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スキャンダルのリスクなし 一流企業も熱視線を送るVTuberとは?

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2019年05月16日 16:00  AERA dot.

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写真(c)サントリーホールディングス株式会社
(c)サントリーホールディングス株式会社
 キズナアイ、輝夜月、月ノ美兎、ミライアカリ、電脳少女シロ……。ピンときた方も「何て読むんだ?」と思った方もいるだろう。いずれも有名な“VTuber”の名前だ(ちなみに「輝夜月」は「かぐや・るな」、「月ノ美兎」は「つきの・みと」と読む)。VTuberは「Virtual YouTuber」の略で、実在のタレントではなくクリエイターや企業が作った架空のキャラクターを指す。YouTuberと同様、YouTubeをはじめとする動画サイトやSNS上でさまざまなコンテンツの配信を行っている。

 少し前なら一部の嗜好性の強い趣味を持つ人々をターゲットにした存在のように思われたかもしれないが、最近では有名企業が広告キャラクターに採用するなど、メジャーな存在としてすっかり市民権を得ているのだ。茨城県は地方自治体として初の公認VTuber「茨(いばら)ひより」を誕生させ、2018年度の効果は広告換算額で約2億4000万円に上るという。
 
 企業オリジナルの公式VTuberではサントリーの「燦鳥(さんとり)ノム」、ロート製薬の「根羽清(ねばせい)ココロ」、中京テレビの「大蔦(おおつた)エル」「キミノミヤ」あたりが代表的だろう。“企業公式”というと、彼女たちに課せられたミッションは「企業の伝えたい思いをわかりやすく消費者に伝えること」と考えがちだが、それだけにとどまらない。歌ってみた動画や大阪弁講座など、事業には直接関係ないようなコンテンツも配信している。「それで何本水が売れたのか?」「目薬の売上は伸びたのか?」と答えを急ぐようでは、今の若者の心はつかめない。この“事業には直接関係ない”ように見えることが実はポイントなのだ。

 若年層のテレビ離れが論じられて久しい。テレビCMだけでは10,20代にはアプローチできないというのが主流の考え方になった。企業や自治体がVTuberに熱い視線を送る理由はそこにある。多くの若者にとって、テレビというメディアは生活動線上に日常的にあるものではなく、生まれた頃から身の回りに情報が溢れていたため、必要だと思う情報を自分で選ぶことが当たり前になっている。ゆえに企業からの提案が通用しにくい世代といえる。そういった人々に心を許してもらうには、その人たちの文化・作法に合わせてコミュニケーションをとる工夫が不可欠で、“大人の都合”で企業や商品の自慢話ばかりを押しつけるのはナンセンスだ。逆にコンテンツのクオリティーが高く、内容が魅力的であれば、視聴者はVTuberを自然と応援し、彼女たちを応援するためであればと結果的に商品の購入にも繋がる可能性がある。

 燦鳥ノムのコンテンツに対するコメントを見ると、クオリティーの高さや、サントリーという大企業が本気でVTuberの活用に取り組んでいることに対する驚きと賞賛の内容が多い。これまで特に意識することもなく遠い存在に感じていた有名企業が、自分と同じ視点で遊び場を提供してくれたことで一気に“身近な企業”に変わった視聴者も多いのではないだろうか。

 花王『ワイドハイター』は「月ノ美兎」とコラボレーションし、昨年夏にリアルイベントを実施した。ターゲットは“推し”のキャラクターが描かれたTシャツを着て同人誌即売会などのイベントに行く人々。夏のイベントでは“コミケ雲”なるものが発生すると言われるほど来場者の熱気と発汗が会場を満たし、熱い思いは残念ながら臭いとなってTシャツに刻まれる。そこで『ワイドハイター』はTシャツを洗濯している間に月ノ美兎と個人面談ができるというイベントを開催し、参加者にとって『ワイドハイター』を“マイブランド”と認識してもらうきっかけを作った。

 そうした盛り上がりを見せる中、地上波テレビデビューを果たしたVTuberもいる。輝夜月は日清食品『U.F.O.』のCMに登場し、地上波とは思えないような自由でカオスな作品で幅広い世代に衝撃を与えた。VTuberの草分け的存在であるキズナアイは日清食品『カップヌードル 味噌』とブルボン『チーズおかき』の2社のCMに起用されている。CM総合研究所が実施しているCM好感度調査でこれらのCMに真っ先に反応したのは10,20代の若年層だが、驚くのは40,50代でもキャラクターの名前を認識している消費者が少なからずいるということだ。
 
 かつては“有名人”や“人気タレント”といえば、テレビに出ている人を指すことが大半だったが今はそう単純ではないらしい。小学生〜高校生だとテレビタレントよりもYouTuberやTikTokerの方が憧れの存在だったりする。テレビで育った世代には違和感があるかもしれないが、昨年の「NHK紅白歌合戦」に出場した米津玄師やDAOKOももともとはインターネット中心に活躍をしていたことは有名で、テレビとインターネットを分断してとらえたり、メディアとしての優劣をつけて比べたがるのは時代錯誤なのだとつくづく感じさせられる。

 VTuberに話を戻すと、起用する企業としては不祥事やスキャンダルのリスクが少ないというのもメリットだろう。ここ最近、人気タレントやミュージシャンに関連する事件が次々と報道され、事務所はもちろんスポンサーも対応に追われている。もちろんそういった事例はレアケースではあるものの高額な契約料、出演料を払う側からしたら心配する気持ちはゼロではないはずだ。その点コントロールがしやすいVTuberであれば想定外のリスクは大きく減る。
 
 一方で、VTuberの隆盛に比例してキャラクター設定や差別化はなおさら重要になると予想される。2019年2月時点でVTuberの数は7,000人を突破したというが、名前と顔が一致するVTuberは果たして何人いるだろうか? 注目が集まっているということは当然競合環境も熾烈ということだ。「なんだか流行っているし、若者にアプローチしたいからうちもVTuberを……」と思っても、成功するのは一握り、ということは肝に銘じておいた方がよさそうだ。

■CM総合研究所/1984年設立。「好感は行動の前提」をテーマに、生活者の「好き」のメカニズム解明に挑戦し続けている。平成元年から毎月実施しているCM好感度調査をもとに、テレビCMを通じて消費者マインドの動きを観測・分析しているほか、広告主である企業へダイレクトにコンサルティングを行い、広告効果の最大化および経済活性化の一助となることを目指す。

【おすすめ記事】キー局や芸能プロも参戦…VTuber「生き残り戦争」が本格化か?


このニュースに関するつぶやき

  • はたしてそう果たしてそうかな?人が関わる以上、スキャンダルのリスクは拭えないかと。企業公式ツイッターでの暴言然り。 https://mixi.at/a8kuZCj
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  • 困ったら天カメで夜景映しておけば、訓練された視聴者は深くツッコんで潰すような事はしない
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