Netflix、「E3」参加決定で「テレビショーに命を吹き込む」事業が本格化?

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2019年05月17日 07:51  リアルサウンド

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 毎年6月は、ゲーマーにとって重要なイベントが開催される。世界最大のゲーム見本市E3(Electronic Entertainment Expoの略称)がアメリカ・ロサンゼルスで行われるのだ。多くのビックタイトルの発表が期待されるなか、あの動画ストリーミングサービス大手がイベント会場に乗り込んでくる。


(参考:ビヨンセが本年度『コーチェラ』に与えた影響は? Netflix映画『HOMECOMING』から考える


■テレビショーに命を吹き込む
 テック系メディア『BGR』は14日、Netflix公式ツイッターアカウントがE3に参加することをツイートしたと報じた。この参加表明は、通常のプレスリリースとはやや異なる顛末を経て発表された。


 ことの始まりは、Netflix公式アカウントがE3公式アカウントに対して、「E3に招待してくれる?」とツイートしたことであった。E3公式は即座に反応し、「もちろん、ところで何か展示するか…何か話したいことがありますか?」と返信した。するとNetflix公式は、ゲームについてのニュースを話したいのだがパネルディスカッションを用意できるのか、と返した。E3公式は何とかディスカッションのスケジュールを組めることを伝え、次いでディスカッションの名前について尋ねた。Netflix公式は「あなたのお気に入りのテレビショーに命を吹き込む:Netflixオリジナルコンテンツからゲームを開発する」という名前を提案した。この名前を聞いてE3公式は「それはグレートだね(sounds great)!」と反応し、NetflixのE3参戦は決まったのだった。


 ちなみにNetflix公式ツイッターアカウントは、E3での発表に関するヒントとして開発中のゲーム『Stranger Things 3: The Game』の名前をあげた。


■ゲーム化される『ストレンジャー・シングス』とは?
 Netflixが開発中のゲームの元ネタとなっているオリジナルコンテンツ『ストレンジャー・シングス』とは、1980年代のアメリカ・インディアナ州を舞台とした超自然現象がストーリーのカギとなるSFホラー作品である。シーズン1が2016年に配信され、シーズン2が2017年に配信された。同コンテンツは、アメリカのテレビ番組を表彰するエミー賞にドラマ部門作品賞を含む31の部門にノミネートされるほどの高い評価と人気を得ていた。


 シーズン3は2019年7月4日から配信が開始され、同日に『Stranger Things 3: The Game』もリリースされる。対応プラットフォームはPC/PS4/Xbox One/Nintendo Switch/iOS/Androidと主要なものをすべて網羅している。ティザー動画もすでに公開されており、16ビット調のグラフィックを特徴としているのがわかる。16ビットというレトロなグラフィックを採用しているのは、ゲームの元ネタとなっている映像コンテンツが1980年代のポップカルチャーへのオマージュを数多く込めているからだと推測される。


■映像とゲームの境界を越境するNetflix
 オリジナルコンテンツを大量に配信して動画ストリーミングサービスの新しい波を作ったと言えるNetflixは、実のところ、ゲームとも浅はかならぬ関係がある。同社とゲームとの関係を語るうえで避けられないのが、同社が配信したインタラクティブ映画である。


 インタラクティブ映画とは、映像コンテンツを視聴中に視聴者が選択肢を選ぶことによって、ストーリー展開が変わるコンテンツのことである。言わばアドベンチャーゲームの実写版のようなものである。このジャンルのコンテンツには『ブラック・ミラー: バンダースナッチ』や『You vs. Wild −究極のサバイバル術−』がある。とくに前者は、ストーリー自体がゲームをテーマとしているため興味深い。2018年に配信が開始した『ブラック・ミラー: バンダースナッチ』は、1984年に生きる主人公のゲームプログラマーがゲームブック「バンダースナッチ」のゲーム化を進めるうちにパラレルリアリティと現実の境界が曖昧になる、というもの。こうしたメインストーリーはあるものも、視聴者の選択によって異なるエンディングを迎えることとなり、違うエンディングを視聴するためには同コンテンツを「やり込む」ことが必要になる。


 また、映画メディア『Slash Film』は先月、Netflixがゲームシリーズ「ウィッチャー」をテーマにしたオリジナルコンテンツを今年の10月以降に配信することを報じている。同シリーズの3作目にあたる『ウィッチャー3 ワイルドハント』は、全世界で1,000万本を売り上げるほどのヒットを記録し、日本でも高い評価を得た。映像コンテンツでは、主人公のゲラルトを映画『マン・オブ・スティール』『ジャスティス・リーグ』でスーパーマン役を務めたヘンリー・カヴィルが演じる。


 以上のように、Netflixは映像とゲームの境界を越境して事業を展開するポテンシャルが十分すぎる程あるのだ。今年のE3の目玉は、もしかしたら同社の発表になるかも知れない。


(吉本幸記)


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