今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
■刑務所はヒマで、真珠を入れる者も
皆様、連休はいかがお過ごしでしたか? 私の場合は、子どもたちとオットのお墓参りをしたり、友達と外食したりしているうちに終わってしまいました。まあ例年こんな感じです。
「ヤクザって、連休とか休めるんですか?」
編集者さんから素朴な疑問をいただいたので、今回はヤクザの連休の過ごし方について書かせていただきますね。
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なお、最初から脱線してしまいますが、刑務所にいる時は、連休は「あまりありがたくない」そうです。刑務作業も面会もないので、とにかくヒマなんですね。読書や手紙書き、雑談などをしてやり過ごすしかありません。
だから、読書が好きじゃなかったり、手紙を書く相手がいなかったりすると、もうつまんないだけなんですね。こうなると、しかたないから雑談し続けるんですが、もちろん飽きますから、「チン○に真珠を入れてやろう」とか言いだすことになります。
どこの施設にも「ドクターX」とか呼ばれる手術の担当がいて、ロクに消毒もしないで男性器に傷をつけて真珠ならぬ丸く削ったプラスチック(元は歯ブラシの柄など)を埋め込むんですね。こんなの不衛生だし、痛いし、いいことはないですよ。そもそも手術(?)が成功したところで、女性は真珠なんか喜びませんからね。本のタイトルにもありましたね、そういえば(笑)。
なお施設によっては、ゴールデンウィークや9月のシルバーウィークに運動会を企画するところもあるようですが、服役経験の長いオットの元若い衆も「連休はひたすらヒマなので、ロクなことを考えませんでした」と言っていました。
さて、本題に戻ります。
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飲食店やカジノバーの経営など、連休もフル稼働のシノギがあると、なかなか出かけられませんが、それでも以前はけっこう遊べた記憶があります。暴対法施行(1992年)後も、しばらくは大丈夫でしたね。
オットの組でも、5月の連休には若い衆の子どもたちも連れてオートキャンプ場とかに行っていました。みんな高級車で刺青全開ですから、かなり目立っていましたが、それで見とがめられることはありませんでした。思えば、のんびりした時代でしたね。
若い衆たちは、現地で知り合った若い女の子たちのグループにエビやカニなどBBQ用の高級食材を惜しげもなく分けてあげたりして、楽しく過ごしていました。飲酒運転も今ほどはうるさくなかったですしね。
また、「海外脱出」組も多かったです。主な目的は海外のカジノや賭けゴルフで、事前に警察に「仁義」(つまりワイロ)を切っておくと、外貨持ち出しで逮捕(パク)られることもなかったと聞いております。「100万円以上の現金を海外に持ち出す時には届け出る」というアレですね。
ちなみにもっと昔の昭和は、警察の慰安旅行にヤクザが寄付することもあったようです。親分のところに警察官が来て、「来週から○○温泉へ行くんですわ」とか言うと、親分が「ほうか。ほな気をつけて」とか言って現金を渡すんですね。「それをやっておくと、小さな事件は見逃してもらえるから。父がようやってた」と宮崎学先生がおっしゃっていました。まあ昔の話ですね。
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■別荘で過ごす親分衆も
昔は昔で苦労もあったので、戻りたいとも思いませんが、今はヤクザにとって「受難の時代」です。
今どきのヤクザは高級ホテルや温泉旅館に泊まるのもムリですし、海外も前科があると制限されますが、そもそもシノギが細いので、余裕がありません。それに、今どきは姐さんの名義のクルマに親分を乗せただけで虚偽記載(「電磁的公正証書原本不実記録・同供用」の罪)で逮捕される時代ですから、旅行もおちおち行けませんよ。
そうはいっても、まだ別荘で過ごせる親分衆もいますが、警察関係者は「暴力団関係者所有の不動産は、数が多いから放置しているだけ。物件はすべて把握しており、いつでも検挙できる」と豪語しています。まあ警察も人手不足ですから、いっぺんに検挙するのは難しいだけでしょうね。
過剰な暴排のせいで、大半のヤクザは連休もゆっくりできません。「それがイヤならヤクザをやめればいい」と、言うのは簡単なのですが……。