元極妻が考える、『ザ・ノンフィクション』ヤクザの更生――なぜ犯罪を繰り返してしまうのか?

1

2019年04月28日 19:02  サイゾーウーマン

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

サイゾーウーマン

写真

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

■ヤクザをやめた男たちはどこへ?

 4月21日に『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)で元ヤクザの更生をテーマにしたドキュメンタリー『その後の母の涙と罪と罰』が放映されました。関東限定だそうですが、長い時間をかけて取材しているのが伝わってきて、見ごたえがありました。本作は、昨年7月15日に放映された『母の涙と罪と罰』の続編でした。前作はドキュメンタリーとしてはかなり高い視聴率7.2%をマークしたそうです。どちらの作品も「更生をめざす元ヤクザ」の姿に迫っていますが、やはりそう簡単なお話ではありません。

 前提として、ヤクザをやめる人が増えているのは事実です。警察庁によりますと、2018年末現在で、ヤクザ(暴力団構成員)は約1万5,600人。対前年比約1,200人の減少で、過去最少を更新したそうです。警察庁は、「暴力団排除の取り組みに伴い、資金を得るのが難しくなっていることなどから、構成員らの離脱が進んでいる」と得意顔です。

 でも、以前も何度か書かせていただいていますが、この「やめた人」たちはどこへ行くのでしょうか? 亡くなった人もゼロではないでしょうが、多くもないと思います。生活できなくてヤクザをやめた「元ヤクザ」たちに、仕事やお金、家、家族などはあるのでしょうか?

 今回のドキュメンタリーに関しても、ネット住民さんたちの感想は「ロクデナシに生きる権利などない」という感じのものが多いです。間違っているとは言いませんが、居場所をなくした元ヤクザたちは、生きるために、もっともっと悪いことをするでしょう。犠牲になるのは、ご自分かもしれませんよ?

 ネタバレしない程度に、ザ・ノンフィクションの『母の涙と罪と罰』と『その後の母の涙と罪と罰』の感想を書いてみますね。前回放送と内容が結構かぶっている印象はありますが、前回をご覧になっていない方も多いでしょうから、仕方ないと思います。

 前回は、元ヤクザの学さんとそのお母さんの思いを中心に、同じく元ヤクザで牧師の進藤龍也さんとそのお母さん、家族の愛に恵まれたことのないタカシさん(仮名)などのインタビューで構成されていました。

 学さんは、ヤクザ現役時代は誰も信じられず、覚醒剤のせいで生死の境もさまよいましたが、キリスト教に出会ったことで人生が変わります。今はお母さんともいい関係だそうです。進藤牧師もやはり覚醒剤に溺れ、若い頃はお母さんに反発していたそうですが、現在の関係は良好です。

 このお二人に限らず、親御さんとの関係がいいと更生できる例は、極妻時代から見てきました。逆に言うと、親の愛に恵まれずに育ってしまうと、愛し方がわからず、大切なものが守れないようです。

■居場所のない世の中

 今回の主人公・タカシさんは、大切なものを守れませんでした。タカシさんは進藤牧師の教会で学さんと知り合い、共同生活をしていました。学さんは仕事をしていますが、タカシさんは「元ヤクザ」をカミングアウトしているせいか、なかなか仕事が見つかりませんでした。それでもようやく採用され、進藤牧師のお母さんに保証人になってもらってアパートを借りることもできました。

 ところが、最初は生き生きと働いているように見えたのに、職場をクビになり、逮捕もされてしまいます。フジテレビの番組案内には、「社会復帰を目指していたが突然の逮捕」とか「うつ病と生活保護そして犯罪に手を……」となっています。

 一体、タカシさんに何があったのでしょうか? それはわからないのですが、カメラはうつ病になって引きこもるタカシさんを追います。自立して生活できていたのに、なぜ……と多くの方は思われるでしょうね。

 私には、なんとなくわかりました。愛された経験のないタカシさんは、寂しかったのではないでしょうか? とっくに成人しているはずのタカシさんからは、幼さしか感じませんでした。

 タカシさんは仕事と部屋があっても、独り暮らしで、仕事から帰っても誰もいない生活に耐えられなかったのだと思います。こういう若者に「甘えるな」と言っても伝わりませんよ。甘えたことがないんですから。

 オットの若い衆にも、親の愛に恵まれずに育った青年は何人もいました。部屋住みの生活を「居場所」として楽しめるコは、やっぱりいい顔つきになっていきましたね。かつてのヤクザの組は、家庭に恵まれなかった人の「居場所」でもあったのです。ヤクザがいいとは言いませんし、そもそも今はムリでしょうね。過剰な暴排で、今となってはヤクザにも居場所がありません。これからは、タカシさんのような青年は増えると思います。

ランキングライフスタイル

前日のランキングへ

ニュース設定