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断崖絶壁に立つ「小便小僧」の謎 徳島の山奥、深さ200mの谷底に向かって...

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2019年05月02日 20:10  Jタウンネット

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写真徳島県三好市の祖谷渓にある小便小僧(CES~enwikiさん撮影、Wikimedia Commons
徳島県三好市の祖谷渓にある小便小僧(CES~enwikiさん撮影、Wikimedia Commons

断崖絶壁に「小便小僧」が立っている。「危ない!」「気持ちよさそう」など、感想はさまざまだろうが、なんともシュールな構図であることは確かだ。

ここは徳島県三好市池田町、祖谷渓(いやだに、いやけい)である。

観光名所として知られる「小歩危(こぼけ)」から約5キロ東に位置する、祖谷街道(県道32号)で一番の難所で、「七曲(ななまがり)」と呼ばれている。深く切り込んだV字型の渓谷の下を、祖谷川が大きく蛇行している。見下ろすと、目もくらむような高さだ。

小便小僧といえば、ベルギーのブリュッセルにある、あまりにも有名な観光スポットだ。日本三大秘境とも呼ばれる祖谷渓に、いったい、なぜ、小便小僧? Jタウンネット編集部が詳しい話を聞いてみた。

「作者は、徳島県出身の彫刻家」

目がくらむほどの絶壁に立つ(画像提供:三好市観光課)

電話で答えてくれたのは、三好市観光課の担当者だ。

「あの像が立てられたのは、1969年といいますから、もう50年以上も前のことになります。作者は、河崎良行さんといって、徳島大学の教授をされていた、徳島県出身の彫刻家だそうです。当時は、困難を極めた祖谷街道の開設工事がようやく完了したころでした。

工事の作業員や地元の子供たちが、度胸試しをしていたという逸話も残されています。そんな危険な行為に対する警告の意味を込めて、制作されたようです。河崎さんは当時4歳だった自分の息子をモデルにしたとも伝えられています」

しかし、資料があまり残ってないので、よく分からないとのことだった。そこでJタウンネット編集部は、彫刻家の河崎良行さんについて少し調べてみた。

日本三大秘境・祖谷渓が舞台だ(画像提供:三好市観光課)

河崎さんの作品は、全国各地に残されているが、その一つ、山口県宇部市の「球形のフォーメイション」という作品について、次のような経歴が記されていた(宇部市ウェブサイト参照)。

1935年、徳島県生まれ。
1958年、徳島大学卒業。
1968年、東京芸術大学研究生修了

祖谷渓の小便小僧が設置されたのが1969年なので、東京芸術大学研究生を修了したばかりのことだったことが分かる。当時の年齢は、33歳から34歳。芸大で研鑽を積み、徳島に帰って来られたころ、故郷・徳島県で彫刻の仕事を依頼されたようだ。

新進気鋭の彫刻家は、自身の子どもをモデルにして制作に取り組んだという。ベルギーの小便小僧をヒントにしながらも、容姿はあくまでも日本人少年という、機知に富んだ作品だ。

しかも小便小僧が設置されたのは、周囲を1000メートル級の山々が囲む秘境の中。深さ約200メートルの谷底を見下ろす、崖から突き出している岩の先端だ。彫刻を設置する場所として、これほどドラマチックな舞台があるだろうか。「借景」という言葉があるが、まさに祖谷渓を借景とした作品なのだ。若き彫刻家の意気込みが十分に想像できるだろう。

大歩危(画像提供:三好市観光課)

祖谷渓に小便小僧を見に行きたい人へのアドバイスを、三好市観光課の担当者に聞いてみた。

「JR阿波池田駅前から、タクシーやレンタカーを利用される方が多いようです。また事前に予約が必要ですが、定期観光バスも出ています。大歩危(おおぼけ)、小歩危、かずら橋など、祖谷渓の観光スポットを巡りながら、立ち寄られるのが一般的のようですね」

新緑が鮮やかな5月もおすすめだが、全山が赤や黄色に染まる紅葉の時期は、まさに絶景だという。

河崎良行作「円形のステーション」(写真は、Jタウンネット編集部撮影)

その後の河崎良行さんについて、知りたい人もいるだろう。

宇部市ウェブサイトには、こう記されている。1977年に文部省在外研究員として渡仏、パリ国立美術学校で数年学び、ヨーロッパで作品発表し、帰国後も創作を続け、数々の賞を獲得している。

河崎さんの彫刻作品は、前述したように、全国各地にある。宇部市の「球形のフォーメイション」、神戸市兵庫区の「風に吹かれて」などの他、なんと千葉市美浜区のエム・ベイポイント幕張(旧NTT幕張ビル)にも、「円形のステーション」という作品が設置されている。

Jタウンネット編集部はさっそく見に行って来たが、祖谷渓の小便小僧と同じ彫刻家の作品だと思うと、感慨深かった。ダイナミックなエネルギーを感じさせる作品だった。この作品の背景は幕張の高層ビル、借景をうまく活用している気がした。

このニュースに関するつぶやき

  • 場所が場所だけに、あそこも小さく縮こまって出るものも出ないって光景だな。笑 女の子にはわからないだろうけど(^_^;)
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  • 祖谷のかずら橋までの途中にあって唯一と言ってもいいほどの名所になってる。何もないところだけに、この子が和ませてくれる場所でもある。
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