【座間ボーイズ】練習中も球数制限、常に故障に気をつける投手指導

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2019年05月09日 17:54  ベースボールキング

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2002年に発足した座間ボーイズ。横浜高校で1年生からレギュラーとして活躍し、現在は社会人野球の東芝で主将を務めている松本幸一郎選手はチームの1期生であり、他にも多くの高校、大学で活躍するOBを輩出している。発足当時から一貫している方針は、卒業後に高校、大学で活躍し、社会に貢献できる基礎を作るということ。そんな座間ボーイズの練習を取材した。



高校で活躍できるように技術面では打撃を重視し、また活発なコミュニケーションによって選手の考える力を育てることを重視している座間ボーイズ。社会人野球でも活躍した宮崎誠監督は高校の後も、大学、社会人で野球を続けてもらいたいという思いで指導しているというが、それでも難しさを感じることはあるという。
「中学生でも選手が勝ちたいと思うのは当然ですから、育成と勝つことを両立させるのは難しい面があるとは感じますね。選手全員とは秋に保護者の方もまじえて面談して、進路や将来のことを聞いたりこちらから話したりするようにしています。あと投手についてはやっぱり故障に一番気をつけていて練習でも投げる数は制限していますし、なるべく多くの選手を投げられるようにしています。今は2年生と3年生で10人、1年生も10人ピッチャーをやっています。投手に限らず選手は試合に出すようにしていて、一つの大会で25人登録したら大体18人くらいは出場していますね」

投手の指導を主に任されているのが金川雅寛コーチだ。明星高校(大阪)を卒業後、同志社大学へ進み、大学卒業後は社会人野球の日本IBM野洲で32歳まで現役を続けた経歴を持つ。金川コーチもやはり投手の指導においては故障に一番気をつけているという。



「フォームの細かいところについてはそれぞれの選手の投げ方があるのでそこまで言いませんが、投げている中で故障することが怖いので、常に普段と比べておかしいところはないかというのは見るようにしています。テイクバックで腕が背中に入ったり、途中で引っかかるようになっていると故障に繋がりやすいので注意するようにしています。球数は試合がある時期は練習で50球、練習だけの時は多くても100球までで1年生は30球までと上限を決めています。言葉をかけるうえで気をつけているのは『腕を振れ』とは言わないこと。腕を振れと言われると、どうしても上半身に頼って投げようとしてしまう。だから意識を上半身に向かせないように『軸足をしっかり回す』と言うことが多いです。軸足をしっかり回せば自然と回転を使って、腕も振れるようになりますから。そういう意味で軸足を回す練習として、ピッチングのためにティーバッティングをやるようなこともあります。変化球は基本的に1年生の間は投げずにまずは強いストレートを投げること。学年が上がっていったらまずは変化しなくていいから少し握りをずらすだけで投げられるスライダーから投げる。他の球種はそのピッチャーが投げたいというものがあれば、握り方をアドバイスしながら練習していくとい感じですね」



この日も投手陣が投球練習を行っているときはコーチやキャッチャーがこまめに今、何球投げたかということをチェックしていた。高校野球でも球数制限が話題になっているが、公式戦だけを制限したところで根本的な解決にはならない。そういう意味で座間ボーイズが行っている練習での球数制限、また1年生のうちは変化球を基本的に投げないなどというのは、非常に具体的な故障予防の取り組みと言えるだろう。

変化球についてはそれぞれの投手が投げたいボールに対してアドバイスを行っているという話があったが、全体的に自主性を重んじているのも座間ボーイズの特徴だ。トレーニングや普段の練習についても全体で行っているのではなく、各自が自分で決めたものをこなしており、監督やコーチはあくまでそれを確認しているだけだという。



トレーニングについては基本的に自重を使ったもので、主に体幹を重視している。各自が『体幹ノート』と題した野球ノートを提出していたが、その書き方も決まりはない。中には目標まで細かく記している選手もいれば、やったことを数行程度書いているだけの選手もいるなどばらつきはあったものの、それに対して咎めるようなことはないという。先輩やチームメイトを見ながら自分で考えて学びなさい、というスタンスがよく見て取れるノートのシステムだった。(取材:西尾典文/写真:編集部)

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