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「Surfaceの成功は日本なくしてありえなかった」と“Surfaceの父”パネイ氏が語る日本への思い

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2019年05月13日 10:42  ITmedia PC USER

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写真「日本とのやりとりは私の歴史の一部」と強調するパネイ氏
「日本とのやりとりは私の歴史の一部」と強調するパネイ氏

 筆者とSurfaceの付き合いは、Microsoftが2012年10月26日に「Windows 8」と「Surface RT」をリリースした時期にさかのぼる。前日の10月25日には米ニューヨークで報道関係者やパートナー向けのお披露目イベントが開催され、その夜から日付が変わるまでの間に、米ニューヨーク市中心部のタイムズスクエアを“ジャック”してのローンチイベントが大々的に行われ、新製品の数々がお披露目されている。



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 ニューヨークの現地に飛んでイベントの模様をレポートしたり、Surface RTの最速ファーストインプレッションをお届けしたり、Surface RTを実際に購入して欧州で現地取材しながら移動中にレビューを行ったりもした。



●「Surface Hub 2S」の発表を機に来日したパノス・パネイ氏に聞く



 そんな今は昔の話だが、思えば「Windowsをタッチインタフェース対応にするためのリーディングデザイン」をアピールすべく、MicrosoftがPCハードウェア事業に本格参入し、タブレット製品から始まったSurfaceも、現在では「クラムシェル型のノートPC」「オールインワン型のデスクトップPC」「据え置き型の大画面PCボード」とラインアップを拡充し、最近では「Surface Dial」のような周辺機器や「Surface Headphones」のようなヘッドフォンデバイスまで、「Surfaceブランド」の域は拡大しつつある。



 そんなMicrosoftのデバイス事業を率いるのは、2018年3月の組織改編で同部門のトップとなったパノス・パネイ氏だ。元々、Surface開発チームを一手に引き受けていた同氏だが、日本での「Surface Hub 2S」の予約受付開始と9月からの販売スタート発表を機に来日し、同社が考える「Surfaceブランド」の意義と「日本におけるSurface」について説明した。



●日本がリードするSurfaceビジネス



 かつて日本企業に勤めていて日本での滞在経験もあるパネイ氏が、「好きなものは“焼き鳥”。日本での食事を楽しみにしているが、なかなか時間が取れない」という過密スケジュールの中で、今回の滞在でも日本の顧客企業らを回ってさまざまなヒアリングを続けている。



 それは顧客の要望を聞き、製品開発にフィードバックするためだ。パネイ氏によれば、同氏が市場としての日本を重視する理由は主に2つある。1つは日本におけるSurfaceビジネスが非常に堅調なこと、そしてもう1つが「製品のビジネス場面での活用」だ。



 例えば前者について、Microsoftの会計年度で2019年度第3四半期(2019年1〜3月期)でSurfaceビジネスの売上は前年同期比21ポイントの伸びだった。



 一方で日本におけるSurfaceは前年同期比で50ポイント以上の伸びであり、2019年はさらに上昇が見込まれると同氏は付け加える。本国を除けば実質的に日本が世界のSurfaceビジネスをリードしている状態ともいえ、重点市場であると同時に、それだけ顧客からの意見も重視しなければならないことも意味している。



 エンタープライズ分野での導入も大きく、三井不動産リアルティでは数千台単位でのSurfaceデバイス導入が進んでいるという。日本での食事も興味があるが、それ以上に顧客の声を吸い上げるのが今回の来日の大きな目的というわけだ。



●Surfaceの成功は日本なくしてはありえなかった



 そして重要なのが後者の「製品のビジネス場面での活用」だ。「Surfaceの成功は日本なくしてはありえなかった」という同氏だが、Surface開発において、その製品の性格を考える上で最も重視しているのが「人」だという。



 「ハードウェアとソフトウェアの話をするとき、最も重要なのはそれがテクノロジーではなく、ハードウェアとソフトウェアを使う『人』にあるという点だ。テクノロジーを人に意識させない一方で、我々が作るテクノロジーは人が進みたい場所へと導き、さらにその目的地でもイノベーションを実現すべく待ち構え、人々の頭脳として機能する。私がしなければらならいのは、人々を前へと進むことを助け、これをどこでも実現できる環境を用意することだ」(パネイ氏)



 この「どこでも思考を止めずに作業できる」というのが、Surfaceの開発コンセプトなのだろう。Microsoftがサティア・ナデラCEOをトップに現行体制に移行してから、「Intelligent Cloud&Intelligent Edge」をキーワードにクラウド戦略を進めてきた。



 このクラウドを効果的に利用するためには、現在少なくとも対向の「エッジ」となるデバイスの存在が不可欠で、その役割をSurfaceが担うことになる。ソフトウェア企業でクラウドへの傾斜が顕著な昨今のMicrosoftだが、その中においてもデバイス部門が戦略的に残され、Surfaceブランドを筆頭にパネイ氏らによる新製品開発が続いている理由だ。



 「私は来日のたびに街を観察しているが、スターバックスの店舗やバー、レストランに行ってみてほしい。そこではどこでもPCで作業している人の姿を見かけることができるはずだ。もちろん私のように食事を目当てに行く人もいるが、遊びに仕事に、やることは人それぞれだ。『Work Style Innovation』(働き方改革)という言葉があるが、生活や仕事の多様性は現在世界中のあちこちで起きている。Surface活用が進む日本において、この取り組みは世界をリードしているといっていいだろう」(パネイ氏)



●デバイスの選択肢は人の数だけある



 Surfaceの6年半の歩みを考えれば、その進化はラインアップの拡充とともにさまざまなニーズに対応し、どこでも作業を可能にする環境を整備しつつある点だ。Surface Proのような2in1型のタブレットを筆頭に、より処理パワーやバッテリ駆動時間が必要な人にはSurface Book、従来型のクラムシェル型ノートPCが必要な人にはSurface Laptop、クリエイターを中心に重厚なデスクトップ環境を必要とする人にはSurface Studio、そして可搬性と購入の手軽さを重視したSurface Goだ。



 今回のSurface Hub 2Sでは、企業のチーム間コラボレーションを推進し、リモートワークや分散拠点にいるチームメンバーらとのミーティングもSurface Hubを中心に構成することができる。



 Surface Hub 2Sについては、日本市場でも既に引き合いや問い合わせがあり、注目度は高いようだ。とはいえ、本体価格が100万円に達する「プレミアム商品」でもあり、おいそれと導入できる企業はある程度限られるだろう。



 “ホワイトボード”製品ということで教育現場への導入も考えられるが、やはり価格がネックになると考えられる。このSurface Hub 2Sの市場のさらなる拡大についてパネイ氏は「(Surface Hub 2Sは)オフィスと教育現場の両方をターゲットにした製品だ。プレミアムとの指摘は理解するが、それ相応の価値を提供できる製品であると考えている。我々のOEMパートナーが両市場に向けた同種のコンセプトの製品を出しており、こうした選択肢もあるというのが(Windowsエコシステムの)強みだ」と述べる。



●間違いなくSurface Goは日本を意識した製品だ



 また今回のミーティングでパネイ氏はたびたび「日本」というキーワードを強調しているが、実際に顧客からの声を反映して投入された製品はあるのだろうか。同氏はこれについて「間違いなくSurface Goは日本を意識した製品だ」と即答する。



 ミニタブレットの可搬性と「フルキーボード」という組み合わせは日本市場でのニーズを意識したもので、例えば競合の1つであるiPad miniでは純正オプションでのSmart Keyboardが存在しない。サードパーティー製品か純正でもBluetooth接続の汎用キーボードを利用する必要がある。元々ミニノートPC的なカテゴリーは日本中心に盛り上がっていると指摘されていたが、それをSurface Goはカバーできるということになる。



 MicrosoftがAlways Connected PC戦略を推し進めるうえで、LTEモデムや常時接続をコンセプトにした製品を積極投入して市場をリードするという考えもあるが、必ずしもこれは個々人のニーズには合致しない。



 Surfaceというグローバル市場を相手にする製品を擁する以上、最大公約数的な形でニーズをカバーしなければいけないだろうが、それでもなお各市場や個々人のニーズを吸い上げてSurfaceという製品に昇華し、それでもカバーしきれないものはOEMやパートナーのソリューションで補完していくというのがMicrosoftのデバイス戦略なのだろう。



 なお、パネイ氏は米ワシントン州レドモンドの本社チームにおいて、常にSurfaceのさまざまなコンセプトを交えて開発を進めている。現時点では話せないものの「既存のSurfaceとは異なるコンセプトの製品」の開発を進めており、将来的に市場投入する可能性をほのめかしている。



 ミーティングの終了間際には「また10月にお会いしましょう」とも述べており、例年通り10月にSurfaceの新製品発表が行われ、日本でも個別ローンチイベントが開催されることを認めている。今はまだ形になっていないが、その時を楽しみに待っていよう。


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