Google、検索からのショッピング機能を強化へ Amazonと競合関係に?

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2019年05月16日 13:41  リアルサウンド

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 検索サービス最大手のGoogleは、5月15日と16日に同社の広告事業に関する年次発表会「Google Marketing Live 2019」を開催した。この発表会に先立ち、検索広告の新機能を公式ブログ記事で明らかにした。新機能の内容からは、GAFAのあの構成メンバーとの競合をいとわない同社の意図が感じられる。


(参考:Google、高性能ながら廉価な「Pixel 3a/3a XL」発表 検索にはAR機能追加) 


■GoogleアプリやYouTubeにも広告表示
 Googleが14日にGoogle広告ブログの記事で明らかにした新機能は複数あるのだが、その筆頭は「ディスカバリー広告」だ。この名称は、Googleモバイルアプリの機能「ディスカバー」に由来する。同アプリのトップ画面には検索ボックスの下にニュース記事が表示されるのだが、このニュース表示機能が「ディスカバー」に相当する。発表されたディスカバリー広告は、このディスカバーを使って広告を表示するというもの。表示される広告は、ニュース記事と同様にユーザの検索履歴にもとづいてユーザの興味をひくようなものが選ばれる。ディスカバリー広告はディスカバーのほかにも、YouTubeやGmailの広告欄でも表示される。リリース時期は今年後半で、全世界の国をサービス対象国とする予定だ。


 Googleの主たる収入源となっている検索連動広告にも、新しい広告フォーマット「ギャラリー広告」が導入される。この新フォーマットを使うと、従来より「高品質かつクリエイティブ」に商品をユーザに見せることが可能になる、とのこと。こうした新フォーマットの効果を同社が検証したところによると、(クリックやスワイプといった)広告に対するユーザのアクションが25%向上することがわかった。この新フォーマットも、今年後半にリリースされる。


■Googleショッピングも変わる?
 Googleの検索ページから利用できる商品検索機能「Googleショッピング」も一新される。よりショッピング体験に没入できるようにデザインがリニューアルされ、さらに新機能「パーソナライズドホームページ」が利用できるようになる。この機能は、ユーザが保存したお気に入りの商品やお気に入りのブランドにもとづいて検索結果として表示される商品をフィルタリングできる、というもの。この機能を使えば、例えばヘッドフォンを探す時に好きなブランドのものに絞り込んで検索結果を表示できるようになる。


 Googleショッピングの検索結果に青いショッピングカートが表示された商品に関しては、Googleがカスタマーサポートと返品に応じる。つまり、Googleショッピングを使って購入できる商品の一部は、Google自らがアフターケアを行うのだ。


 以上のようなGoogleショッピングの一新は今年中に行われるのだが、この一新によって「Google ExpressとGoogleショッピングを統合していく」とも言われている。Google Expressとはアメリカ国内で提供されているGoogle直営のショッピングサイトだ。それゆえ、同サイトが提供されていない日本においてGoogleショッピングの刷新が行われるかどうかは、やや不透明である。


■Amazon化するGoogle、Google化するAmazon
 以上に解説した新機能からは、オンラインショッピング事業を強化しようとするGoogleの意図が読み取れる。この意図を実現しようとすると、オンラインショッピング最大手のAmazonと競合することになる。ニューヨークタイムズ紙は14日、競合関係になりつつあるGoogleとAmazonの関係を考察する記事を公開した。


 先月Googleは直近四半期の決算報告を行ったのだが、この報告の直後株価が下落した。というのも、同社の主たる収入源である広告収入の成長率が39%であったことがわかり、この数値は過去に記録した成長率である50〜60%を下回っていたからだ。こうした財政事情から、同社には広告業以外からの収入強化が求められている。今回のショッピング機能強化は、新たな収入の柱を構築する試みのひとつと考えられる。


 対するオンラインショッピング最大手のAmazonは、実のところ、広告業も手がけている。Amazon公式サイトに広告を掲載するというものなのだが、同サイトの絶大な知名度のために広告媒体として高い評価を得ている。大手証券会社モルガンスタンレーは、同社の広告業に対して850億ドル(約9兆3,000億円)の価値があると見積もっている。こうした高評価の理由として、大手広告業者GroupMのアナリストであるBrian Wieser氏は「Amazonを閲覧中のユーザは買いたい商品を探しているというよりまさに商品を買っている最中なのであり、こうしたユーザの状態が広告効果を高めているのです」と述べている。


 GoogleとAmazonは、事業が多角化するにつれて直接的な競合関係になりつつある。こうした競合関係がユーザに何らかの恩恵をもたらすかどうかについては、容易には判断できない。だがしかし、この2社が競合しあうことになってもGAFAの世界的支配が弱まるということはないだろう。


(吉本幸記)


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