「打撃力」ではなく「投手力」で踏みとどまった広島

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2019年05月15日 18:02  ベースボールキング

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ベースボールキング

広島・床田寛樹=マツダスタジアム(C)KYODO NEWS IMAGES
◆ 最大借金「8」から貯金「2」へ!

 2019年も白熱した試合が続くペナントレース。現在のところ、セ・リーグは巨人、パ・リーグはソフトバンクがそれぞれ首位に立っているが、昨シーズンと比べれば両リーグともに混戦模様と言える。

 そんななか、昨シーズンのセ・リーグ覇者である広島に勢いが出てきた。今年も当然、首位争いをすると見られていた広島だが、開幕から5カード連続で負け越し。4月16日の時点での借金は「8」にまで膨らんでいた。しかし、そこから8連勝を記録するなど一気に盛り返し、5月14日終了時点では貯金が「2」。順位も、巨人、ヤクルトに次ぐ3位タイにまで上がってきた。

 昨シーズンまでは打撃力に秀でていた印象の強かったチームだが、ラインナップから丸佳浩(巨人)が抜けたことで、打線の破壊力は若干トーンダウンした印象を受ける。チームの打撃成績を見ても、昨シーズンはシーズン全体を通じて721得点(リーグ1位)、打率.262(リーグ3位)、175本塁打(リーグ2位)と打撃に関してはリーグ屈指のチームだった。しかし、今シーズンはここまでチーム得点はリーグ4位となる142点、打率.238(リーグ5位)、36本塁打(リーグ4位)と、数字的にはかなり低下している。

 一方、投手陣を見ると、ここまでは155失点(リーグ3位)、防御率3.21(リーグ1位)と昨シーズンを通じた成績、651失点(リーグ4位)、防御率4.12(リーグ3位)から大きく良化している。ここまでの序盤戦は、昨シーズンとは異なり、投手陣が打撃陣をカバーしながら勝ち星を拾ってきたと言える。


◆ 昨シーズン不在の投手陣が躍進

 先発投手陣を見渡すと、緒方監督がキャンプ前に掲げた「先発10人構想」の賜物か、大卒3年目の床田寛樹が覚醒した。ここまで4勝2敗、防御率2.36とローテーション投手として十分な働きを見せている。

 また、高卒3年目となるアドゥワ誠が、シーズン開始後に先発へと本格的に転向。先発転向後は27回を投げて自責点は「6」。防御率は2.00と好調だ。5月12日の試合では、自身初完投で今シーズン初勝利をものにしている。

 中継ぎ陣では新外国人のカイル・レグナルトがハンマーカーブを武器とし、連続無失点を16試合に伸ばした。その他にも楽天からトレードで加入した菊池保則が、12試合に登板して防御率3.45と健闘している。

 レグナルトは、確固たる「勝ちパターン」としての起用ではないが、試合を壊すことなく後ろの投手に繋ぐ役割として重宝されている。派手さこそないが、チームに欠かせない存在であることは疑いようがない。

 新加入のレグナルトやトレードで移籍してきた菊池はもちろん、床田も昨シーズンの登板はなかった。また、アドゥワも先発としての起用は今シーズンが初めてのこと。まさに、去年にはなかった「新しい戦力」が投手陣を支えているということになる。

 もちろん、エース格の大瀬良大地は7試合で3勝(2敗)を挙げ、防御率1.70と開幕投手にふさわしい成績を残している。守護神の中崎翔太も15試合で防御率2.45はまずまずの数字。大瀬良や中崎といった主軸となる投手に新しい戦力が加わり、「打撃力」ではなく、「投手力」を中心とした戦い方で序盤戦を踏ん張ってきた。

 まだチームは39試合を終えたばかり。これから投手陣にだって疲れが出る時期もあるはずだ。残り100試合以上あるペナントレースを戦い抜き、セ・リーグ4連覇を目指すうえで、打撃陣の奮起が必要であることは間違いない。打撃陣の調子が本格化するまで、投手陣が踏ん張り切れるのか――。広島の戦いに注目していきたい。

※数字は2019年5月14日終了時点

このニュースに関するつぶやき

  • 欲を言えば籔田、岡田みたいにその年だけ良かったり野村のように先発ローテに入っているだけの先発陣では不満があります。中継ぎも数は揃っているが登板過多が毎年続くようでは厳しい。
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