽しんでもらえれば嬉しいです」

 鈴木氏とクラブの狙い通り、子どもたちに受け入れられ真似されるカルチャーに成長し、非サッカーファンがクラブに興味を持つきっかけとなり得るか。大分トリニータのホームゲームでは、会場に流れる「ケツ」と「うんこ」をサポーターたちはどんな表情で聴くのか。もうしばらく経過を見守ってみたいと思う。<取材・文/金井幸男>

このニュースに関するつぶやき

  • クレヨンしんちゃんのオープニング曲と勘違いしてない?
    • イイネ!1
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  • 否定的というから、ナビスコ杯のスクデットを付けておきながらJ3にまで凋落した過去を歌い上げて「事実とはいえネガティヴ過ぎる」という意味で否定的なのかと思ったら全然違った…。
    • イイネ!7
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